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しおりを挟む「宜しいのですか?王太子妃殿下」
「変わり映えしない事よ。いつもの事で、また明日にでも同じ事を仰りに来られるわ」
公務の為に、馬車に乗ったサブリナは、宮殿から王城へと向かっている。
王太子妃になってからというもの、サブリナは王太子の仕事をほぼ、1人で担ってきたのだ。
外交的な公務は派手な事なので、レイノルズに回されているが、内務的な仕事はサブリナが行っている事は、王城勤務の貴族達であれば、皆知っている事だった。
サブリナは幼い時から、神童と言われ、学力も優秀だった為、将来の王太子妃と熱望されて、レイノルズと婚約させられた、公爵家の令嬢だった。
血筋も見目も申し分ないのだが、愛嬌が無いまま大人になってしまった為、レイノルズには面白みもない相手である事には変わりない。
しかも、レイノルズ自身が学力や知識がサブリナより乏しい様で、仕事を任せても利点になる事と、得にならない事の判別が出来ない男だった。
だからこそ、レイノルズには頭の良い令嬢が、操縦する必要があるのだ、とサブリナは婚約者にされてしまったのだ。
それは、サブリナにもレイノルズにも望んでいた結果ではない。
サブリナも、レイノルズが公務を熟し、仕事が出来る男であれば、レイノルズへの態度も冷たくは無かったかもしれないが、婚約してからレイノルズはまだ既婚者だったミューゼと不倫をし、夫を亡くしたミューゼを手元に置きたくて、王太子夫婦の宮殿であるパサ宮殿に、サブリナの了承も無く囲ってしまったのだ。
そんな裏切りから始まった関係に、結婚し宮殿にサブリナが入ってから既に居座っているミューゼの存在は、サブリナにとってレイノルズに歩み寄れる隙間は無いと、誰しも思う所だろう。
「あんまりです………王太子妃殿下が不憫で………」
「わたくしの心配は要らないわ。だって、パサ宮殿の皆様は、わたくしの味方ですもの」
「当然です!私は、幼少期からレイノルズ殿下をお世話してまいりましたが、この数年の殿下のなさりようは………離縁、大賛成ですからね!」
「ありがとう………でもね、わたくしは貴方達が心配よ………わたくしが居なくなったらと思うと…………」
「そうなったら、王太子妃殿下に付いて行きますよ」
「…………まぁ……それは大変……」
パサ宮殿の執事を筆頭に、サブリナは宮殿内の侍従達を手中に治めてきていたのだ。
それはレイノルズとミューゼへの信頼が落ち切っている事も理由にあるだろう。
結婚後、サブリナへの同情心を向けられてから、人柄と正論を口にするサブリナへ好意を寄せて来た結果も反比例として効果を上げたのだ。
「わたくし、離縁後は亡命し、わたくしの両親も罪に問われ兼ねないので、両親も共に出るつもりですのよ?付いて来るだなんて…………わたくしは貴方達の人生迄責任取れませんわ」
「…………ですよ、ね……」
---気持ちは分からない訳ではないのよ……わたくしの両親だけではない………実家の公爵家に勤める侍従達さえも連れて行くのだから………そんなに人の人生をわたくしが左右させる等……
サブリナは計画をしていたのだ。
レイノルズと離縁したい気持ちは、結婚直後から持っていて、その為に資産運用をし、個人資産を蓄えてきて、サブリナの両親にその管理を頼み、5年を費やして亡命の準備をしてきたのだ。人を巻き込み過ぎて、もうそれ以上巻き込む余裕も無かった。
「貴方達は、レイノルズ殿下を支える事を仕事にしているのよ?貴方達が離れたら、誰がレイノルズ殿下のお世話をするの?」
「…………王太子妃殿下………」
サブリナは良心が痛むが、レイノルズが改心してさえすれば、国の存続は出来るだろう。
改心さえ、するならば。
「わたくしは、レイノルズ殿下の離縁を受け入れるつもりよ。それには、国王陛下や王妃陛下、他の貴族達の承認が必要でしょう………でも、承認なんてされないわ、きっと………」
「で、では、離縁はされない、と………」
「結果的に、離縁はするわ………多分………」
宮殿の侍従達を連れて行けない以上、濁す事しか言えないサブリナだが、準備は整ったと、サブリナは思っている。
レイノルズには世継ぎが必要で、ミューゼはレイノルズより歳が上である為、直ぐにでも子供は欲しい筈だから、毎日サブリナに離縁を訴えに来ているのだ。
レイノルズとミューゼの関係は5年以上続いている事から、焦っていると言ってもいい。
サブリナがレイノルズと結婚したのは18歳。共に18歳だったレイノルズは婚約期間中から、歳上のミューゼと不倫をしていたので、早く子供が欲しいだろう。サブリナとの子供ではなく、ミューゼとの子供を。
その証拠に、サブリナはレイノルズと夜を共にしていない。
初夜こそ、夜は一緒に居たが、白い結婚だ。
サブリナも、レイノルズに好意等無い事から、サブリナもレイノルズに強要等しなかった。
だから、未だに未通の身体であるサブリナ。
離縁出来ず、レイノルズと身体を繋げるなんて、サブリナは遠慮をしたいし、一生独身で居たい訳でもないので、レイノルズ以外の男で好意を寄せられそうな男と再婚したかった。
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