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婚約発表③
しおりを挟む謁見の間には、リュカの両親である、レングストン皇帝と皇妃。
ウィンストン公爵は、皇帝の後ろに控えた。
「申し訳ありません、父上、母上。お待たせ致しました。」
リュカは理由も言わず、先ずは謝罪をする。
その一歩後ろで、ナターシャも頭を下げた。
頭を上げると、皇帝と皇妃はナターシャを見ているので、再びナターシャは一礼をする。
「ナターシャ・ウィンストンでございます。」
「うむ、其方は幼い頃から皇太子の目に止まり許婚となったが、そのまま皇太子と婚姻を結んで良いのだな?」
「………はい。皇太子殿下がわたくしを望まれ、わたくしも皇太子殿下をお慕いしておりますので、謹んでお受け致します。」
再び一礼したナターシャが頭を上げると、リュカは嬉しそうにナターシャを見ていた。
その喜びようを見た皇帝は驚いた表情をしている。
「ゴホン!皇太子はナターシャ嬢で良いのだな?」
「勿論です。ナターシャ以外の女は考えておりません。」
「皇妃は何かあるか?」
横に座る皇妃は微笑む。
「異論等あろう筈ありません。先日の夜会のナターシャ嬢の立ち居振る舞いもダンスも見事でしたよ。」
「皇妃様、恐縮でございます。」
ナターシャはまた一礼する。
「では、皇太子リュカリオン、ウィンストン公爵令嬢ナターシャ、この婚姻を認めよう。」
「ナターシャ!!」
「きゃっ!」
リュカに抱き着かれたナターシャは、バランスを崩す。
少々呆れ顔の皇帝は、公爵に問う。
「宰相、結婚式の準備を初めてくれ。」
「御意。」
「出来るだけ早くしてくれ、宰相。」
「リュカ……。」
更に呆れ顔の皇帝。
「皇太子殿下、最低でも一年先ですので……。」
「だから、出来るだけ。」
「………努力……致します。」
その日には国中外に、リュカとナターシャの婚約が知れ渡る。
歴代の皇太子の中でも支持の高かったリュカの婚約を祝い、祝辞や贈り物が届けられた。
だが、不機嫌な男、リュカ……。
「婚約式さえも3ヶ月後~!?」
皇太子の執務室で、不貞腐れた顔するリュカが、公爵に不機嫌な顔を見せている。
発表をした日の翌日、急ぎ日取りを算出して、何とか3ヶ月後に持って来た公爵。
「通常なら半年程先なのですよ?殿下。国内の王族関連の行事や公務を削る事なく詰め込んで、まとめて3ヶ月後なのです。」
「我儘ですよ、殿下。」
「セシル!!」
リュカの近くで同じく執務をしているセシルが公爵に怒られる。
「父上、その分雑務が増えるんですよ?あぁ、そうだ、殿下、ナターシャに会う時間を潰して3ヶ月後に婚約式か、会う時間をたっぷり作って半年後の婚約式か………勿論、結婚式はもっと先になります。何方がいいですか?」
「セシル…………言ってる事は正しいが……何でお前はそんなに私とそっくりなんだ。」
(宰相も思ってたんだ………酷い言いようだな、この親子……。)
皇帝と公爵との関係も、リュカとセシルのような感じなのだろうか、と思ってしまった。
「宰相、皇子宮のナターシャの部屋を、俺と一緒にしていいか?」
その言葉で、公爵とセシルが同時にリュカを見る。
何を言ってるんだ、と聞こえそうな顔。
「駄目ですよ、せめて婚約式、いえ結婚式終わる迄は。」
「父上、殿下はナターシャを早く自分のモノにしたいんですよ、キスマーク迄ナターシャに教えてましたしね。」
「…………結婚式迄は駄目です。閨に関しては、ナターシャと相談して下さい。結婚式迄は避妊具を!」
「避妊具足りなかったらいつでも言ってください、殿下。」
「……………お心遣いどうも。」
(離宮でやっときゃ良かった………。)
それでナターシャとひと悶着があるのは後日の話。
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