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しおりを挟む「未央理!大丈夫か!」
「……うん……気持ち悪いのはずっとあるけど……」
そのまま病院に行く事も考えた未央理だが、保険証を持ってはおらず、一旦帰ってきて秀平を待っていた。
「秀平様、未央理様、おめでたでは?」
「…………え?」
「そんな事はない……避妊はしてた………でも念の為に調べるか。産婦人科に行くぞ」
「制服のままはヤダよ!」
「そんな事言ってる場合か!夫婦の証明なら保険証やマイナンバーカードで分かる!行くぞ!」
未央理も考えなかった訳ではない。だが、生理も止まってないので、直ぐにその考えは消去したのだが、産婦人科に行くという秀平。
「な、内科で良くない?」
「駄目、産婦人科!」
「えぇ!」
気持ち悪い未央理を抱き抱え、車に乗せた秀平は家の近くの産婦人科へと直行する。
「如何されました?」
「妻が妊娠した可能性がありまして、検査と診察を」
「………え……あ、あの方ですか?」
「そうですが?」
「は、はい………保険証かマイナンバーカードを………」
学生服の未央理だ。人妻だとは見れない。しかし、調べれば夫婦だと直ぐに分かり、考えを改めた病院の受付。
「では検査の為にお手洗いに」
「………あ、はい……」
渡された物を受け取る秀平はちょっと照れ臭そうにして受け取って、未央理の方へ戻る。
「化粧室行けるか?」
「………うん……本当に産婦人科に来ちゃうし……違うと思ってんのに……」
「医者じゃないだろ!お前は!」
「怒鳴らないでよ、病院で……待ってて」
ヨタヨタと歩いていく未央理を心配そうに見る秀平だが、声を張り上げたので、注目を集めてしまった。
「あ、すいませんでした」
暫くし、診察室に入ると、赤っ恥をかく。
「食あたりでしょうね……妊娠はしてません」
「え?」
「………ほら……だから言ったのに……内科でいい、て……」
「食べ合わせが悪い物を食べたかもしれませんねぇ……月経は定期的の様ですし、旦那さんの勘違いの様です………嘔吐されれば、まぁ考えられてもおかしくないでしょうし、待ち望んでらっしゃると、よくある話ですからお気になさらず……奥さんは学生さんでしょう?しかも三条高校の制服だ……大学進学してからでも遅くないんじゃない?妊娠」
「そ、そうですね……」
「気を付けます……」
薬を処方してもらい、秀平の車に乗った未央理の一言。
「恥ずかしかった!」
「………俺も……」
「………プッ………吐き気まだするけど、笑える……」
「笑うな」
「パパになった気でいた?」
「………なってたよ……もっとしっかりしなきゃ、てな……」
「いい予行練習になったかもね………プッ……」
「襲うぞ!そんな可愛い顔したら!」
「………体調戻る迄無理だし」
「一体何食ったんだ?」
「お昼お弁当の後にスナック菓子爆食いしたからかなぁ……でも明日香達もだよ?」
「………」
秀平は呆れてものが言えない。
「………生理終わったばっかで、妊娠の兆候なんて出ないよ」
「………あ……そうだよな……そうだった」
結婚して3年目になれば秀平にだって月経周期も分かってくる。それを忘れて焦りが出たものだから、この恥をかく事になってしまった。
「………なぁ……」
「ん?」
「今日、何もしないから一緒に寝ていいか?」
「珍しい………普段、金土で徹底してるのに?」
「………し、心配だからだろ!」
そう、秀平は学生の未央理の為に、自制しながら夫婦生活をしていた。互いに抱き合いたくなれば流れでセックスしてしまうだろう、と平日はベッドは別なのだ。
「うん………私も一緒がいい」
その後、お手伝いさん達にも診察結果を話し、笑い話となった所で、未央理も薬の効果か、吐き気も治まってくる。
「良いのか悪いのか、ですね、未央理様」
「出来たら、即答で産むて答えるけどねぇ」
「高校卒業迄は、お気を付けになられるんですよね?」
「うん………秀平の立場を壊したくないから」
秀平も気を使ってはいたが、未央理は未央理なりに、秀平の教師としての立場を尊重して、妊娠しやすい日は把握している。
「未央理、今日は勉強はいいからもう寝ろ」
「まだ20時……」
「いいから寝ろ!」
「………過保護なんだから……親みたいに見える時あるよ」
「………なっ!俺は心配してだな……」
「分かってる……素直に寝るよ……おやすみなさい」
勿論、後から秀平も同じベッドに入るが、抱き締めるだけの夜になった。
翌日は未央理は休みにさせられたので、秀平だけ学校へ行く。
「三条先生!」
「未央理、如何でしたか!」
「………君達元気だよな……」
「未央理……妊娠でしたか?」
「………は?………あぁ……君も一緒にいたのか」
明日香ではない別の未央理の友人。
「如何だったんですか!」
「食あたりだそうだ………胃が荒れてるから薬飲んで大人しくしてる」
「………そっか………妊娠じゃなかったんですね………先生、残念?それともラッキー?」
「ん?………何だ?残念って……」
「付き合ってますよね?」
「………な!………え!?」
「バレバレ~!………でもバラしませんから安心して下さい。未央理と卒業したいし」
「………バレてたのか……」
秀平は一安心してしまった。一瞬、自分の身の保護に走りそうだったからだ。
隠し通そうとする気持ちと、認める気持ち。戸惑っていたから良かったものの、肯定も否定も出来ず、肯定したらの今後と否定してからの今後を考えてしまい、中途半端で居る事に安心したのだ。
未央理が卒業迄、長い様で短いと感じる昨今だった。
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