上 下
15 / 97

本番

しおりを挟む

 ドラドをルーベンスに任せ、シヴァ達の場所に戻って来たサイファ達。

「同じようにやれば良いんだよな?」
「………この4人は他の魔とは違う感じなんだが………。」

 アレクセイも浄化の能力があるのは、サイファも聞かされていた。
 おそらく、アレクセイも試したのだろう。
 ドラドとは違う、緊張感が走る。
 目の前に居るのは、両親であり、祖母なのだ……。

「………この人からやっていい?」

 サイファはソロに手を添える。

「頼む、誰からでもいい……………戻るなら……。」

 アレクセイの目には涙が浮かぶ。

「………我唱える、この者を浄化せよ!」

 サイファは阿修羅をソロの腕に刺す。

「!!!」

 刺した場所から光るソロ。

「…………き、キツイ………。身体の力が抜ける…………。」
「サイファ!無理するな!意識飛びそうなら直ぐに止めろ!」
「…………だ……大……丈夫………。」

 ソロの全身が光に包まれた瞬間、サイファも力尽きて倒れそうになるが、アーヴァインが咄嗟に支える。

「大丈夫ですか?サイファ様。」
「…………と、父さん………。」
「……………。」

 アーヴァインは複雑な心境だった。
 まだ父と呼んでくれるこの王子に、決心が鈍ってしまう。
 この柵から、連れて逃げたくなる、と。

「ソロ!!」
「!!!」

 石で身体が包まれていたソロの身体が人肌の色に変わる。

「…………ん……………ん。」

 ソロも倒れそうで、手を添えようとサイファが近づくが、ソロはアレクセイに支えられた。

「ソロ!ソロ!私が分かるか!ソロ!」

 目をぱちぱちさせ、声の方に目を向けたソロ。

「…………………ア…………レ…………さ…………?」
「…………ソロ!良かった!生きていてくれて!!………早く医者に見せろ!ベッドに運べ!」

 ソロが運ばれて行く。

「凄いな、その能力………。僕も欲しい……。」
「………アーサー様は、浄化の能力ではなく、先見の眼の方が確率的にあるではありませんか。」

 アーヴァインがアーサーに諭す。

「そうなんだけど…………父上が僕には無い、て……。だから、勉強も武術も極めておけ、て言われてる。」
「………では、努力しなければなりませんね。サイファ様もまだまだ努力が必要ですよ。」
「あんな事が出来るのに?」
「…………俺だって、一か八かだったろ?アーサー王子、俺と競争しようぜ、どっちが強くなるか、さ。」
「負けないぞ、サイファ。」
「あぁ………………駄目だ眠い……。」

 サイファはアーヴァインに支えられながら、眠ってしまった。
しおりを挟む

処理中です...