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空から地上へ、そしてシヴァ復活

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 空路で飛空艇が降りれる場所を探し、森の上へ。

「無いな………。」
「この飛空艇のサイズが降りれる場所が無い……。」

 見渡しても木々だらけだった。

「これじゃ、全員で降りれないわね。」
「神殿上空に待機して、降りるメンバー選出しましょうか?」
「………そうね、飛空艇には最低限の人数を残して、山脈の砂漠側から交代で上空待機しましょうか。幸いにも飛空艇は2機あるし。」
「後はどうやって降りるか、ですね。特にシヴァ様………。」

 意見を出し合い、数人が先ず縄梯子で降り、シヴァを縄で括り、降ろす事になった。
 神殿を見つけ、神殿の屋根に身軽なノーマンが降り、彼の指示に従い、数人も木々を伝い地上に降りた。
 浄化されたからか、難なく降りて行けた男達は、シヴァを待ち構える。
 シヴァを神殿の屋根に落とし、屋根から地上に降りたったシヴァ。
 すると、神殿が待っていたかのように、神殿の中からシヴァを照らす。

「な、何だ!?この光!!」

 それは、飛空艇にまだ残っていたサイファ達にも分かる程だった。
 そして、その光は森の外からも見られた。

「ラファエロ様!!森が光っております!!」
「何だと!?」

 サイファ達も慌てる。
 この光は、隠さなければと勘で思ったサイファは、ノーマンに大声で叫んだ。

「ノーマン!!早く神殿の中に隠れろ!!父様を隠せ!!」
「はい!!」

 直ぐ様、シヴァを神殿に入れると光は消えた。

「な、何だよ今の光………。」
「もしかして、サイファも近くに行ったら光かも………。」
「………カムラの能力が反応した、て事?」
「……………早く降りましょう。そして、飛空艇を森の外から見られないようにした方がいい気がするわ。」

 案の定、サイファが神殿に降りると、光を放つ。

「やっぱり、カムラの能力に反応してる。」

 光はサイファが入ると直ぐに消えた。

「ジュリアナ様!!」
「ノーマン、シヴァは?」
「それが、光を放っていて………。」
「…………な、何だ?声が聞こえる………。」
「サイファ?」
「な、何だよ、誰だ!…………え?………父様を祭壇に上げろ?」

 ジュリアナ達は、不思議そうにサイファを見つめる。

「父様を祭壇に上げろ、て………で、俺が浄化しろ、て言ってる……。」
「………とりあえず、やってみましょう。祭壇に上げてもらえる?」
「……はい。」

 シヴァを祭壇の上に上げ、サイファは阿修羅を構えた。

「だ、大丈夫かな………また失敗なんてしたら…………。」
「…………サイファ……自分を信じなさい、父様と会いたいなら、その気持ちを篭めなさい。神殿の力を信じて。」
「…………分かった。」

 サイファは2本の阿修羅の鍔を付け替え呪文を唱える。

「我唱える!この者を、父を浄化せよ!!」

 シヴァが全身、光に包まれ、サイファにも力が湧き出るように、シヴァに注がれる浄化の能力。

「頑張って、サイファ。」

 ジュリアナも祈り、神殿に入った者達も願う。

「サイファ様………シヴァ様………。」

 光に包まれたシヴァの石が溶けていく。

「シヴァ!!」
「…………………。」
「シヴァ様!!」
「…………う………るせぇ………なぁ………あれ?ジュリアナじゃなくジュディスになってる………。」
「シヴァ!!」

 ジュリアナはシヴァに抱き着いた。
 泣きじゃくるジュリアナを、シヴァは硬直した手を必死で動かしながら抱き締める。

「ジュリアナ………泣くな……俺が自ら選んだ道に巻き込んですまない。」
「結局、石の花は必要なかったな………。」
「まぁ、どちらにしても薬になるんですし、無駄にはなりませんよ、サイファ様。」
「…………サイファ?サイファが居るのか!?何処だ!」
「………俺だよ、父様。」

 サイファは、ジュリアナの髪と瞳をした姿をシヴァに見せた。
 シヴァは、息子の成長した姿に驚いた。

「…………ジュリアナ…………何年経ったんだ?」
「16年よ……おかしいでしょ?26歳の父親と19歳の母親の息子が16歳なんて……。」
「……………サイファ………ごめんな……。」
「大丈夫、アーヴァインが俺を育ててくれたから。」
「アーヴァイン…………おっ!老けたなぁ……あ、ノーマン、ラルドー、ドラドも老けてる!ルーベンスもか!皆………老けたなぁ……あ、あれ?ソロは変わってない…………。」
「私も石でしたよ、シヴァ様。」
「そうだ!母上は!?」
「お義母様は飛空艇にみえるわ。お義母様も一緒に石に………。サイファの能力でもどれたのよ?」
「…………そうか………引き継いでくれたのか……。」

 シヴァはホッとした表情を見せた。

「父様、これ返す。俺には父様の作った阿修羅があるから。」
「…………あぁ………。使ってくれてたのか……。」

 祭壇から、シヴァは降りて阿修羅を握る。

「…………うん、阿修羅のおかげだな……てか、ここは何処だ?」

 キョロキョロと見渡すシヴァに、ジュリアナは言った。

「ここは、昔カムラだった土地の神殿の中よ。戻ってきたの、カムラの地に。」
「…………通りで、身体が楽なんだ………。さっきから、この奥から声が聞こえると同時に能力が沸き上がってくる。体力も漲るんだ……。」
「やっぱり聞こえるんだ、俺も頭の中に声が聞こえてる。」

 サイファとシヴァしか聞こえない声。
 それが、留めなく能力を与えていた。
 その証拠に、サイファが疲れていないのだ。
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