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騙されたコルセア、警戒のアガルタ♥
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しおりを挟む数日経ったある日、ジェルバ、アガルタ国境から、アガルタ国王へ伝令が届く。第二王子からだった。
【父上、私が着く直前、竜巻が国境付近で起こりました。それは、我が国陣営に向かって、ジェルバから来たものにより、殲滅させられていました。その竜巻は4度起き、陣営を確認しましたら、この様な手紙を発見したのです。『新しい武器の試し撃ちに的になってもらった。まだ欲しければくれてやる。嫌なら首都に戻って、恋しい女達に慰めてもらえ………ジェルバ国参謀司令官より』と、もう待てません!全面攻撃の許可を】
アガルタ国王は、その手紙を握り潰す。
「一体どんな武器を使った!!もしや、ジェルバも宝石を利用し始めたのか!」
「陛下、ジェルバは如何なったと?」
「……………国境の陣営が殲滅した……ジェルバから起きた竜巻の様な攻撃で………しかも4度………」
「竜巻!?」
「…………王太子も向かわせろ……コルセアの事は後で良い………ジェルバを潰せ!!ジェルバ人は女子供は捕まえ、男は殺すのだ!!」
「はっ!!」
「許さん…………たかが、奴隷風情がアガルタに宣戦布告しおって………」
「陛下…………何方へ?」
「…………デイルに確認してくるのだ………あやつもジェルバの者だからな……竜巻を起こす武器等、始めて聞いたわ!!あやつはジェルバ国内に入っている……それらしき物があったなら、気が付いている筈だ…………竜巻を起こす程の武器なら、かなり大きな物に違いないからな」
視点はいいらしいアガルタ国王。だが、モルディアが絡んでいる事等知らない。
「デイル!!」
「……………何ですかねぇ……?尻痛いんですよ………毎日毎日………」
拘束されても、反抗的な態度は変わらないデイルの頭を掴むアガルタ国王。
「っ!!」
「ジェルバで何を見た」
「…………何を、て?」
「大きな武器は無かったか?」
「…………見てないですねぇ……あったのは俺の記憶していた壁が、倍の高さになり、壁の中に牢獄があったぐらいですよ……」
「…………壁が高くなっただと?」
「…………見覚え無いジェルバの街並みに変わり、国王は病らしく、臣下の顔ぶれ、あとムカつく王女の婚約者……」
「……………その男はジェルバの参謀とか言っていたか?」
「……………言っていた!!俺も剣の嗜みもあるのに、抜く前に俺の喉元に剣先を当てやがった!」
「………………」
アガルタ国王は気付いていないにしても、警戒心は強い。思考を巡らせている。
「そやつの名は?」
「……………気に食わない男の名等、覚える訳ないだろ……俺の婚約者を奪った男等………」
「お前の婚約者ではない!私の奴隷だ!」
「!!ぐあっ!!つ、潰れ…………止めて……くれっ………」
「では、思い出せ………そやつの名を!」
「…………し、知ら…………ん!」
だが、デイルは牢獄に拘束された時、マシュリーが、その男の名を呼んでいた様な記憶を手繰り寄せた。
「…………あ………ル…………ル……ルカスだっ!ルカスと呼んでいた!」
アガルタ国王は、掴んでいたデイルの肉の塊を放す。
「ルカスだと?…………本当にその名を言ったのか!?」
「………い…………言った………確かに……はぁはぁはぁ…………っ!」
アガルタ国王は急ぎ臣下を招集する。その集令で、アガルタ国王はジェルバではなくモルディア皇国が関与している事を臣下達に伝えた。
「モルディア皇国が絡んでいる!一筋縄ではいかんと思え!一斉攻撃を仕掛ける!直ちに準備せい!!」
「な、何故に…………モルディア皇国は、ジェルバの先………壁を壊さねば、行ける道はコルセアからでしか……」
「……………コルセアの動向が気になるな……もし、コルセアがアガルタへ攻め込むなら、コルセア毎潰せ!ジェルバ方面からコルセア行く事も視野に入れよ!」
腐っていても国王。コルセア国王より頭が回るらしい。少なくとも、他国の皇子の名を知るぐらい、情勢は知っていた様だ。
「なかなか使える男よ…………妾のくせに……ふふふ…………あはははははっ!!モルディアも潰せ!!コルセアも潰せ!!この大陸全て、私の物だ!!全てのジェルバ人を奴隷にするぞ!!」
「「「「「「オオォォォッ!!」」」」」」
アガルタ国の城が活気に満ち溢れ、盛り上がる。だが、アガルタ国王も知らない。竜巻が武器ではないという事を。そして、その日の夜、第二王子の死亡がアガルタ国王の元に届く。死亡原因は全身火傷による死亡。第二王子の隊の中で生き残った者も居たが、戦意喪失になった者は少なくなかった。
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