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ライナス排除
しおりを挟む「カチュア!」
「ウェン!!」
襲われた時の為に結界を張っていた事を忘れ、衣類が乱れた状態のコーウェンがカチュアの元にやって来て抱き着こうとしたのも束の間、バチッと火花が散る。
その火花で、ライナスを拘束しひしめき合う客間は騒然となってしまったが、直ぐにシャルゼによって消し止められる。
「ははっ………結界張ってたの忘れてました」
「………僕も忘れてた…………良かった……無事で」
「ウェンは、どうやって逃げて来れたんです?」
「ライナスの言葉で、私兵達の力が緩んでね、剣を奪って逃げてきた。まだ気絶してるんじゃないかな」
【私が手を貸す迄なかったわ】
「シヴァ………でも付き添ってくれてありがとう」
空中に向け会話をするカチュアを見た客間に居た者達。
「…………本当に聖女様なのか?」
「聖女様は精霊を従えるという伝記は間違いではないのだな………」
「ゆ、許さんぞ………聖女………」
ライナスはカチュアを睨む。
しかし、カチュアはライナスに最後の言葉を掛けた。
「私は貴方の子を産まなかっただけで幸せです。貴方と私の子は、この国とラピファ大陸を滅ぼすのですから………貴方を浄化するかしないかは、王の判断にお任せします。勿論、この様な事がありましたから、私が殿下方のどなたかの妻になる事等、決してありません」
「ほ、滅ぼす………だと?俺の子が………ははははははははは!!面白いじゃないか!!」
バキバキ……と、ライナスから音が聞こえ、カチュアの顔色が変わる。
「離れて下さい!!ライナス殿下から離れて!!」
そう言い放った瞬間、ライナスは拘束具を壊し、カチュアに向かって襲い掛かる。
「カチュア!!」
「!!」
コーウェンが、カチュアを庇い前に出ると、ライナスの私兵から奪った剣をライナスに斬りつける。
「ウェン!!」
「ぐわっ!!」
「……………ライナス………お前………悪魔そのものだったんだな………」
形相も体格も変わっていたライナス。
兵士達も剣を翳し、コーウェンの援護に入る。
背中にまで突き抜けるコーウェンの剣は、ライナスに柄迄刺さっていた。
「カルマ!!王に早く来てもらうように言って!!」
【それでは遅い!儂が連れてくる!】
「ジューム!お願い!」
カルマによってライナスの所業を知った王は、顔面蒼白で動けない状態だったのをジュームが直ぐに連れて来た。
「!!…………ここは………な、何だあの化物は!」
「父上!!あれはライナスです!」
デュークが王に駆け寄り、剣を持たない王の盾になる。
「ライナスだと?…………あ、あれはコーウェン?」
腰抜けだと思っていたコーウェンがカチュアを守り、剣を使う姿は、幼い時の勝気なコーウェンの様だった。
「俺もコーウェンに騙されてましたよ」
「誰もがだろ」
「あぁ、そうだな」
デュークもバッシュもグレゴリーも騙されたままだった。
「王、私にライナス殿下を浄化させる許可を下さいませ!!」
「聖女~~~!!俺の計画を邪魔しやがって~~~!!」
「何千年も前に、封印していたのに甦っていたのね…………ルシファー」
「カルディア~ッ!!」
「くっ!!」
コーウェンが押し留めてくれているが、長くは持たない。
カチュアにも焦りを見せる。
「王!!浄化の許可を!!もう、この悪魔はライナス殿下ではありません!!」
「…………ライナス………分かった……許可しよう」
「ありがとうございます!!ここでは狭いわ!移動する!!ここから一番近い広い場所は何処ですか!?」
「………カチュア……王座があった謁見……の………間………」
「ウェン!!もう離れて!」
「駄目だっ!そのまま………移転を………」
「…………皆、移転!!」
カチュアの合図と共に、カチュア、コーウェン、精霊達とライナスが瞬間移動すると、客間に居た王やデューク達、兵士達もも慌てて後を追った。
移動させられたライナスを取り囲み、精霊達が準備する。
被害が広がる前に、カチュアは紋を結び、精霊達に合図を送ると、浄化を始める。
「ルシファー………本当に変わってしまったわね……まさか、ライナス殿下に取り憑いてたなんて」
「カルディア~~!!」
「さようなら…………」
大きな光の柱が天に向かう。
カチュアはその光の中から核らしき物を見つけると、思わず手に取った。
「………昔に封印した石だわ」
「カチュア…………終わった?」
「はい、浄化は………ウェン………ライナス殿下は?」
「一応、急所は外してはいたけど、長くは保たないかもしれない……カチュアを守る為なら、ライナスを斬った事は後悔はないよ」
「………治癒は私出来ないから、早くお医者様を………デューク殿下………」
「後は、俺がライナスを見よう………コーウェン、悪かったな面倒な役回りさせて」
「ははは………長い道程だったよ……」
疲れきったコーウェンの両脇に、バッシュとグレゴリーが支えて立たせた。
ライナスは担架に乗せられ、治療に向かう。
ライナスは今意識が無いが、どう処分されるかは、政を行う貴族達の役目だ。
「聖女………世話を掛けた……」
「私に治癒をする力はありません。ライナス殿下を斬ったコーウェン様にも私を助ける為だという事を考慮して頂けると幸いです。悪魔は浄化出来ましたし、浄化されたライナス殿下のこれ迄の記憶に関しては、混在していても忘れる事は無いかと思います」
「そうか………其方も疲れたであろう、日を改めて礼を言おう……夫のコーウェンと帰るがよい」
「…………ありがとうございます」
カチュアとコーウェンは、王宮に留まらず、直ぐに帰路に着いた。
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