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おまけ③
しおりを挟む「久しぶりだな、大学」
「そっか、この大学通ってたんだね」
未央理は秀平の腕にぴったりと組み、学祭中のキャンパスを歩いている。
「ねぇ、こんなにベタベタしなきゃ駄目なの?」
「やっと外出でイチャイチャ出来るんだぞ?勿体無い」
未央理の左手薬指には指輪が2つ嵌めてあった。
『こんな事に使いたくなかったが、結婚指輪は用意してたんだ。結婚式で見せたかったが、その時はまた買う。普段使いで着けれるぐらいの値段だから着けてくれ!』と言われ、嵌めた指輪だ。
正直、指輪の価値等分かってはいない未央理。デザインが好みでも安くなければ使わないし、安い中でお洒落を楽しむタイプなので、普段使いという言葉を信じただけだ。
「未央理のサークルは?」
「確か露店してるかと」
「参加しないのか?」
「辞めたよ………だって、断ったのに応募した人達なんて、一緒に居たらまた何されるか」
「そうだな……辞めてなかったら辞めさせてた」
「同意見で嬉しい」
「これでも、未央理を見てきた夫だぞ?分からない訳ないだろ」
露店で店に居たサークルメンバー達。
「あ!三条さん何してたの!最近連絡しても来てくれないから如何しようかと思ったじゃん!今日ミスコンなんだから頼むよ!」
「先輩、私断りましたよね、ミスコン」
「さ、さぁ?どうだったかなぁ?そうだった?でももう決まった事だし楽しめば?」
「ガキは正直になっときゃいいんだよ」
サークルメンバーの惚けた言いぶりに、未央理の横に居た秀平がキレる。
「は?………さ、三条さん、この人………誰?」
「私の夫ですけど?………言いましたよね?私既婚者だって」
「っ!…………い、言ってないよ!初耳……」
「あ!三条先生じゃないですか?」
「………え?」
「覚えてませんか?三条先生が赴任して来た年にクラスだった………」
「………あぁ!森さん?久しぶりだね」
「そうです!森です!……あ、三条さんと一緒に居るって事は……」
「俺の嫁」
「せ、先生………?」
「因みに言えば、この学園の理事長の孫……さぁ、不正したガキは誰だった?ミスコンはミセスは参加出来ないんじゃないのか?」
権力を翳した秀平に、未央理はそんな事をする人ではないとは思ったが、今迄見なかったのか、そういう場面が無かったのか、初めて見る姿だ。
「じ、実行委員から頼まれたんだ!三条さんを優勝させるから出させろ、て……」
「ポスターの写真を撮ったのは?」
「実行委員の誰か……です……」
「君の学部と名前教えてくれる?君の評価を左右なんか出来たりするかも……」
「っひぃ!………言います!言いますから!」
脅しに近い秀平に、サークルメンバーが気の毒に思えたが仕方ない。
実行委員の誰だか分かったところで、ミスコンが始まってしまう。
「あ、ミスコン始まった」
「出る?未央理」
「ヤダよ」
「俺も未央理が今以上、男にモテさせたくないから出るな」
離れた場所でミスコン風景を見ていた未央理と秀平。
だが、設置されたステージは人が見渡せる程に高くしてあり、ミスコン実行委員の司会者が未央理を見つけた。
「あ!三条さん!早く来てよ!ミスコン始まってるよ!」
いきなり壇上からマイクを通して、名前を呼ばれたので、思わず秀平の腰にしがみつく未央理。
「お、役得」
「今更何言ってんの!逃げようよ!」
「いや、この場で実行委員を晒し首にしてやる」
「は?」
「ちょっと!三条さん!誰、その男!」
ミスコン見学者の男達も、未央理が抱き着く男、秀平が気に食わない様子。何故かミスコンの参加者のポスターで、未央理を知らない男達迄、マドンナ的存在にしつつあった様だ。
「誰って?未央理の旦那だが?」
「何だと!」
「本当なの!三条さん!」
「ほ、本当よ!私は既婚者だって言ってるのに、参加者にされて困ってるから旦那さんを連れて来たの!」
「証拠見るか?」
「………秀平?何証拠って……指輪してる………んっん!」
「「「「「!」」」」」
ざわっ、とどよめきが挙がる。
キスだけで証拠になる訳ではない。ましてや指輪等ファッションの一つで、見栄で既婚者ではなくても左手薬指に嵌めている者もいる。
だが、マドンナ的存在にされた未央理が、男とキスする姿は見たくないかもしれない。しかも、そのキスは未央理が腰が砕ける程、濃厚でセックス中にされるキスだった。
唇が離れ、銀糸を引き切れた頃、未央理は秀平に抱き留められ、未央理の顔はエロい。
「おっと………大丈夫か?未央理」
「………だ、大丈夫な訳ないでしょ!何すんの!アンタ高等部の教員なのよ?生徒達が、教え子達が見てたら如何すんの!しかも理事長の孫なんだから、節度守りなさいよ!幾ら、実行委員が不正したからって、それを糾すのに、こんな濃厚キスしなくたっていいでしょ!」
再び、会場がざわつき、見学者は実行委員達を見る。
「不正?」
「ミスコンは出来レース?」
「あ、あれ高等部の数学教師の三条先生だ」
ざわざわと拡がる波紋に、実行委員達はたじろぎ逃げて行こうとする。参加者の女達を置いて。
「待て!お前等!未央理の盗撮写真持ってこい!」
「盗撮もしてたのか!あいつ等!」
もうこうなれば、公開処刑の様なもので、実行委員達に未央理は平謝りと、盗撮写真を未央理に渡された。
「戦利品」
「何が戦利品なのよ」
「………うわっ!何だこのレア顔!俺でさえあんまり見られない満面笑みは!」
「………欲しかっただけ?」
「っ!」
秀平に詰め寄ると、写真を撮る事も我慢していた為に、レア感があるらしく、特に大学に通っている間は未央理と離れるので、どんな顔をしていているのかを見たかった様だ。
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