聖女は鳥になって過去に2度戻り、夫を入れ替える【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
28 / 51

再び、花嫁指名

しおりを挟む

「では、デューク殿下から指名したい令嬢を申し出て下さいますか?」

 カチュアが再び、王宮の舞踏会に帰ってきた。

「!!…………」
「俺は、カチュア・ロマ・シューヤ・スペリオールを妻にしようと思う」

 カチュアは、本当に直前に戻って来るとは思わず、どうすればいいか分からないぐらい、頭が回らない。

「え!本当に直前!」
「そう言ったじゃない」
「え!!……と、とりあえずカルマ、侍従に言霊を使って!他の方達の意見を聞かせるの!」
「了解」

 そこ迄は何とか一緒にすればいいとは分かるが、カチュアをコーウェンにしていいのか、それともコーウェンが必ずカチュアを指名するのか、が分からない。

「「宜しいですか?他の王子方は」……え?」

 カルマの力で侍従が言うつもりの無かった言葉を発せられ、侍従も驚いている。

「俺もカチュアを指名する。」

バッシュが、侍従の声で動き、更にもう1人名乗り出た。
 ここ迄は以前と同じ。
 しかし、コーウェンはまだ名乗り出ない。

「…………え?……」

 令嬢達のざわ付きが半端なく大広間に響く。

「俺もカチュアを妻にしたいな」

 バッシュとグレゴリーはカチュアの前にやって来て、デュークと並ぶ。

「コーウェン様は………」
「カチュア、コーウェンに言霊使いましょうか?」

 カチュアは戸惑っていた。
 コーウェンは落ち着いた雰囲気で、カチュアを見据えていたが、暫くして表情が固まると、窓際に居る鳥カチュアを見て微笑んだ。

「………え?コーウェン様……?」
「僕も、カチュア嬢を妻に」
「!!」
「グレゴリー様………コーウェン様迄………」
「い、如何致しましょう、カチュア嬢」

 侍従は止めに入る訳にはいかず、過去カチュアに意見を求めた。

「カルマ、私に言霊使って!コーウェン様に、と」
「勿論」

 カルマは喜んで、過去カチュアに言霊を使う。

「………わ、「私は、コーウェン様に嫁がせて頂きます」…………えっ………違っ………んっ!」

 過去カチュアは、言霊で言わされた事も分からないまま、直ぐに訂正しようとするが、カルマの言霊により、発言を止められたのだ。
 カチュアにフラレたデュークやバッシュ、グレゴリーは、カチュアの前から去り、コーウェンだけ残ると、過去カチュアに言葉を掛けた。

「カチュア嬢、大丈夫………君は間違った選択をしていないよ」
「……………?」

 まだ発言をカルマに止められた過去カチュアの手を取り、手の甲にキスを軽く落としたコーウェン。

、この程度の触れる権利だけでいいよ。僕は君を望むけど、ゆっくりで……」
「…………コーウェン様?」
「他の男達が残ってるから、少し外れようか、カチュア嬢。デューク達の目線が痛いや」
「………は、はい………」

 注目されたカチュアとコーウェンが少し会話をすると、令嬢達の集団から逃れ、大広間の片隅に寄った。

「大丈夫みたいよ?コーウェン」
「…………え?」
「カチュアが精霊達の加護に気が付いたし、鳥のカチュアを見つけたから」
「で、でもいいのかしら……過去の私、追い付いてないわ、気持ちが………」
「………まぁ……それは仕方ないわね、それはコーウェンが何とかするでしょう」

 カチュアの心配を他所に、コーウェンはカチュアに紳士的に接した。
 翌日、カチュアの住むスペリオール侯爵家への挨拶では、案の定波乱は起きたのは言うまでもない。
 父のスペリオール侯爵は、コーウェンにも好意を示さなかった。

「何故、コーウェン殿なのだ!カチュア!」
「………分かりません」

 カチュア自身も分かってないのだから仕方ない。
 鳥カチュアは、父から平手打ちされたくない為、盾になってでもいいから、カチュアを守るつもりだった。

「あんな弱腰のコーウェン殿等、王になる器でもないわ!今からでもいい!恥だろうがお断りしろ!折角、デューク殿下から指名があったというのに!馬鹿な娘が!」
「!!」

 平手打ちが来ると察知した鳥カチュアは、過去カチュアの前に飛び出した。

「っ!!」
「??」

 しかし、父が何かに弾かれたような素振りを見せている。
 父の手を見ると、腫れているぐらいの衝撃があったようで、父は大人しくなった。
 鳥カチュアから発せられた力だとは誰しも思ってはいない。
 勿論鳥カチュアも……。

「な、何があったのだ!?」
「大丈夫ですか?お父様」
「………あ、あぁ………」
「あの、お父様………お返事をしたのに、今更撤回をしてしまえば、スペリオール侯爵家は罪に問われてしまうと思うのです……まだ婚約ですし、もしコーウェン様がやはり無理だという事になれば、結婚話は無くなりますわ………家の恥になるなら、そちらの方が良いかと」
「…………くっ!………では、早く破談出来るように、お前が責任持ってやりなさい!もう直ぐコーウェン殿が来られる、適当に相手しておけ!」
「…………はい、お父様……」

 父のコーウェンに対する印象も最低なものだったのには驚いていたカチュア。
 その理由は、コーウェンから後に聞かされるのだが、何故父に殴られずに済んだのか、そちらの方に驚き過ぎて、呆気に取られてしまったのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...