とある兄の独白

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とある兄の独白

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に……おに……おにい…

「おにいちゃん、おきて」
「にいちゃんおきてー!あそぼー!」
『ん…あぁおはよう。もう起きたのかい…?』
「うん!だってはやくあそびたかったんだもん!」
「おにちゃんにあそんでほしかったの」
『ふふ。そっか。直ぐに着替えるから待っていてくれるかい?』
「うん!」
「わかった」
『良い子だね。朝食は済ませたのかい?』
「食べたよ!」
「食べた」
『そっか。今日は何をしようか』
「みずあそびがいい!にいちゃん!みずだして!」
「おにちゃんのまほうみたい!」
『うーん。困ったなぁ。周りにバレるのは不味いし…そうだ蝶を見たくないかい?』
「ちょうちょ?」
「ちょうちょそとでもみれるよ?」
『ふふ此処には居ない色んな種類の蝶さ。見たいかい?』
「みたい!」
「みる!」
『ふふ。わかった。でておいで蝶達』

フリ、…フリフリ…

「わー!きれい!」
「すごいすごい!」
『ふふ。綺麗だろう?この子達の相手を少ししてあげておくれ。朝食が終わったら迎えに行くね』
「わかった!」
「はーい!」
『ん。良い子。また後でね良い子にしているんだよ』
「うん!」
「うん!」
『じゃあね。頼んだよ』

フリフリ…


━━━━━━━━━━━━━━━

ガチャリ

『今日の予定はなんだったかな。あぁ、父様達から呼ばれていたんだった』

私は普通ではない。
私にはもう1つの記憶がある。
その記憶は此処とは違い、電子機器が発達していて
大きな建物や明るい街があった。
私はそこで妻と子供達と孫に娶られ、幸せな人生を終えた。
筈だったが、どうやら生まれ変わってしまったようだった。
初めは驚いたし、動かしにくい体と、普通に話す事が出来なくて慣れなかったが、1週間ほどで慣れた。
どうやら私の生まれてしまった家は簡単に人を裏切り、殺し、恨みを買う人達の集まりだった。
決してこんなクズにはならないようにしなければと思った。
どうやら大人達は跡継ぎが欲しかっただけのようで私は殆ど自由だった。いや、自由と言うよりもネグレクトに近いか。
だけど大人達はどうやら私も同じ思考をしていると思い込んでいたようで、私が自分達とは違う思考をしていると分かってからは洗脳教育の始まりだった
普通に苦痛だったけど違う事を考えるようにして話を聞いている振りをしていた。
私が生まれてから10年。私に妹と弟が出来た。
名は私がつけた。
妹はフェデルタ。
弟はフィデルタと。
この子達にはどうか幸せになってほしい。
どうかこんな大人達のようにならず、思いやりを持つ優しい子になってほしい。
フェデルタ達はすくすくと成長し、今は6歳だ。
フェデルタの方が感情が少し貧しいかと思ったけど、それも成長が遅かっただけで今では普通だ。
一方フィデルタ。この子は凄く元気だ。
何時も外を駆け回っている。よくご飯を食べて、良く寝て、よく遊んで、普通の子供達と何ら変わりない生活をおくれている。
このまま元気に育ってくれたらそれでいい。
この子達がもう1人でも生きていけるようになったら
此処から離れさせる。この子達は両親やその仲間の悪事を知らないまま、此処を出て欲しい。
何れ悪事を働いていた両親達は恨みを抱いている人達に殺されるだろう。その前にこの子達を逃がさなければ。
私は何も出来ない。両親によって絶望を味わった方達を止めることなど出来ないのだ。
止めては行けない。両親達はそれ相応の事をしてしまったのだから。
そして、それを止めなかった私も同罪だ。
私は何も出来ない。無力な人間だ。

だけど、あの子達をフィデルタとフェデルタを守ることは辞めない。この子達が両親達と血が繋がっているからなんて言う理由で死んでは行けない。
この子達にはなんの罪もないのだから。
この子達が幸せに生きていけるのならば、
私は、"僕"を捨てる事だって構わない。


コンコン

「入れ」
『はい』
「こうして顔を見るのも、久しぶりねぇ」
『そうですね。お久しぶりですお母様。お元気でしたか?』
「ええ。元気だったわ。そうそうあの子達は何してるのかしら?」
『2人ですか?元気に暮らしてますよ』
「そう。今何歳かしら」
『今年で6歳です』
「そう。ならあと6年ね」
『6年、ですか?』
「えぇ。貴方は8歳から教育を始めたけど、流石に早すぎたと言われてしまったのよ。だから12歳から教育を始めるわ。でもそうね。12歳だと反抗してくる可能性も無くはないわね。…そうだわ、貴方あの子達とよく一緒に居るのよね?」
『えぇ』
「ならきちんとした教育はしなくてもいいからあの子達に教育しやすいようにしておいてちょうだい。私達が言うよりも貴方が言った方がいいとおもうのよ」
『…分かりました』
「頼んだぞ。6年もあれば充分だろう」
『はい。そうですね』
「それと今日呼んだのは別の事だ」
『はい』
「お前の教育係だが、彼奴は死んだ。だから教育係は今日から代わる。だが思ったよりも進んだんだろう?」
『えぇそうですね。結構進んだような気がします』
「ならばあまり会うことはないだろうな。まだお前に殺しの命令をする事はないが当主になる前に殺してもらうぞ。」
『分かりました』
「お前が聞き分けの良い奴で良かった。もし反抗していたら躾直さなければいけないからな」
『まさか。私が今まで反抗した事などないでしょう。それに私は父様と母様の元に生まれた事を誇りに思っているんですよ?』
「くくくそうかそうか。それは良かった」
「えぇそうね。貴方を産んで正解だったわ」
「話はこれだけだ下がっていいぞ」
『はい。久しぶりに話せて嬉しかったです。失礼しました』


『ふぅ。やっぱりあの人達と話すのは疲れるね』
『さて、そろそろあの子達を迎えに行かないとね』

私は昔から変な力を使えた。
あの子達は私のこの力を魔法と言って喜んでくれたけど、他の人達が見たら化け物だと言われてしまうだろう。だから隠している。だけど蝶や動物だと何も違和感はない。だから良く犬や猫やここに居ても違和感のない生き物をだして2人と遊んでもらっている。
蛇はまだあの子達には怖いだろうから合わせた事はないけれどね。


『フィデルタ、フェデルタ』
「あ!にいちゃん!おかえりー!」
「おかえりなさい!おにいちゃん!」
『良い子にしていたかい?』
「してたよ!」
「してた!」
『ふふ。そっか。何をしていたんだい?』
「あのねちょうちょとおいかけっこしたりー」
「おじさん達から見つかったらダメって言うゲームしたの!」
『そっか。楽しかったかい?』
「楽しかった!」
「すごく楽しかった!」
『そっか。お昼ご飯にしようか。食べたら少し休憩して勉強をしようね』
「はーい!」
「おなかすいたー!」
『そうだね』

━━━━━━━━━━━━━━━

どろり…

憎い、憎い、憎い


また、誰かの恨みが増えた


恨みは時として、殺意と変わってしまう事も


何ら不思議ではない


━━━━━━━━━━━━━━━


あれからまた時が過ぎた私は成人し、2人は10歳になった。
今の所、両親達の悪事を知らないし、洗脳教育も私が勉強を教えている為されていない。
両親達の悪事は収まらない。
何時だったか、父様に呼ばれ地下に来た時。
男性の悲鳴と泣き声が聞こえた。
そこには傷だらけで、痛々しい体をしている泣き叫んでいる男性と血塗れた両親の仲間の1人が居た。
父様はどうやら私に殺しをさせようとしていたらしい。
当主になる為の練習をすると。
私は、反抗しなかった。
見るのも嫌になるほどの傷を負っている男性の元へと行き、血塗れた仲間の1人からどうやって殺すか選べと言われた。
毒殺、銃殺、刺殺、その他と。その中から選べと言われた。
私は、毒殺を選んだ。銃殺や刺殺は当たり所によっては即死だが、毒殺は即死できない。苦しんで苦しんで死んで行く。
その選択はどうやら両親達にとっては嬉しかったらしく。どうやら完全に両親達側に染まっていると思ったようだった。
私は無言で近づき、男性の首に毒を打った。
数十分程で男性は完全に動かなくなった。
両親は躊躇わずに毒を刺した私に大喜びし、死体の処理を私に任せて出ていった。
私は無言で男性に付けられていた枷を外し、傷を治し、布を被せ埋める為と言う口実を作り外へと行き
そのままの裏道から私の部屋へと戻った。
私の部屋へは2人しか来ない。
私は男性をベッドへと寝かし、体を拭く為の水を出して体を拭き、男性が起きるまでの間資料を読んでいた。
男性に打ったのは用意されていた毒ではなく、毒を持つ子達から毒を少し貰い、調節し、仮死状態にする毒を作り、それを刺した。
1時間程で目覚めるように調節しておいたから男性は直ぐに目覚めた。
何故か死んでいない自分に驚いていた。
そして私の顔を見ると怯えきり、震えていた。

「ヒッ、な、なん、で…!お、おねが、おねがいします、!も、もうやめて、やめてくださ、いぃ!いやだ、しにたくない…!いやだ、ごめんなさい。ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ」
『…落ち着いて、大丈夫ですよ。私は何もしません。ゆっくり、深呼吸して下さい。そう、そうですよゆっくり、ゆっくり息を吸って、吐いて』

男性は過呼吸を起こしてしまった。
落ち着かせる為に深呼吸をさせ、数分後

「はぁ、はぁ」
『もう大丈夫ですか?何処か痛い所は有りませんか?』
「っ、あ、れ…?なん、であんなに、傷だらけだったのに…治ってる…?それに、なんで僕は生きて…」
『…貴方に刺した毒は一時的に仮死状態にする毒です。用意されていたのは普通の毒ですが。体に不調や副作用はないですか?』
「な、ぃ…」
『良かった。本当はもう少し休ませてあげたいのですが、此処では落ち着けないでしょう。私が安全な所まで貴方を連れて行きます』
「な、、なんで…君は…」
『私は貴方を拷問した両親と仲間達の考えやしている事に賛成していません。間違っていると思います。人の命など勝手に奪っては行けないんです。
あの人達は、人を殺めすぎています。今の私にできる事は、これからも恐らく私は人を殺せと命令されるでしょう。だからその時に貴方に使った毒を使い、安全な場所へと逃がす事しか出来ません。貴方の命を救えてよかった。目の前で人が死ぬのは見たくないですから』
「…君、は彼奴らとは違うんだ…僕を、救ってくれた。ありがとう。だけど、君を簡単に信じる事は出来ない、使った毒だって、後から効くタイプの物かもしれないと思ってしまう」
『それでいいんですよ。私達のことなど信じては行けません。今日は休んでください。明日の朝には安全な所に居ますから』
「…わ、わかっ、た」
『此処へは誰も来ませんが、安心など出来ないでしょう。すみません』
「…」
『お腹は空いていませんか?』
「大丈…ぶだ…」
『分かりました。私は隣の部屋に居ますので、何かあれば呼んでくださいね』
「あぁ…」
「……えれ、…な……」
『寝ましたね。睡眠を促すお香を焚いて正解ですかね。エレナ…家族の誰かかな。生きているといいんだけど』
『さて、先ずは彼の住んでいた場所を探さなければ行けないね』
『琥珀おいで』
「クルル」
『彼の住居を探してくれ。エレナと言う女性も居る可能性がある。もしエレナと言う名を聞いたら追跡して、住んでいる場所まで行っておくれ』
「ワンッ」
『良い子だね。頼んだよ』
「クルルル」

トプン

琥珀は両親達に存在を知られていない。見つかれば彼等の事だ。ストレス発散で殺そうとするだろう。
だから此処から少し離れた場所まで私の影の中から移動する。
離れていても意思疎通は可能だから見つかれば教えてくれる。

『初めて、人を殺そうとしたな…』


……ワオンッ!

『見つけたみたいだね。』
『もうすぐ帰れるからね』

━━━━━━━━━━━━━━━

『琥珀』
「ワンッ!」
『あそこかい?ありがとう。良くやったね。偉い偉い。後でご褒美をあげようね。そうだエレナと言う女性は見つけたかい?』
「ワン、クルルル」
『あそこの家にいたのかい?ありがとう』
『帰ったらご褒美をあげるね。それまで休んでいいよ』
「ワン」
『さて、行こうかな』


コンコン

「はい…」
『夜分遅くに申し訳ありません。エレナさんでしょうか』
「そう、ですが…!!貴方!!」
『しー…今は眠っているのでベッドは何処ですか?』
「あ、こ、こっちです」


「あ、あの貴方は…?」
『私は貴方の夫を拷問していた人達の子です。貴方の夫を殺せと命令されました。ですが私はあの人達とは違います。毒で殺すふりをし、仮死状態にして傷を癒しました。今は眠っていますが、朝になれば目を覚ますでしょう』
「貴方が、あの人を拷問した人の子供…?…あ、あの人は無事なの?もう、苦しい思いをしなくてもいいの?」
『はい。あの人達は彼は死んだと思っています。死体処理も私が担当したのでバレることはありません』
「よ、かった…!良かった…!う、うぅ」
『…』
「ありがとうございますっ!あの、あの人を救ってくれて…!ありがとうございます…!」
『…いえ、私の方こそもっと早くに助けてあげられずすみませんでした』
「それでも、あの人は生きて帰ってきた…!もう、もう会えないと思っていたのに…!また、また会えた…!あの人の温もりをまた感じることができた出来た…!ありがとうございます…!」
『…』

あぁ、本当に救えてよかった…


『もう大丈夫ですか?』
「はい。大丈夫です。本当にありがとうございます」
『いえ。私はこれで失礼します』
「はい」


どうやら彼は科学者だったらしい。
ある日私の両親達が彼の元へ行き、毒などの実験をしろと、言い。彼は断ったそうだ。その日は直ぐに帰ったが2日後、彼は両親達に誘拐され、拷問されていたようだった。彼は人を殺す為ではなく、人を救う為に科学者になったと、そう言っていた。
そして、エレナさんには彼との子が居たようで、
もうすぐ生まれる、そんな時に誘拐され、拷問されていた。エレナさんはとても心配していて、毎日行方を探していたそうだ。
本当に救えてよかった。

『早く帰って寝よう。今日はとても疲れた』


━━━━━━━━━━━━━━━

どろ、どろり

たった1人救えた所で負の連鎖は止まらない。
もう、止まることはない。
既に破滅へと進む歯車は進んでいる
彼らにもう残された時間は少ない。



憎い、彼奴らを殺さなければ。彼奴らを生かしては行けない。殺せ、殺せ、殺せ。今まで死んだ奴らの苦しみや怒り、憎しみはこんなものではない。



破滅の時はすぐそこに来ている






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