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再び、花嫁指名
しおりを挟む「では、デューク殿下から指名したい令嬢を申し出て下さいますか?」
カチュアが再び、王宮の舞踏会に帰ってきた。
「!!…………」
「俺は、カチュア・ロマ・シューヤ・スペリオールを妻にしようと思う」
カチュアは、本当に直前に戻って来るとは思わず、どうすればいいか分からないぐらい、頭が回らない。
「え!本当に直前!」
「そう言ったじゃない」
「え!!……と、とりあえずカルマ、侍従に言霊を使って!他の方達の意見を聞かせるの!」
「了解」
そこ迄は何とか一緒にすればいいとは分かるが、カチュアをコーウェンにしていいのか、それともコーウェンが必ずカチュアを指名するのか、が分からない。
「「宜しいですか?他の王子方は」……え?」
カルマの力で侍従が言うつもりの無かった言葉を発せられ、侍従も驚いている。
「俺もカチュアを指名する。」
バッシュが、侍従の声で動き、更にもう1人名乗り出た。
ここ迄は以前と同じ。
しかし、コーウェンはまだ名乗り出ない。
「…………え?……」
令嬢達のざわ付きが半端なく大広間に響く。
「俺もカチュアを妻にしたいな」
バッシュとグレゴリーはカチュアの前にやって来て、デュークと並ぶ。
「コーウェン様は………」
「カチュア、コーウェンに言霊使いましょうか?」
カチュアは戸惑っていた。
コーウェンは落ち着いた雰囲気で、カチュアを見据えていたが、暫くして表情が固まると、窓際に居る鳥カチュアを見て微笑んだ。
「………え?コーウェン様……?」
「僕も、カチュア嬢を妻に」
「!!」
「グレゴリー様………コーウェン様迄………」
「い、如何致しましょう、カチュア嬢」
侍従は止めに入る訳にはいかず、過去カチュアに意見を求めた。
「カルマ、私に言霊使って!コーウェン様に、と」
「勿論」
カルマは喜んで、過去カチュアに言霊を使う。
「………わ、「私は、コーウェン様に嫁がせて頂きます」…………えっ………違っ………んっ!」
過去カチュアは、言霊で言わされた事も分からないまま、直ぐに訂正しようとするが、カルマの言霊により、発言を止められたのだ。
カチュアにフラレたデュークやバッシュ、グレゴリーは、カチュアの前から去り、コーウェンだけ残ると、過去カチュアに言葉を掛けた。
「カチュア嬢、大丈夫………君は間違った選択をしていないよ」
「……………?」
まだ発言をカルマに止められた過去カチュアの手を取り、手の甲にキスを軽く落としたコーウェン。
「まだ、この程度の触れる権利だけでいいよ。僕は君を望むけど、君はゆっくりで……」
「…………コーウェン様?」
「他の男達が残ってるから、少し外れようか、カチュア嬢。デューク達の目線が痛いや」
「………は、はい………」
注目されたカチュアとコーウェンが少し会話をすると、令嬢達の集団から逃れ、大広間の片隅に寄った。
「大丈夫みたいよ?コーウェン」
「…………え?」
「カチュアが精霊達の加護に気が付いたし、鳥のカチュアを見つけたから」
「で、でもいいのかしら……過去の私、追い付いてないわ、気持ちが………」
「………まぁ……それは仕方ないわね、それはコーウェンが何とかするでしょう」
カチュアの心配を他所に、コーウェンはカチュアに紳士的に接した。
翌日、カチュアの住むスペリオール侯爵家への挨拶では、案の定波乱は起きたのは言うまでもない。
父のスペリオール侯爵は、コーウェンにも好意を示さなかった。
「何故、コーウェン殿なのだ!カチュア!」
「………分かりません」
カチュア自身も分かってないのだから仕方ない。
鳥カチュアは、また父から平手打ちされたくない為、盾になってでもいいから、カチュアを守るつもりだった。
「あんな弱腰のコーウェン殿等、王になる器でもないわ!今からでもいい!恥だろうがお断りしろ!折角、デューク殿下から指名があったというのに!馬鹿な娘が!」
「!!」
平手打ちが来ると察知した鳥カチュアは、過去カチュアの前に飛び出した。
「っ!!」
「??」
しかし、父が何かに弾かれたような素振りを見せている。
父の手を見ると、腫れているぐらいの衝撃があったようで、父は大人しくなった。
鳥カチュアから発せられた力だとは誰しも思ってはいない。
勿論鳥カチュアも……。
「な、何があったのだ!?」
「大丈夫ですか?お父様」
「………あ、あぁ………」
「あの、お父様………お返事をしたのに、今更撤回をしてしまえば、スペリオール侯爵家は罪に問われてしまうと思うのです……まだ婚約ですし、もしコーウェン様がやはり無理だという事になれば、結婚話は無くなりますわ………家の恥になるなら、そちらの方が良いかと」
「…………くっ!………では、早く破談出来るように、お前が責任持ってやりなさい!もう直ぐコーウェン殿が来られる、適当に相手しておけ!」
「…………はい、お父様……」
父のコーウェンに対する印象も最低なものだったのには驚いていたカチュア。
その理由は、コーウェンから後に聞かされるのだが、何故父に殴られずに済んだのか、そちらの方に驚き過ぎて、呆気に取られてしまったのだった。
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