放浪の花嫁【完結】

Lynx🐈‍⬛

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戸惑う時間♡

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 夜になり、2階にある寝室の窓が空いていたからか、花の香りがアニースの鼻に届く。

「窓、締めておいてくれ。」
「今日、暑くないですか?」

 侍女に窓を締めるのを頼むアニース。
 確かに、少し汗ばむ陽気で、窓を開けておきたいのは山々だ。
 しかし、これから起こる事を考えたら、流石に開けれない。
 侍女達も知っている筈なのだが、何故か開けていた。

「いいんだ……外に聞こえると恥ずかしいから………。」
「え?声、押し殺しませんか?」
「え?我慢出来ないよな?」
「しないと、恥ずかしいじゃないですか。」

 侍女のこの言葉に、アニースは先日のタイタスとの房事を思い出す。

「む、無理!絶対に声出る!」
「え!?」
「アニース様…………そんなにタイタス殿下、激しいんですか?」

 侍女達は興味津々だった。
 食い気味に、侍女達はベッドで待つアニースに近寄って行くと、咳払いが起きる。

「ゴホン………ノックはしたんだがな………。」
「!!し、失礼しました!!」
「で、ではタイタス殿下、アニース様、昼前に様子を見に伺いますので、失礼致します!」

 タイタスが、ガウンを着て寝室に入って来る。
 アニースは夜着は着ていたが、その上にストールは羽織っていた。

「今日暑くないか?何でストール羽織ってるんだ?」
「暑いんだけど、用意された夜着が恥ずかしかったからな………。」
「窓開けるか?」
「やだ!」
「何で?」
「声、我慢出来ないから!………だけど、今侍女達は、声を我慢する、と……。」
「…………あぁ……レングストンでは教えるなぁ……ロレイラもそうだったし。」
「…………今、他の女の名前言うなぁ!比べられてそうで嫌だ!」

 アニースは枕をタイタスに投げる。

「うわっ!………今は、閨のしきたりの話だろ?比べるとかそういうつもりじゃ……俺、声出してくれる方が興奮したけどな。」
「…………へ?」
「この前のアニースの声、凄い興奮した。反応で分かるから、いろんな所触りたくなってった。」
「…………声……我慢しなくていいのか?」
「え?押し殺してるなんてつまんないと思う。」

 投げられた枕をベッドに戻し、アニースの横に来るタイタスは抱えるように、後ろからアニースを抱き締めた。

「何?ボルゾイでは声押し殺さないのか?」
「しないよ、後宮は部屋に扉が無い。父の時は小さかったから覚えてないが、アラムや弟達が呼ぶ女達は、声を出していた。」
「筒抜けじゃないか。」
「そう、丸聞こえ。それであの時も自然に声が出たんだけど、今聞いたら押し殺す、て言うから……。」
「つまんねぇ、それ……。」
「違うもの?そんなに。」
「じゃあ、試しに我慢してみるか?アニース。」
「………我慢出来なくなると思うけど?」
「いいよ、出来なかったらそれはそれで興奮するから。」

 タイタスはアニースを抱き締める力を強めると、首筋にキスを落とした。

「………早く脱がせたい……。」

 耳元で囁くタイタスの声で、アニースは身体を震わせる。

「………ん……触って欲しい……また気持ちよくしてくれる?」
「…………そんな事言われたら……頑張らなきゃな………。」

 アニースの顔を横に向かせ、タイタスは唇を貪る。
 タイタスが受け取るアニースの唇は甘い果樹のように、大事そうに味わうかのような丁寧にアニースの口内を溶かしていく。

「………このキス………好き……気持ちいい……。」
「まだ気持ちいい事するのに?」
「………ん………もっとキスして………。」
「アニース………好きだよ。」
「………はぁ………んっ……。」

 好きだ、とタイタスから言われ、アニースは自らタイタスの舌を絡めていくと、タイタスの手はアニースの胸に夜着の隙間から直に触れる。
 以前のような鷲掴みするような触り方ではなく、優しい手だった。

「俺、この胸すげ~好き。触り心地良くって手に吸い付くようだ………。」
「私も気持ちいい……よ………んっ…………あっ………。」

 タイタスの手の平で、胸の蕾を捏ねられ、アニースから声が漏れる。

「声、我慢しないな、アニース。」
「………まだ我慢出来る……よ……。」

 声も途切れ途切れで、息遣いも荒くなるアニースに、まだ我慢させる気も無いタイタスは、胸を触る力を込め、蕾を摘む。

「あぁっ………あっ………そんな……強くっ……。」
「摘まれるの好きなんだ……我慢しなくなってきた………。」

 タイタスはアニースの足に掛かるシーツを剥ぐと、自分の足でアニースの足を開かせた。

「魅惑的な姿を俺に見せて。」

 胸が顕になると、開かされた足にタイタスの手が伸びる。
 この後を期待させられる手つきで、少しずつ、夜着の裾を捲られたアニース。

「………んっ………。」

 指の腹で、太腿をなぞりながら腰迄上げられたアニース。
 もう既にボルゾイ一と言われた、絶世の美女のアニースは更に魅惑的な妖艶な顔をする。
 赤茶の髪と同じような、情熱的に身体を火照らせ、胸の蕾が『食べて下さい』とまで言うかの如く、硬く熟れていた。

「やらしい……ゾクゾクするよ、アニース。」
「………やだ……恥ずかしいから………言わないで………。」

 顔を手で覆い隠すが、片手で太腿を擦られ、片手では胸の蕾を摘まれ、足は開かれてる状態で、タイタスは耳元で甘噛みしながら囁く事を止めない。
 全く以前と違う求め方に、アニースは鼓動が早まってしまい、戸惑っていた。
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