薄明宮の奪還

ria

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第3部.リムウル 第1章

6.魔力の気配

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リムウル南部の商業都市ラザールでは、この時季、アドニア国のベルガードよりさらに規模の大きい市が立つ。

街を囲む障壁の外側には、中に入りきれない商人のテントやキャラバンが延々と連なり、中は中でまた、リムウル中の商人が集まっているのではないかと思うほどのにぎわいだった。

どちらかというと個人相手の商売というより、ここでは商人同士の取引きが中心だったが、それでも街の大通りにはたくさんの露天商が店を並べ、そこで買い物をする人々の流れも、途切れることがなかった。


「わっ! バカヤロー! 気をつけろっ!!」

「ごめんなさい……大丈夫?」

派手に転んで叫び声を上げたポルは、差し出された白い手と優しげな声に目を上げ、惚けたようにぽかんと口を開けた。

“うわぁ…っ……女神様!……みたいにきれいだ……”

ぶつかってきたのは、少し年上かと思える、美しい少女だった。

大きな青い瞳が、心配そうに自分をのぞき込んでいる。


「あの……どこか怪我した?」
彼女は座り込んだままのポルのそばにしゃがみ込んだ。

「だっ、大丈夫!!」
ポルはぴょんと飛び跳ねるようにして起きあがった。

「ホラ、ねっ、全然平気さ!」

「そう……良かった。ホントにごめんなさいね」
と言って彼女は急いで人混みの中に紛れていった。誰かの後を追っているようだ。

ポルが思わず後についていくと、キョロキョロしていた彼女は探す相手を見つけたのか、小走りになって進んでいく。

その先には、鋭い目をした、戦士風の長身の男が立って彼女を待っていた。

少女が近寄ると、男はくるりと背中を向けて歩き出した。

少女はまるで叱られた子供のように首をすくめ、うなだれて後に続いた。


“変なの……どっかのお嬢様とその護衛、って格好なのにさ”

イニシアチブを取っているのが男の方というのは変だったが、所詮行きずりの相手、自分には関係のないことだ。

そう思ったポルは雑踏の中に見えなくなりかける2人に、自分も背を向けて、その場を去ろうとした。

しかし、ふと感じたある“気配”に眉を寄せ、振り返る。

“?!……これは……魔力の気配!!”

彼はあわてて人波をかき分け、2人の姿を追って行った。
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