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とある兄の独白2話
しおりを挟む「兄ちゃんおはよ!」
「お兄ちゃんまだ寝てるの?」
『んん…あぁフィデルタとフェデルタは本当に元気だね。おはよう2人とも』
「おはよ!」
「おはよう!」
『おはよう。あぁフェデルタ髪がボサボサだね。解いてあげるからおいで。ついでにくくろうか』
「やったぁ!」
「いいなぁー!」
『フェデルタの髪はサラサラでツヤツヤだね』
「兄ちゃんの髪もサラサラじゃん!」
『そうかい?あまり気にした事はなかったね』
「私お兄ちゃんの髪好き。だってキラキラしてるもん!」
『そうかい?ふふありがとう。フィデルタもフェデルタもとても綺麗な髪をしているね。私も好きだな2人の髪。勿論2人の事も大好きだからね』
「俺も好きー!」
「私も好き!」
『ふふ。可愛いね。2人が元気に育っていて私はとても嬉しいよ』
「?」
「兄ちゃんなんて?」
『何でもないよ。はい出来た』
「ポニーテール!」
『そう今日はポニーテールにしてみたんだ。髪が伸びてきたからね』
「うん!」
『今度切るかい?フィデルタとお揃いにするかい?』
「するー!」
「お揃い!」
『ふふ。さ、今日はお仕事があるから朝食を済ませたら二人で遊んでくれるかい?』
「えー!遊べないのー?」
「遊びたかった」
『ごめんね。もし早く終わったら遊ぼうね』
「うん!」
「わかった!」
『良い子だね。朝食を食べに行こうか』
「はーい!」
「お腹すいたぁ!」
『ふふ。今日は何かな』
「私フレンチトーストがいい!」
「俺は肉がいい!」
『フィデルタは本当にお肉が好きだね』
「美味しいし!」
『ふふ。そうだね』
「楽しみだなー!」
「楽しみ!」
『ふふ』
ー幸せな時間
ー幸せな時間を取られてしまった人達
ー幸せな時間はもう終わりだ
━━━━━━━━━━━━━━━
コンコン…ガチャ
『失礼します。父様どうかしましたか?』
「あぁ。少し話をしないか?」
『…分かりました』
「そこに座るといい」
『はい』
「紅茶か珈琲どっちがいい」
『父様が淹れなくても私が淹れますよ』
「いいいい。俺が淹れるから座っておけ」
『…分かりました』
「こうして2人で話すのも久しぶりだな」
『そうですね。話をするのも何時も誰かいましたから』
「昨日は良くやった。まさか躊躇せずに毒を打つとは。お前は良い当主になれそうだ。もっと時を積もうかとも思っていたが、それも要らんな」
『…まさか私に当主を譲るおつもりですか?父様はまだまだ現役でしょう?』
「はっはっは!確かに俺はまだまだ現役だ。だがな、俺は当主としての仕事よりも裏で殺しをする方が良い。当主も人を殺せるがあの絶望した顔を見るのは裏での方が多い。それに当主はジジイ共と面倒な話をしなければいけないだろう?」
『…』
「俺はそれが嫌なんだ。だから、なってくれるな?当主に」
『…分かりました。当主になります』
「おおそうかそうか!」
『話は終わりですか?』
「あぁこれだけだ。明日からはお前が当主だ。頼んだぞ」
『はい。失礼しました』
『…明日からは当主。そして死んでしまう人も増えてしまう。一体どうすれば止まるのか…』
『はぁ。考えても仕方ない。今は残りの仕事に集中しよう』
━━━━━━━━━━━━━━━
ここだ。彼奴らが居るのは。
殺せ。殺された奴らの為に。
殺せ。俺達の復讐の為に。
お前らの幸せな時間は終わりだ
━━━━━━━━━━━━━━━
バンッ
『フィデルタ、フェデルタ無事かい?』
「う、うん!大丈夫だけど…」
「兄ちゃんどうしたの?外から変な声聞こえてくるし」
「何だか変な音もするよ?それになんだか匂いも変。」
「偶に大きな声も聞こえてくるし、兄ちゃん。いったい何が起きてるの?」
『こっちにおいで』
「?」
「どうしたの?」
『…良く聞いて欲しい。私達の両親達は悪い人達なんだ。とっても悪い事をしているんだよ』
「俺達の家族が」
「悪い事をしている人達…?」
『うん。この偶になっている大きな爆発音はね。
両親達に復讐をしている人達が起こしているんだよ。今ここで、沢山の人達が死んでしまっているんだ』
「俺達も、死んじゃうの…?やだよ、俺死にたくない!」
「私も死にたくない!お兄ちゃん!どうしたらいいの…?私死にたくないよ…」
『大丈夫だよ。2人は必ず私が守るからね。さぁ、逃げようか。大事な物を集めておいで。多くは持てないけど、少しだけなら良いよ』
「わ、わかった」
「直ぐに持ってくる!」
『うん。直ぐに動けて偉いね』
『…まだこっちには来てないね。少し焦げ臭い…もしかして燃えてるのか…?2人が部屋にいて良かった。もし私の部屋に居たら死んでいたかもしれない』
「持ってきたよ!お兄ちゃん!」
「俺も!」
『うん。じゃあ行こうか。階段が沢山合って、疲れるかもしれないけれど我慢してね』
「分かった!」
「うん!」
「兄ちゃんけほっ、煙が凄いよ!」
「!!お兄ちゃん!燃えてる!家が燃えてる!」
『不味いな…火が早い。急ごう』
「は、はぁっ、!に、いちゃ、俺もう、は、走れないよ!」
「けほっ疲れたよ…おにい、ちゃん…!はぁ、もうはしれない…!」
『ごめんね。疲れたね。もう少し我慢してね』
「うぅ、…」
「に、にいちゃん…」
『どうかしたかい?』
「か、階段が、落ちてる…」
『仕方ないね、もう1つの階段を使おう。そっちは無事だといいんだけどね』
「うん…」
『もうすぐ外だからね。2人共頑張って』
「う、うん。けほっけほっ」
「けほっ、」
ガララ、バキッ
『!危ない!』
「うわっ!」
「お兄ちゃん!」
『っ、2人とも怪我はないかい?』
「俺達は大丈夫だけど!兄ちゃんが…!」
『このぐらい大丈夫だよ。さぁもうすぐだよ』
「見つけたぞ。お前らで最後だ」
『!!』
「だ、だれ…?」
「お兄ちゃん、あの人、だれ…?」
『っ、大丈夫だよ。2人は守るからね』
「子供か。お前らにも死んでもらうぞ。此処に産まれたことを後悔するんだな」
『離れて起きなさい。私が何とかするからね』
「っ、兄ちゃん!」
「で、でも」
『大丈夫。ね?』
「っ、わかった」
「うん…」
「なんだお前からか?」
『すみません。私達が居なければ今頃貴方は幸せに暮らせていたのに。…さようなら』
「なに、を…?」
ドサ
『…ごめんね。こんな事をさせて』
シュルル…
『うん。ありがとう。アメル』
シュルルルル
「兄ちゃん、火が!」
『そうだね。行こうか』
「あ、あの人は…?」
『…ごめんね。2人を守るにはこうするしか無かったんだ。これ以上煙を吸っては行けないね。早く行こう』
「…」
「お兄ちゃん…」
ガララ!ガシャァァン!
「兄ちゃん!!」
「お、お兄ちゃん!!」
『ゲホッ、ゴホッゴボッはぁ、ごめんね。フィデルタ、フェデルタ』
『私が行けるのはここまでだ。ここからは2人で行くんだよ』
「嫌だよ!俺が肩を貸すから!」
「そうだよ!だから!」
『フィデルタ、フェデルタ』
「っ、」
「お、兄ちゃん。やだよ、やだ…」
『ごめんね。もう私は無理みたいなんだ。ここから出れたとしても出血多量で死んでしまう』
「わかんないよ!どうして?もうすぐ外なのに!」
「そうたよ!もうすぐ外だよ!出てお医者さんの所に行けば大丈夫だよ!!」
『ごめんね。フィデルタ、フェデルタ。2人だけでも逃げておくれ』
「やだ!やだやだやだ!兄ちゃんが居なきゃ嫌だ!しなないでよ、生きてよぉ…」
「いやぁ、おにいちゃん、おにいちゃん…!」
『私がいれば足でまといになってしまう。ごめんね』
「うぅ、ひぐっ、うっうぅ…」
『2人で外に行くんだ。いいね?』
「ひっぐ、うぅ…わ、かっだ!」
「ううぅ、…!うん"…!」
『良い子だね。偉い偉い。』
『2人に、これをあげよう』
「ぐすっ、な、なぁに」
「これ、は…?」
『御守りだよ。きっと2人を守ってくれる。私はずっと傍に居るからね。何時までも傍に居るから、だから、幸せになってね。フィデルタ、フェデルタ』
「おれ、たちが幸せだったら、にいぢゃんも、し、しあわ、せ?」
『もちろん』
「おに、いちゃん…!ま、またあえる?」
『…そうだね、きっと。何時かまた、会えるよ。だから幸せになるんだよ。直ぐに会いに来たら許さないからね』
「う"ん"」
「わ"か"っ"だ"」
『ふふ。凄い顔してるよ?フィデルタ、フェデルタ。さあもうおいき。外までの案内は私の相棒達がしてくれるからね』
「っ、…うん!」
「…わかった!」
『うん。…おいでフィデルタ、フェデルタ』
「お兄ちゃん!」
「兄ちゃん!」
『今までありがとう。産まれてきてくれてありがとう。私の弟と妹になってくれて、ありがとう。愛しているよ、何時までも。ずっと見守っているからね。悔いのない人生を送るんだよ。私の分までね
早く来たら許さないよ?どうか幸せに。フィデルタ、フェデルタ』
「ううううぅ…にいちゃぁ…!」
「おにいちゃん…!」
『さぁ、もう時間が無い。ここを真っ直ぐ行くんだ。いいね』
「私もあいしてる…!ずっと忘れないからね!」
「俺も、だいずき…!忘れない!」
『ふふ。ありがとう。じゃあね』
「うん…!」
「うん!」
『…アメル、琥珀、ふたりをよろしくね』
クルルルル…
シュルル…
『道をあけるから、ふたりを、そとまでたのんだよ』
…ワオオンッ!
シュルルルルル
『いいこ、ありがとう。きみたちにあえてよかった』
ウオォォン!
シュルル
『あぁ、ふたりのゆくすえをもっと、みたかったなぁ…、あぁでも、しあわせだったなぁ』
『どうかふたりのゆくすえにさちおおからんことを』
どうか2人の行く末に幸多からん事を
兄の独白
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