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コルセアと開戦

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 数日後、コルセア国から2回目の兵力が投入された。1度目はルカスがモルディアー二へ帰って、マシュリーとイチャイチャしている最中、マークが指揮を取り、コルセア国に追い返した。それにより、新たにまた兵力を寄越すと予測しているルカス。

「やっぱり来たか………兵力は増えたか?」
「倍ぐらいですね」
「よし………ボウガンや遠距離対応の弓装備は?」
「待機してます」

 双眼鏡を使い壁の上から覗くルカスとマークや、各隊長達。

「弓兵は、北側が全貌を見渡せる場所に等間隔で並ばせろ、歩兵は門外待機、騎馬は門内で状況確認しつつ出撃合図を出す………俺と各隊長は騎馬で各隊をまとめろ!………マーク、お前は全体をここから流れを見ておいてくれ」
「「「「はっ!」」」」

 壁を下りるルカスは、門外へ騎馬し待ち構えた。壁から見ていたので、敵であるコルセア国の陣営の組み方さえ、出来ていないのも確認し、待ち構えていた。
 1時間程だろうか、緊張感を保ちルカス率いるモルディア皇国とジェルバ国の兵士が待ち構えていたのには、コルセア側も驚いていた様だった。

「さぁ、開戦と行くか?………コルセア国」
「な、ジェルバ国が何故急に戦力が上がったんだ!」

 壁の上から兵士達が、空中から援護射撃をする為、歩兵戦に気を取られていると、弓やボウガンでやられ、戦力が落ちていくコルセア国。ジェルバ国は元々、戦う事に諦めてしまった国だが、高い壁に囲まれ、篭城戦には適した国だった。だからこそ、コルセア国やアガルタ国との国境地にあるジェルバ国の地に、城塞を作る事が出来れば、衣食住の心配はあるものの戦いは出来る筈だったのだ。ただ長い迫害の末、戦士達は奴隷にされ戦力を奪われてしまった為、戦う事を忘れてしまったのだ。

「歩兵!周辺からコルセア軍を囲え!逃げ場を作るな!」
「引けっ!退去だ!」

 ジェルバ国の兵士として戦うモルディア皇国の兵士達。武器だけでは負ける可能性はあるが、戦略的にはルカスの方が上だった。
 真っ直ぐに門へ向かって来るコルセア軍を追い込んでしまえば、後は退路を断てば、あとはじわじわと戦意を失わせればいいだけ。追加の兵士達が来る可能性もあったが、壁に居るマークからはその連絡も無い。

「囲えば、戦力追加が無い限り負けん……コルセア軍を率いる奴を探せ!」

 指示役を拘束すれば戦いは止まる筈。ルカスはその指示役からの情報収集が必要だった。だが戦いは直ぐには終わらず、モルディア皇国の兵士の負傷者も増えつつあった。

「騎馬兵を!」

 兵士を補充し、ルカスも剣を構え戦闘中の輪の中に入って行く。

「ルカス様を援護しろ!」

 マークもその姿を見て、弓兵隊達にルカスを援護に向かわせる。その援護が功を奏し、コルセア軍が崩れていく。

「引け!引くんだ!」
「退路を塞がれて逃げ場がありません!」
「ジェルバ国如きにヤラレる訳にはいかん!」
で悪かったな…………貴様が大将か」

 ルカスは大将らしき者を見つけ、行く方向に周り退路を更に絶つ。

「!!」
「コルセア軍!武器を置け!!抵抗すれば命を取る!!」

 次から次へ、武器を下ろすコルセア軍。抵抗の意思は無いようだ。

「何故、武装してジェルバ国へ来た?」
「…………ジェルバ国を滅ぼす為だ」
「でも、ヤラレてるな、コルセア国が」
「な、何故抵抗する!お前達はただ、コルセアに宝石を出せば良いのだ!!」
「奴隷にさせる様な国に、屈する気はもう無いのだ…………先日【輸出】したであろう?数は………だが、更に要求をしてきたのだ、我々の意見等聞こうともしなかった」
「奴隷族風情が、我等民族に楯突くからだ!!」
「楯突く?…………【輸出】の数はあった事で満足すれば良かろ?」
「五月蝿い!奴隷族が!!…………ぐぁっ!!」

 ルカスが大将の足を剣で突き刺す。

「奴隷、奴隷、と五月蝿い蝿だな………たまには皆殲滅させなければ、お前達コルセア国は図に乗る、と学んだ……………また助けを求めに行き、兵を寄越されたら堪らん………殲滅しろ!」
「や、やめろ!!………い、命だけは!!」
「…………虫唾が走るな……そう言って、今迄ジェルバ国民の命を奪ってきたのだろう?コルセア国は………お前達は、ジェルバ国の民達に、恐怖と恨みを与えてきたに過ぎない……命乞いしてきた者も多くいる………たかが、この場に居る兵士達の命でにもならん、はした金だろうが見せしめにするには安いものだ………全員首切っておけ」
「「「「はっ!」」」」

 モルディア皇国の兵士達はルカスの残虐性に恐ろしさを感じるが、それは戦地の時だけだ。次々と悲鳴が上がる。命乞いの声を聞きながら、ルカスは北門からジェルバ国へ入っていった。

「お疲れ様です、ルカス様」

 マークが北門でルカスを迎える。

「…………胸糞悪い」
「お言葉が汚いですね」
「……………コルセアがジェルバを……ツェツェリア族を長い間見下して蔑んできたか………蓄積された様にその空気感を纏っていたからな…………奴隷族、だと吐かした………モルディアもそうしていた事も本当に情けない」
「…………がそう教えているんでしょうね………」
「胸糞悪いだろ?」
「……………如何なっているんでしょうね、コルセア国の街は……奴隷にされた者達には人権も無さそうですし」
「…………あったら、感心するよ………あぁ……マシュリーに癒やされたい」
「はいはい…………とりあえず、俺がルカス様を癒やしますから………何ですか、その嫌そうな顔」

 冗談でも、マークに癒やされたいとは思えないルカスは、さっさと城へと戻って行った。
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