誰が叔父様の側室になんてなるもんか!【完結】

Lynx🐈‍⬛

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カイル、王城へ

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 2週間程で解毒薬を完成させたカイルは、美しい見目をボロボロにしていた。
 髭も生え、頭もボサボサ、入浴もせず睡眠もほぼ出来ず、女が見たら幻滅する程だった。
 部下からの報告があれば、薬作りは手が止まり、なかなか進まなかったらしい。

「出来たぁ……。」
「お疲れ様でございました、カイル様。」
「………2時間寝させてくれ……。その間、王城に入れるように手配を………。」

 と、言って死んだ様に眠ってしまった。
 その間も報告があったのだが、指示待ちの部下が宿の部屋にたむろっていて、ひしめきあっていた。

「カイル様、2時間経ちましたよ。」

 ロバートがカイルを起こす。

「もう………?………寝みぃ……。」
「王城から返事来ましたよ。入城許可降りました。」
「…………準備する……風呂入ってくる。」

 暫くすると、やはりカイルは美男子なのだと、思い知らされた。
 高身長で長い手足、金髪長髪の見目麗しい姿がむさ苦しい男達の中に一輪の美しい薔薇が立ったよう。
 男でも目を奪われそうになる程だ。

「カイル様、普段そこ迄着飾らないでしたよね?」

 ヴァン子爵が不思議そうに見つめる。

「アドラード国王の弟は、美しい物に目がない。30歳以上も歳の離れた姪のアリシア王女を側室にしようとしたぐらいだ。幼女に性的妄想をするので、部下に調べさせたら男にも性的妄想をするらしい。」
「え!!」

 ロバートが声を上げる。

「知らなかったか?この国の宰相は男に女装させ、側室にしていたぞ?しかも3人な。」
「カ、カイル様、宰相に捕まらないで下さいね……。」
「あのな………捕まってたまるかよ。剣術にも武術にも長けた部下も連れて行くし、俺だってまぁまぁやれるんだから。」
「………私も傍に居られたら、守りますよ。」
「頼むわ。」

 馬車に乗り込み王城に向かうカイル達。
 案内された場所で馬車を降りると、アードラの貴族達の目線は全てカイルに行っている。

(凄い目線ですね、痛くないですか?)
(その分、兵士に扮した医師達の目を背けられる。……医師達は鍛えてないからな。)
(…………それで、その格好……。)
(一石二鳥だと思わないか?)

 応接室らしき部屋に通され、重要人物を待つ。
 重要人物とは勿論宰相。

「さて、誰が来るか……。」
「宰相宛に謁見を求めてないのですか?」
「宰相宛には出したが、それ以外の奴だと、レングストンをナメてるとしか見れんな。俺は皇帝の代理で来てるんだ。」
「そうですよね。」

 コンコン。
 
 カチャ。

「お待たせして申し訳ありません。」

 その声で、カイルは座っていたソファから立つ。

「いえ、こちらこそ急な申し出にも関わらず、謁見を願いを聞き入れて頂きありがとうございます。」
「………………え……。」
(……コレ、カイル様?)

 ロバートはカイルの変貌した喋り口調と声質に驚いた。
 普段の渋めの声から1トーンは高い甘い声に早変わりしたのだ。

「アドラード国王の弟でアードラ国宰相、アマレスと申します。この度は、兄の見舞い、誠に嬉しく思います。」
「私は…………レングストン皇国、ウィンストン公爵の次男、カイルと申します。父ウィンストン公爵もレングストン皇国の宰相をしておりまして、私は役職も仕事も大した事をしておりませんし、私の上司である第二皇子が、公務で外交しておりますので、私が参った次第です。」

 カイルは、アマレスに握手を求める。
 アマレスはカイルの見目にニタニタしている。

「美しい方ですな……さぞ、レングストンの女性方は貴方に夢中でしょう。」
「………私等………皇太子も、我が皇子も美しいので、臣下には目もくれませんよ。」

 なよなよしい話し方のカイルに、普段のカイルを知る同行した、ロバートや兵士に扮したヴァン子爵や他の医師、ロバートの部下達は、鳥肌が立った。

「私は貴方の事をどうお呼びすれば?」
「…………カイル………で結構です。」

 ちょっと照れた風に顔を俯かせたカイル。

(………カイル様!!色仕掛けし過ぎ!!)

 誰しもそう思ったろう。
 だが、初対面のアマレスには、男色だと思わせる程の上手い芝居のカイル。

「では、カイル……今宵の泊まる所はあるのですかな?良ければ私の邸に……。」

 アマレスはカイルの手を離さない。

「いいえ、それは嬉しいお誘いですが、国王の見舞いが終わりましたら、アルフレッド王子にご挨拶してレングストンに帰途したいと思っております。ですが、アードラの兵士ロバートの立っての依頼で、医師を数人連れてまた戻って参りますから、その時は是非。」

 カイルは、アマレスにニッコリと微笑んだ。
 アマレスの目が輝くのを確認したカイルは、内心ほくそ笑むのだった。
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