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しおりを挟む麗禾が寝込んでから3日後、晄のマンションに外注が来てくれた。
麗禾が外出出来る服を持ち合わせておらず、晄のシャツ1枚では生活出来ないので、やっと人らしい生活を送る為に、服を買えると喜んでいた。
「何でお前の下着を麗禾に渡してんだよ!持って帰れ!」
「新品だし、買って来た物よ!サイズだって麗禾ちゃんに聞いて数点買って来たんだから、礼言われるならまだしも、何でアンタがキレんのよ!」
「お前が選んだ奴なんて、着けさせるか!」
「わ、私頂きます!」
「駄目だ!もう直ぐ外注が来る!それで買う!」
また始まった喧嘩に、もう引き止める努力も失せた。
そう思うと榊は凄い忍耐力だと思える。
「あ、あの………外注が来ても、流石に全裸で会うわけにはいかないと思いますし、私は嫌です!」
「だよねぇ?…………どうよ、見せたいの?アンタは………麗禾ちゃんのエロボディー」
「っ!…………今回だけだからな!」
こうなると分かって、晄に見つからない様に小夜に頼んだのだが、晄にバレてしまったのだ。
「す、すいません………小夜さん……あ、領収書下さい………足りなかった分があればお返ししますから」
「……………本当……麗禾ちゃん、極道っぽくなくて良い娘…………癒しよ……あんなのばっか相手させられてた私の元にオアシスが来てくれた………」
「離れろ、小夜」
「…………減るもんじゃないじゃないの……女同士だし」
小夜に抱き着かれて、麗禾もまんざらでもなく、小夜を抱き締め返した時、ベリッと晄に剥がされてしまった。
「女にも嫉妬向けるなんて、最低!」
「お前は俺の中で、女の認定して無い」
「あ、そ…………あとスカートで良い?フリーサイズの私のだけど、流石に野郎のシャツだけじゃね」
「ありがとうございます、小夜さん」
「何渡してやがる!」
「貸すだけじゃん!麗禾ちゃんが服は自分で選びたい、て言ったけど太腿チラ見せで、店のスタッフに見せる気か!」
「…………今日だけだ……それ以降は許さん」
倒れてから3日、晄が麗禾に優しい。
元々、優しい場面は見えていたが、麗禾を観察し、少し考え事をしたり、動きを止めると駆け付けて来る様になったのだ。
「…………黒龍さんが、優しくて逆に怖い……」
「…………大目に見てやってよ、不器用で今も自分の気持ちに整理付かなくて、どう麗禾ちゃんに接して良いか模索してんだからさ、晄は」
「優しいのは、以前からそうでしたけど………なんだか、今は甘やかされているというか甘えて欲しそうな…………」
「よく見てるわねぇ………だからか……」
「え?…………何か言いました?」
「……………ううん、独り言」
麗禾も人の顔色はよく見ながら育った。観察眼は晄にも負けないかもしれない。
そして、外注の営業が来る時間になり、時間通りにチャイムが鳴った。
「若頭~!お久しぶりですぅ~!」
「…………あぁ……早く奥で準備してくれ、量も買うし、お前の売り上げ貢献してやるから」
「まぁ!ありがとうございます!若頭!」
外注の営業に来たのは女だった。
雰囲気から察して、女の頭の回りにハートマークにピンクのオーラが見える。
---何、あれ………また愛人だ、きっと……
またも、心にモヤが掛かった気がして、以前と同じ様に、晄も自分に構わずに、イチャイチャしててくれ、と思うのだろう、と思って気にしなかった。
「ちょっと!卓!何あれ!」
「……………若頭の愛人の1人………だ………何でアレ呼んだんだ……全く………」
他にも居ただろう、的な思考が榊から読み取れたが、麗禾は平静を保っていた。
「若頭~………最近ご無沙汰ですけど、新しい女でも出来ました~?」
「そんな事より、仕事してくれ………パンフとかも見たい」
「っ!…………もう!連れないったら………ふ~ん…………アレか……」
晄とは少し離れていたので、麗禾は聞き取れなかったし、女が晄にベタベタしているので、小声でも充分な距離だ。その女が、麗禾と小夜を見比べていて、麗禾に絞った様だった。
「卓………麗禾ちゃんとイチャついて!」
「は?何でだ」
「良いから!………あの女……麗禾ちゃんをライバル認定しやがった!」
「は?…………認定なんて烏滸がましい………」
「麗禾ちゃん、卓と腕組んで!」
「え?…………な、何を急に…………小夜さん、ちょっと!」
「お嬢はただ其処に居て下さい」
しかし、これは火を点けた相手が悪かった。
小夜と榊がコソコソと話していた直後に、榊に麗禾を押し付けた小夜を晄が見ていたのである。
「榊!何で麗禾と腕組んでやがる!小夜!お前も変な企み止めろ!麗禾!こっちに来い!」
「あちゃ~………もうバレたよ………」
「い、行ってきますね………あっちに」
「……………はい、お嬢…………余計な事しました………」
怒りの矛先を、榊と小夜に行かせたくなくて、麗禾は晄の座るソファの横に座った。
「種類の豊富さに圧倒されちゃって………しかも、足も縺れちゃって、榊さんに支えて貰ったんです…………晄さん……」
「っ!…………そ、そうか……大丈夫だったか?足………まだ体力戻ってないんじゃ……」
「あ、それは………大丈夫です………はい………」
なんだか、それで甘い雰囲気にさせてしまった様で、晄が久々の名前呼びに、デレデレ感が感じられた。
「な、な、何………だ、誰よあれ………」
「若頭だな、正真正銘………お嬢も操り方が上手い………」
これで、また外注の女に違う火を点けたのは言うまでもない。
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