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甘い蜜夜とルカスの秘密♡
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しおりを挟むベッドの背もたれに寄り添って座るマシュリーとルカス。
「話す機会がなかったから、今になってしまったが、皇太子妃になるマシュリーは知っておいて欲しくてね」
「……………はい」
「モルディア皇国の皇族の祖先の話から始まるんだが、遥か昔、我々の祖先は人外、神人だったんだ」
「………神人?………世界の祖……」
「そう………人間の姿形をしているが人外の力を備わっている………もしかしたら、ツェツェリア族もそうなのかもしれないね……」
淡々と静かに語るルカス。熱を持ちマシュリーに愛を語る口調ではない。それはそれで真面目に愛を語ってはいるのだろうが、また違う口調だ。
「人間と交わり、子孫も出来、統治してきたこの地に長く居座ってしまったが為、問題が起きた………神人だった考えを、人間に侵食され忘れてしまったんだ……他国を襲い、弱い物を奴隷とした国も多くなった時代、モルディア皇国もそうなってしまった………そうすると、まだ神である者達から罰を与えられ、人外の力………神力を封印され使えなくなってしまったんだ………それが約100年前……」
「神力………とはどんな力なのですか?」
「………魔法みたいなものさ………僅かな力は出せるんだけど、自らは出せなくてね……引き継いできた剣に込められている力を引き出すぐらいしか出来ない……行き場の無い力は、精力に行ってしまう…………」
ルカスはここで、マシュリーに申し訳無さそうな顔をした。
「…………だから絶倫なのですね!?」
「………そのようだ…………それで、困った先々代の皇帝は、神力を取り戻すべく、神達に掛け合った。すると封印は100年………その間に、殺戮や迫害、侵略、奴隷を一切止めよ、とね………だから、皇国内を戦場にせず、侵略されず侵略せず、迫害を止めようと決めた…………それが出来なければ、神力は取り戻す事は出来ない………まぁ、無くても生活は出来るから不便ではないけど、いざ迫害や殺戮、侵略、戦争が無い国はなんて平和何だろう、て思えば守ろう、て思うだろう?………神力が戻って使い方をまた間違えてしまうかもしれないが、そうなったらこの教訓を後世に残し、活かして貰えればいい、とね……」
「………活かして貰いたいですね」
「あぁ………だから、いつ神力が戻って来るか分からないが、それ迄は俺の精力に付き合って貰う事になるから、覚悟しておいてくれ、マシュリー」
「………………え!?」
結局、行き着く事は、ルカスの鬼畜絶倫に付き合え、という結論になってしまい、その夜も貪り倒されたマシュリーだった。
♡♤♡♤♡
某屋敷の一室。外出も許されず、ただ自分が置かれた立場に納得がいかない女、アンナレーナ。親しい友人が遊びに来るぐらいしか楽しみは奪われ、遊びと称し、趣味のだった陵辱を強いてきた房事も出来ず、鬱憤だけ募っていた。婚約者だった、モルディア皇国の皇太子ルカスに婚約解消を一方的にされ、暫くして別の知らない女がその座を奪っていった事に腹立たしく、しかも婚約解消して直ぐだと聞かされ、その後にルカスは公務で暫く首都から離れて帰って来ると、大勢の令嬢達の前でルカスが抱き着いて、濃厚なキスをお披露目したとの事。
アンナレーナはルカスに好きな女が出来た事にも、その女がルカスを骨抜きにしたのも気に入らず、日々出る事の出来ない屋敷で、侍従達に腹いせに八つ当たりをしていた。
バシッ!バシッ!
「うっ!!」
「はぁ………はぁ………」
今も屋敷の侍従に命じ、壁に拘束した侍従を裸にし、背中に鞭を打つアンナレーナ。
「私は1番になりたいのよ!何処の馬の骨が、私のルカスを奪って行ったの!!」
「そ、それは………公表していないのです、アンナレーナ様」
「私も調べましたけど、城に住んでいるとしか………」
「城!?……………城に居るの?その女は……」
「は、はい……その様ですわ……昨日、皇族居住階へ殿下と一緒に行かれたのを見ましたもの」
聞けば聞く程、アンナレーナの形相は変わる。
「苛々するわ!!………あの薬草も、もう入手しようにも、彼処に行けないし!外に出れれば、私も城に行き、その女を探せるのに!」
「アンナレーナ様………私達も注視しますわ………特徴は、金髪に金の瞳の女で………」
パシッ!
「!!」
「ひっ!」
特徴を聞いた途端、アンナレーナが鞭を振った。
「金の………瞳…………?」
「え?………えぇ………モルディア皇国では珍しく………」
「………………見つけた………私の宝石を………」
支離滅裂だった。ルカスとマシュリーへの嫉妬に駆られていたアンナレーナが、一瞬にして物欲の方に思考が変わる。あれ程欲しくて欲しくて、コルセア国やアガルタ国に便宜を図り、幻覚作用の薬草を大量購入し、売り捌き、見返りとして金の瞳の人間を探せと言ってきたアンナレーナ。虹色の宝石を手に入れれば、ルカスは再び自分の婚約者になる、と何故か勘違いした女は、既に幻覚作用により、思考回路もおかしくなっていた。
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