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お行儀見習い【トーマス】①
しおりを挟む翌日、トーマスがナターシャの部屋にやって来た。
「トーマス殿下、宜しくお願い致します。」
「おはよう、ナターシャ。」
ナターシャを机に向かわせ、その隣にトーマスは座った。
「ナターシャは詩集を読むことはあるかい?」
「詩集ですか?あまり読まないですが……。」
「では、丁度いいかもしれないね。ナターシャはピアノやヴァイオリンを嗜むし、詩集を読めば曲のイメージは付きやすいかと、ね。創造力が養うよ?」
「知らなかったです。」
「では、声に出して読んで。」
ナターシャは、詩集を開き1ページ目から、囁くように囀るように読んでいく。
それがトーマスの耳に心地よく、欲が出てくるのだった。
閨ではどんな声を出すのだろう、と。
時折、ナターシャが読めない文字があると、トーマスが教えながら読みすすめていく。
ずっと声に出して読んでいると、喉が乾くとナターシャの声も枯れていくのに気が付いたトーマスは、企んだ。
「ナターシャ、声が枯れてきたね。水を飲むかい?」
「はい、飲みたいですね、いいですか?」
「飲ませてあげるよ。」
そう言うと、グラスに注いだ水をナターシャの口元に。
「ありがとうございます。」
詩集から手を離し、手に持とうとするナターシャにトーマスは、
「詩集は持ってて。俺がグラスを持っててあげる。」
「え?」
ナターシャの口元に運ばれたグラスを飲むしかなく口に含むと、飲むペースが合わず、唇から水が溢れる。
トーマスはその雫を指で拭い、自分の口に含んだ。
それが、色気のある仕草を醸し出し、ナターシャを見つめる。
「ごちそうさま、ナターシャ。」
「………………ト、トーマス殿下……。」
何故かその仕草にドキドキが止まらないナターシャは、この日ずっと詩集を読んでは、水を飲まされる度に、トーマスの色気に酔うのであった。
トーマスとの時間が終わり、ドキドキが止まらないナターシャ。
リュカとは違うドキドキ感で戸惑ってばかりだった。
(リュカ殿下も、トーマス殿下も、私をどうしたいの?…………鼓動が激しい………どうしましょう…………明日のタイタス殿下は何かまたドキドキさせられるんじゃないかしら…………。)
と思ってしまう。
一方のトーマスは、ナターシャの唇に触れられ、口から溢れた水を間接キスが出来て、ご満悦だった。
こうやって触れていけば、直に口移しが出来るのでは、と思えてしまう。
(…………このまま、キスに持ち込めれば、他の場所も………。)
と、次のナターシャの時間を楽しみに待てそうな予感しかなかった。
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