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お行儀見習い【タイタス】①
しおりを挟むラメイラが緊張する日がやってきた。
今日はタイタスとの勉強の日だった。
皇子宮に来い、と言われ、皇子宮に来ると
ラメイラはサロンに通された。
「ん?ピアノ?」
カチャ。
「ラメイラ様、ご機嫌如何ですか?」
「ナターシャ?今日タイタスとじゃ……。」
サロンにナターシャが来たので驚いたラメイラ。
「はい、タイタス殿下とですよ。わたくしは演奏です。」
「演奏?」
カチャ。
「おぅ、来てたか、ラメイラ。」
「タイタス、何をするんだ?今日。」
「ダンス。」
「え~~、ダンスも嫌いだ。」
明らかに嫌そうなラメイラ。
すると、ナターシャがラメイラにダンスになった経緯を話す。
「社交の場に出席する事もあるので、どれだけ踊れるか知りたいんですよ。わたくしもリュカ殿下のレッスンで上手くなりました。ですが、リュカ殿下はお忙しいので、わたくしが演奏を、タイタス殿下がダンスのレッスンをと。」
「ナターシャ、違うと思うぞ?リュカ兄上がナターシャ以外の女と踊りたくないからだ。」
「そ、そんな事はないとは思いますけど……。」
「いいや、あるね。何で俺はラメイラと……。」
「!!」
「タイタス殿下!!」
ナターシャが大きな声を出した。
「な!何?」
「失礼ですわ!ラメイラ様に!!」
「俺だってナターシャと踊りたいんだぞ!」
「………わたくし、タイタス殿下とは踊りたくありません!!………侮辱ですわ!」
「ナ、ナターシャ………ごめ……。」
「わたくしに謝るのではありません!ラメイラ様に謝って下さい。」
ナターシャの捲し立てにラメイラが入れない。
(か、会話に私が入れない……。)
「ごめん、ラメイラ。」
「あ、いや………どうせ私なんて上手くな……!」
「ラメイラ様!どうせ、とかなんてとご自分を卑下しないで下さいませ!そんな言葉ご自身で貶めるのですよ!」
優しい印象しかないナターシャだと思っていたラメイラは驚いた。
「うん、そうだな………タイタス、私相手に不服かもしれないが教えてくれ。」
「あ、あぁ。」
ナターシャはピアノに向かうと、ラメイラとタイタスは位置に着く。
•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎
ナターシャの奏でる音は優しい。
(………ナターシャは何でも出来るのだな…。)
「イテッ!!」
「あ、すまない。」
「…………。」
タイタスがラメイラを睨む。
そして、それからもタイタスは足を踏まれるのだ。
しかし、タイタスは踏まれた原因を、ラメイラの指摘をする訳ではなく、睨むだけ。
これでは勉強ではない。
「タイタス殿下、ラメイラ様に教えて差し上げて下さいませ、わたくしには男性のリード視点からでは分からないので。」
「踏まれたの、俺は!」
「分かっています。」
「踏まないようにしてくれ、それだけ。」
「す、すまない……気を付けよう。」
タイタスの態度からはとてもではないが教える気は全くない。
「タイタス殿下………。」
ナターシャが悲しそうな顔をしている。
「何?」
「正直に申し上げますわ……。ラメイラ様に何をお教えしたいのですか?ダンスで足を踏まれたなら、お相手されているタイタス殿下が悪い所を指摘するべきではないでしょうか。何故、『踏まなければいい』とだけなのです?では踏まれないように、ここをこう、とか無いのですか?」
「そ、それは……。」
「タイタス殿下は何をしてもお上手ですが、お教えする事は苦手なのだと、とつくづく思えて仕方ないのです。」
「教え方………あぁ、悪いよ、下手だ………ナターシャは教え方が上手いから言えるんだ。………だが、俺は教え方を教わった事は無い。」
「教え方は教わった事を、ご自身が教わった様にお教え出来るではないですか?それをお忘れですか?」
「ナターシャ、もういいよ。私の為に怒らないでくれ。」
黙ってタイタスとナターシャを見ていたラメイラが口を挟む。
好きな人の態度に悲しかったし、自分に優しい彼女の怒ってくれるのは嬉しい。
だが、タイタスは変わらない。
きっと変わらないと思う………。
タイタスは『分からない』んだろう、人に何かを教えるのが。
「ラメイラ様……。」
「私、リュカに頼むよ、ダンスは練習するが私が分かりやすい教え方が出来る人を寄こして欲しい、て。」
「あぁ、その方がいい、俺はラメイラの教師は降りる。」
タイタスは苛々し、サロンを出て行ってしまった。
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