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我慢の夜
しおりを挟むナターシャはお風呂で身体を温め終え、タオルを巻いた状態でバスルームを出る。
髪も濡れ、乾き切っておらず、リュカが置いたガウンを羽織った。
素肌でガウン1枚なので、タオルを巻いた状態と同様恥ずかしいと感じるナターシャ。
「は、恥ずかしい………。流石にドレスはまだ来ないわよね……。」
髪を拭きながらソファに座り、部屋を見渡す。
「殿下のお部屋もこういう感じかしら……。」
華やかな印象のリュカには似つかわしくない、茶系の家具が多く、質素で使い勝手が良さそうな調度品ばかり。
寧ろ、トーマスらしいような気がする。
コンコン。
『ナターシャ、入っていいかい?』
ドア越しでリュカの声を聞き、恥ずかしさの余り、ドアから見えないソファの背に隠れたナターシャは、そこから返事をする。
「は、はい!」
カチャ。
「身体温まった?」
「はい、直ぐにお風呂入れましたから。」
「あ、あれ?ナターシャ何処?」
「こ、ここです………。」
リュカに知らせる為に、ソファの陰から手を出すナターシャ。
「何で隠れてんの?」
「…………は、恥ずかしいので………。」
「…………。」
(ヤ、ヤバイッ!!髪も濡れて火照った顔がっ!!)
ガウン1枚を羽織りうずくまるナターシャから出る膝下からの足の細さ、胸元のガウンが重なる僅かの隙間から、胸の谷間が見えるのだ。
「ナターシャ……………俺を悩殺しないで………。」
「悩殺?」
「あ、いや…………食事を運んで貰うから、バスルームに隠れてて。」
「は、はい。」
いそいそと、バスルームに戻るナターシャの後ろ姿。
(……はぁ………触りたい…………あの足、あの胸………舐めたい………。)
そんな衝動に駆られ、食事もせずナターシャを昧りたかったリュカは、深い溜息をしてから、ユランを呼ぶ。
暫くすると料理が運ばれる。
「悪いが後はこちらでやるから。」
「終わりましたらまたお呼び下さい。」
「あぁ。」
ユランと侍従達が出て行くと、リュカはバスルームのドアをノックすると、ナターシャが出て来た。
髪は先程からより少し乾いていた。
「殿下?如何されました?」
ナターシャに見惚れて、意識が飛んでいたリュカ。
「いや、さぁ食べようか、お腹空いたろ?」
「そうですね。」
温かいスープが身体に染み渡る。
急な訪問にも関わらず、慌ただしかっただろうに、温かい料理が並び、胃も満たされたナターシャとリュカ。
「セシルに、ナターシャのドレスを頼んであるから、侍女を連れて来るまで、ガウンで悪いが待ってて。」
「はい……申し訳ありません、わたくしが湖に落ちたばかりに……。」
「ナターシャと居ると楽しいし飽きないから大丈夫だよ。」
(…………俺の方が心配……。)
「何か仰っいました?」
「…………いや。」
ワインを口に含み、肉を食べるリュカ。
(部屋……今から別にした方が………あぁ、理性が…………治まれ……俺!)
リュカはナターシャの胸元や足を見てから昂っている。
セシルが来なかったら、恐らく自分を止めないだろう、と予感するのだ。
コンコン。
ドアをノックする音。
食べ終わる迄近付くな、と伝えてあった筈なのに、とリュカは反応を待つ。
「セシル様がナターシャ妃の侍女を連れ、到着したのですが、如何なさいますか?」
ドア越しで話すユラン。
ナターシャもほぼ食べ終わっている。
「分かった。今降りる。食器はまだもう少し待っててくれ。」
「畏まりました。」
ユランの気配が遠退くのを確認し、ナターシャに声を掛けた。
「侍女を連れて来るから暫く待っててくれ。」
「はい。」
リュカはドアを開け、部屋の中が見えないように配慮して出て行った。
「………はぁ………天国と地獄だ……。」
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