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デイルの過去と積年された恨み

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 コルセア国王宮の客間。
 デイルが入浴を済まし、上等な新たな服迄用意され、客間を用意された。長くなった金髪もまとめつ縛り、貴族らしい姿を久しぶりになった。

「…………やっと、が着れたな」

 アガルタ国を利用してやろうと、わざわざモルディア皇国からジェルバ国を挟んだ敵国に情報を流し、やっと手に入れた地位であったのが、憎きモルディア皇国の皇族により、奴隷に落とされたデイル。素肌にボロボロの安い布で、肌触りも悪かった。時折、と称し、貴族の男達を集め、アガルタ国王の前で男に回された屈辱的な日々。成人した王子達にも代わる代わる相手にさせる辺り、変態な親と変態な子供を、崇めて、約5年。それでも、いつか復讐を誓い必死で生きていたら、アガルタがコルセアに滅ぼされた。
 その理由はデイルは分かっているが、コルセア国王を調子着かせておけばいい。王子達はジェルバへ攻めて全滅し、主要戦力をジェルバへ注ぎ込んだ首都等、直ぐに陥落するのは少し考えるだけで分かるのだ。それをと、コルセア国王含め、国民がそう思っているおめでたい状況に酔い痴れ、そのままモルディアへ侵攻して行く勢いに、デイルは笑いが込み上げる。

「…………面白いな……コルセアが簡単にはモルディアは落とせる訳がない……後数年………神力の封印が解かれなきゃ、勝ち目はあるかもしれないがな…………はははっ!絶対に、モルディアにマシュリーを奪われる訳にはいかないんだよ!…………子供が産まれるなら、子供は殺してやらなきゃな……」

 コンコン。

「……………はい」
『国王陛下が来られました』
「…………わざわざ来た?…………どうぞ」

 カチャ。

 コルセア国王が1人で入って来る。どうやら人払いしてまで話したい事なのか。

「ほぉ、随分と美しいなりだったのだな……アガルタの王が妾にするだけはある」
「…………私を、この様な待遇に置く理由は何です?」

 等という言葉等聞きたくないデイル。屈辱的過ぎて忘れたいのだ。好きでもない女を相手するだけでも嫌なのに、男が近くに寄るだけで身震いする様になったのだ。

「…………話が早いな………お前はジェルバ国の王族であろう?」
「………な………ジェルバを追放される前に、アガルタに住んでいたんでね」
「追放された理由は?」
「答えを求める理由が分からない………この待遇は感謝するが、どの道逃げようとしたら殺す気だろう?」
「お前次第だな………金髪、金の瞳は王族の証なのは知っている…………王女の兄か?」
「…………はとこだ……父が国王の従兄にあたる」
「…………」

 コルセア国王は、何やら考えている。暫く沈黙が流れ、やっと口が開いたと思っていたら、また閉じるコルセア国王。
 デイルとて、余計な言葉を避ける為、無言を通す。

「……………手を組まんか?」
「手を組む?………その意図次第だな」
「…………モルディアの歴史に興味があってな………モルディアがジェルバへの侵攻を始めた理由を知っているのだが、知りたくないか」

 デイルは足を組みふんぞり返ると、鼻で笑う。

「ジェルバの者で、モルディアの歴史を知る唯一の人間に、とは愚問だ…………だからこそ、今更だの、だの、あってはならない………モルディアは復讐に値する国だ。だから俺はアガルタに情報を流したんだ、はコルセアにも流した筈だが?」
「…………そうか、お前が流した情報か……は、ジェルバを牛耳るにはいい情報だった」

 とは、ツェツェリア族をランク付けし、宝石を分析した物だ。

「3、4年は美味しい思いした筈だ………俺と父が10年以上前から調べあげた物だからな……それをアガルタに売って、俺はツェツェリア族の民を誘導し、アガルタに連れ出しては奴隷にして管理して、アガルタ国王から爵位さえ貰ってた………あんたは、俺にくれる?」
「…………ツェツェリア族にしては野心家だな…………逆に質問するが欲しい?」
「決まってる…………モルディア国王皇太子の命と、マシュリーとの子の命、そしてマシュリー自身………あの女は俺の許婚だった……それを尽く邪魔者が入り、マシュリーを洗脳していきやがる………アガルタの王の様に、マシュリーを欲しがるなよ?欲しいのはマシュリーから作られる宝石の筈だ。はやる………だが、マシュリーは俺の妻にする………誰にもやらない」
「……………良いだろう、私はがあればいい………女はお前の好きにすればいいが、お前のも私が貰うぞ」

 コルセア国王はと強調する。

「涙から作られる宝石なら、定期的に渡そう…………だが、拘束されたり監視されたりするのはごめんだ………そうしてくれるなら、をあんたに教えてやる」
「…………まだ切り札があるか……」
「まぁね………でなきゃを簡単には言わない…………あんたもだろ?モルディアの歴史を知る者なら、行き着く謎な筈だ…………も俺は知っているし使もな」
「…………………はアガルタの王には?」
「言うかよ、マシュリーを手中に入れれなかった上、妾にする気だった男になんて…………俺はツェツェリア族なんでね、戦いには不向きだから、軍事力でモルディアに対抗する国ならどっちでも良かった。アガルタからコルセアにを流してやったんだから、は感謝して欲しいもんだな」
「……………感謝して欲しいと言うなら、モルディアを滅ぼしてから言おう」
「そりゃ、俺もそうさ」

 話しは終わり、コルセア国王はデイルの部屋から出ると、見張りの兵士に言葉を掛ける。

「泳がせてもいいが、気付かれ無いように監視し、怪しい行動をしたら始末して構わん」
「………はっ」
「…………食えん奴だ………長く飼うペットにはなれんな…………まさか、モルディア皇国皇太子妃がとはな……」
「宜しいのですか、陛下……それで」
「…………私が持つと合致したら、要らぬだろ?」
「…………確かに」

 コルセア国王もだった。
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