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第二王子、廃嫡

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 バルカスが廃嫡になった事は直ぐに広められた。王族の不祥事が起きた事、支持率が高かった社交的な外面の美男子の王子の廃嫡に、民からは尚更もう1人の王子への期待感と心配感が交差する。
 その予想もあったが為、不祥事は全て公表する事になったと共に、第一王子が王太子となり、婚約も決定した、と祝賀ムードにかき消された結果となる。
 廃嫡となったバルカスは、廃位になったドルビー侯爵の領地を引き継がされ、王城がある屋敷だけ王族没収となり、領地へと追いやられる事が決まった。いわば実質左遷。その地を治める事により、自身の愚かさを身に沁みさせる国王の勘当だった。
 王城のある都には、帰ってくる事は領地をドルビー侯爵より繁栄させる迄許さない、と言われたバルカス。今迄勉強も執務もまともに出来なかった青年には地獄の様な環境だろう。バルカスの補佐をやりたがる書記官も秘書も誰一人としておらず、領地が繁栄するか等期待もされていないと誰しもが思っている。
 かろうじて、ドルビー侯爵の屋敷に勤めていた者達がバルカスに雇われる事にはなったが、その後の事はバルカスの手腕に掛かっている。

「後処理は切りが着いたな……部屋に戻る」
「ラスウェル殿下、お疲れ様でございました………何方の部屋に?」
「…………何方の部屋に、て……イルマの部屋だが?」
「婚約が決まったからと言って、直ぐに夜を共にするのはどうかと思いますが?」
「媚薬を飲まされて、治まっているかどうか心配するぐらいはいいだろ、バルカスに邪魔されてから、時間は経ってしまったが………」
「…………もう半日経ってますよ?医師も診てくれている筈ですし………」

 書類をまとめ、整頓したラスウェルは席を離れ執務室のドアの前で止まる。

「それでも、安心したいんだよ………自分が……」
「…………まぁ、心配ですよね……でも、人目につかないようにして下さいね………結婚前なんですから」
「………分かっている」

 イルマの部屋の前には、兵士の警護がなされていた。ラスウェルは兵士達に声を掛ける

「異常は無いか?」
「はい」
「1、2時間程で出てくるから、少し離れた所で警護してくれ」
「はっ!」

 ラスウェルは部屋をノックすると、侍女がドアを開ける。

「イルマは?」
「…………それが………まだ……」
「治まってないのか?」
「………はい……お辛そうで……鎮静剤は処方され飲まれましたし、ご自分で治癒魔法をされてましたが……」
「…………君達は出ててくれ………」
「なりませんよ、ラスウェル殿下」
「…………カーラ……」

 房事で治めようとしたのだろうラスウェルを止める侍女長のカーラ。

「例え、ご婚約が正式になられても、外聞がございます………先程治められたのではないのですか?」
「いや…………途中だった………バルカスに邪魔されてな」
「……………あ、あら……まぁ………」
「だから、心配して来たんだが?」
「…………医師からは、まだ呪縛は解けてはいない、と聞いておりましたが………………でしたか………私共はてっきり………済まされた………とばかり……」

 侍女達が赤面する。事後だとばかり思っていたからだ。それでも尚、辛そうなイルマをどう看護しようか、と悩ませていたのだ。立場上、自慰を薦めるのも憚られていたのだと、カーラは話す。

「…………頼む………他言無用で今夜はここに泊まる………明け方には終わらせよう」
「畏まりました………では、私共は兵士達にも箝口令を伝えます」

 侍女達が静かに部屋を出て行く。
 部屋は、寝室と小さなリビングルームが1枚の壁で仕切られており、ラスウェルはリビングから寝室へと入った。
 寝室の奥にあるベッドからは、声を押し殺す様に、甘い声を奏でるイルマが、蹲っている。

「イルマ?………大丈夫か?」
「…………誰………?」
「ラスウェルだけど?」

 もそもそと、被った毛布から顔を出すイルマ。

「………殿下………」

 顔が蒸気を発し、涙目のイルマがそこに居た。

「ど………う……したら…良いです………か?……治癒…………も効かな………」
「治めに来た………やはり、精を注がなければならない様だ…………」
「………出来………て……なかった?」
「してないよ、俺が達してないままだった」
「……………殿下…………お願い………しま………す………」

 先程、イルマと別れるのではなかった、と後悔する程、欲望をぶつければ良かった、とラスウェルは強く思う。それだけ色香が強くなっているイルマを見て、直ぐに身体が昂っていく。

「分かった………もう焦らしてやらないから……」

 ラスウェルは服をベッドの脇に脱ぐ。全裸に直ぐになったラスウェルはイルマの毛布を履いだ。

「あっ………灯りを…………消して……下さい……あ、あの………粗相を……」
「…………あぁ……自分で慰めてないのに、溢れ出るのが止まらなかったのか……」
「…………い、言わな………いで……下さいませ………」
「もっと濡らしていい………というか……濡らして溶かしたい………」
「!!」

 卑猥な言葉をイルマの耳元で囁き、ベッド脇のランプの灯りを落としたラスウェル。

「あまり暗くし過ぎると、顔が見えないからな」

 ―――な、何て……卑猥なお言葉をなさるの?………殿下がこの様な方だったなんて………

 『溶かしたい』と言われ、昼間も溶かされた気持ちでいたのに、もっと溶かされたいと思ってしまう程、悦楽を思い出したイルマ。

「夜着を脱がすぞ?」
「!!………このままがっ!」
「嫌だ」
「…………っ!!」

 蹲っているイルマの夜着のリボンを解くラスウェルの手はそのまま、イルマの肌に触れた。
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