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成人
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「お美しいです、エレノア様」
エレノアが16歳の成人になり、その祝いと共にレオナルドとの婚約式を王宮で執り行われる日。朝から、身体に磨きを、とエレノアは侍女達に玩具にされていた。慣れなかった世話も6年経てば慣れてくる物で、悲鳴等も挙げたりはしない。フクロウのロンとは違って。
「ありがとう………慣れないのはこのきらびやかな宝石を着ける自分だけど………」
『ぎゃぁぁぁぁぁっ!や~め~ろ~!』
「煩いなぁ、ロン!いい加減慣れなさいよ!」
ロンも相変わらず、エレノアの傍から離れずに居てくれて、今でも良き友達だった。
『お、俺も出なきゃ駄目?エレノア様』
「レオがロンも友達だから、て…………私のパートナーでしょ?ロン」
『…………確かに俺もレオとは友達だけどさ………エレノア様がレオに取られた気がして嫌だ………』
初対面の時期とは違った事がこのロンとレオナルドの関係性だった。
喧嘩ばかりしているのは変わらないが、ロンも人と話せるのがエレノアとレオナルドだけなので喧嘩を楽しんでいて、いつしかロンもレオナルドの頼まれ事等、嫌々ながら手伝っている。
尤も、手紙を届けるとかの雑用なのだが、ロンはエレノアとレオナルドの言う事しか聞かないので、ロンが王宮内で手紙を持っていれば、お使いだと思ってくれるので、アイドル的な存在になっていた。
「何言ってんの………ロンは私の中では立ち位置変わらないわよ」
『えへへ………』
「エレノア様、ロンにもエレノア様の衣装に合わせてマントをご用意致しましたわ………お着けして宜しいですか?」
「きゃぁぁぁ!可愛い!ロン!マントだって!着けてよ!」
『え!重くない?それ』
「如何かな、ちっちゃいから私では軽いとは思ってるけど、飛ばないなら邪魔にはならないよね」
侍女達にもロンは人気なマスコットなので、足にも宝石の付いたアンクレット迄用意していた。
『足もかよ!』
「ロン…………可愛い………」
「可愛いですね、ロン」
『ぐっ…………き、今日だけだからな!エレノア様!』
「うんうん………またお洒落してね!」
『……………ち、ちょっとだけなら………』
エレノアは普段、宝石類は身に着けず、質素に過ごしていた。
レオナルドからも、王族派の貴族達からも、ドレスや装飾品は贈られて来るのだが、殆ど身に着けず、一度着けた装飾品等は換金して、貧しい街や村に還元している。
『着けたら可愛いのに』
と、レオナルドからも言われるが、エレノアは民の為に生きる事が喜びなので、必要には駆られないのだ。
「失礼致します。王太子殿下がお見えになられました」
「お通しして」
「はい」
エスコートの為に、エレノアを迎えに来てくれたレオナルドと衣装は合わせていて、エレノア、ロン、レオナルドは2人と1羽でセットだった。
「エレノア…………めちゃくちゃ可愛い!綺麗!抱き着いてキスしたい!」
「……………あ、ありがとう……ろ、ロンも可愛いでしょ?」
「……………あぁ、可愛い可愛い……」
『何だよ!レオ!着てやったんだから褒めろ!』
「お前はオスだろ!言われて平気なのか!まぁ、黙ってれば、白いぬいぐるみにしか見えないからな、お前」
『ぬいぐるみだと!俺は森の賢者のフクロウなんだぞ!エレノア様の唯一無二のパートナーだ!』
「俺なんて婚約者だもんね!」
「……………また始まった………ほら、レオ、ロン………エスコートしてよ」
口を開けばこんな喧嘩が始まり、止めるのはエレノアだ。
「オルレアン国始まって以来の、万物の声を聞こえる王太子に、森の賢者が聞いて呆れるわ………子供っぽいんだから、いつ迄経っても………」
「聖女エレノアがしっかりしているからな」
『そうそう、俺達はふざけ合えるのさ』
「達?お前だけだろ、俺を巻き沿いにするな」
『よく言うよ!今でもエレノア様の指導で魔法教えて貰ってるくせに!転移魔法陣だって、自分で作れる様になるのに何年掛けてるのさ!』
「何だと!じゃあ、お前作ってみろよ!フクロウが作れたらお前に高級肉一生食わせてやる!」
『出来る訳ないだろ!俺は鳥だぞ!』
「…………いい加減に…………しろ~!」
顔を合わせなきゃ良いのに、と思うがそうはいかないこの関係なので、エレノアは気苦労が絶えない。
「ほら、今度こそエスコートして」
「ごめん、エレノア…………ロン、エレノアの肩が出てるから、爪で怪我する………俺に乗れ」
『当たり前だろ………言われなくても乗るよ』
「仲が良いのか悪いのか………」
「何か言った?エレノア」
「ううん……………2人とも可愛いな、て言っただけ」
「っ!…………エレノアの方が可愛い」
『エレノア様の方が可愛い!絶対に可愛い!オルレアン国一の美女だから!』
「それには俺も同感」
「……………もう……」
王族派聖女、エレノアの美貌は、慈善事業の働きも相まって、支持を集めている。
そして、神殿派聖女のエレノアの妹は貴族達を中心での支持だ。
エレノアは、妹が聖魔法を正しく使っているならば、排除するつもりはないが、神殿という後ろ盾がある以上、放置は出来なかった。
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