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しおりを挟む理子が亡くなって2年。
未央理は高校3年になった。
今では央とも、誤解も解け、頻繁ではないが連絡は取っている。藤枝家の面々は相変わらず未央理を嫌っている様で、高校2年になった陽葵と顔を合わせても、陽葵は嫌味を言って去って行く始末だ。
「未央理、教室移動だよ」
「あ、うん……今から行く」
友人も増え、学校の成績も上位になり、それも全て秀平が居るおかげなのだが、未だに進路に悩んでいた未央理。
「ねぇ、大学決めた?このままエスカレーターで進むのも変わり映えしないよね?」
「私も悩み中……大学行ってやりたい事も無いしなぁ………」
「いっその事結婚!……て訳にはいかないよね……あぁ、彼氏欲しい………」
「明日香は頭良いんだから大学行ってから、彼氏見つけなよ」
「いいよねぇ、未央理は……彼氏と別れないままずっとでしょ?結婚しちゃえば?」
「………ははは……そんな進展ないよ」
結婚は2年前に既にしている。18歳になったばかりの成人になった未央理だが、まだまだ大人になれた気もしない。心情的に何も変われてはいないのだ。
『ハイ!ミオリ、アスカ』
『オリバー先生、如何したんですか?』
『声を掛けちゃいけないのかい?可愛い俺の生徒達に』
『担任だからって、すれ違う度に声掛けられるのも如何かと思いますけど』
『…………拙い英語しか喋れなかったミオリが言い返す様になって……可愛かったのに……あの下手な英語……』
「行こう、明日香」
「じゃあねぇ!オリバー先生」
「しっかり勉強しなよ~」
そういうオリバーも日本語も流暢になり、未央理のクラスの担任になっていた。
「英語得意なんだから、英文科進んだら?未央理」
「まだまだ下手だよ……それも日常会話を英語で特訓させられた成果でしかないもん」
「三条先生と?」
「うん……私が下手だから」
「………ねぇ……まだ隠す必要ある?」
「え?何が?」
「惚けちゃって……彼氏………三条先生なんでしょ?」
「………え……」
「未央理とどれだけ付き合ってると思ってんの?もうバレてるよ」
「い、いつから……」
「覚えてないけど、知ってる子、私だけじゃないと思うよ?」
友人として、何気に見ていて気が付いたのだろう。
授業中、未央理と秀平が目線を合わせた後、お互いに嬉しそうだったり、剥れたりする事もあったのだ。それが頻繁に近くに居る友人なら分かってしまうだろう。
「………ごめん……言えなくて……」
「この1年乗り切れば卒業だ!コソコソ隠れてイチャイチャする事も無いから頑張れ!未央理!」
「うん……て、隠れてイチャイチャしてないし!」
「してるっての………目線合うと、アンタ顔エロいから……序でに言うとあっちはデレデレ……何あれ、てぐらいクールな印象何処行った?て感じよ」
「あ、あれ……イチャイチャって言うの?」
「言葉無いだけでも、アンタ達の周り甘い空気流れてるって………何なのあの激甘」
「そ、そんなに?」
「うん」
周りにバレているとは全く知らず、明日香以外の友人達にも聞くと、バレていたという。
「皆気が付いてたんだ!私、言ってもいいのか分からなかったよ!」
授業終わりの、塾へ行く子達の時間潰しの為に寄った駅前のカフェで集まり、また秀平との事を根掘り葉掘りと聞かれる未央理。
「私も………ほら、未央理隠したがってたし……」
「ほらね?知ってる子居るでしょ?」
「で?………未央理」
「な、何?」
「なんて呼んでるの?」
「あ!聞きたい!」
「吐け!未央理!」
「………な、名前……呼び捨て……」
「………ちっ!エロい顔して言ってるよ、この子」
「リア充め」
「全くよ」
「ご、ごめん……皆……」
ただただ平謝りで、未央理は注文したカフェオレを口に運ぶ。
「っ!………気持ち悪………」
「未央理?」
「ちょっと………トイレ……」
普段から飲んでいるカフェオレだ。だが、ニオイで急に吐き気が来るとは思えなかった。
「………ごめん……体調悪いみたい……帰っていい?」
「未央理、顔青褪めてるよ?迎えは?」
「………今日は断って……」
「呼んだら?電話掛けてあげようか?」
「………ん……大丈夫……呼べるから……」
未央理は三条家に連絡し、運転手を呼んだ。
「未央理様、お待たせ致しました」
「あ……ごめんなさい……ありがとう、急に……」
「いえ……秀平様もお仕事終わられたら直ぐに帰られると仰ってましたから」
「皆、ごめんね……多分明日休む」
「お大事にね、未央理」
「気を付けて」
未央理が去った後、未央理の友人達は、ある予想を立てた。
「まさか、妊娠じゃ………」
「あれ、悪阻の症状だよね」
「ど、如何するのかな……」
「や、辞めちゃうかも……学校…」
状況が状況なだけに、そんな考えしか出て来ない。
「お、お祝い?」
「堕ろすってのは考えなさそう」
「そうだね……お祝いだよね、きっと」
「とりあえず、そっちで連絡待とう……学校大騒ぎになるだろうけど、成人してるんだし大丈夫だよね」
「「「うん」」」
勝手に友人達は盛り上がり始めているのだが、当の本人はそんな気を回せる程には至ってはおらず、三条家に帰った。
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