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改変世界の作戦会議

第88話 荒くれB中隊の噂どおり

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 B中隊で、ハイハープ峡谷出身の《《カシラビ伍長《ごちょう》》》という兵士が中隊長に連れられて俺の部屋に入って来た。
 カシラビ伍長は、大きくて寡黙《かもく》な印象を受けつつ、荒くれB中隊の噂どおり、素直に言うことを聞くようには見えなかった。

「カシラビ伍長《ごちょう》、君はこのロクソム近傍出身とのことだが、実家は近いのか?」

 カシラビ伍長は、小さく頷《うなず》くと、それ以上のリアクションをとらなかった。
 なるほど、、、、なんとも武骨《ぶこつ》な印象だな、いきなり旅の者が来て、軍隊の上位者だと言っても、納得なんてしないだろうな。
 しかし、俺はこの伍長から、この付近の情報を聞き出す必要がある。

「カシラビ伍長、この地図は解るか?君の実家は、この地図の中に入っているかだけでも教えてほしいのだが」

 俺は、カシラビ伍長に地図を見せると、彼はそれを食い入るように見つめた。
 しばらく見つめたあとに、彼は少し驚いた表情でこう言った。

「失礼ですが、この地図はどうされたんですか?」

「ああ、これは測量をして私が作成したものだ」

「、、、、これは良いものです、、、とても良い。もしよろしければ、私にこれを頂けないでしょうか?」

 武骨な印象だったが、伍長はこの地図がとても気になるようだった。

「こら、カシラビ伍長、無礼ではないか、ユウスケ様はマキュウェル様の客人で、今は我々の上官なんだぞ」

「私は細かいことはわかりません、しかし、この地図を見れば、この土地に興味が深いことは解ります。見てくださいこのハイハープ峡谷の一番下、こんなところに興味を持って地図に書き込んだ御仁《ごじん》は初めてです。ユウスケ様、もしこの地図を頂戴できるのであれば、私が峡谷の内部をご案内致しますが」

 これは願ってもない。
 今、一番ほしい情報だ、ついでにカシラビ伍長から、B中隊の話を少し聞くことも出来る。
 優れた作戦には、味方の細かい情報が大切な要素となる。
 俺は、とりあえず手持ちの地図を彼に渡して、シズから新しい地図を50枚ほど刷りだしてもらった。
 このカシラビ伍長の「伍長《ごちょう》」とは、軍曹《ぐんそう》の一つ下の階級になる。
 軍隊で言えば、兵士よりは上だが、下士官としては最下位というところだが、部隊の雰囲気を一番左右する階級とも言える。
 兵士の中で、体力、頭脳の優秀な者から選抜される階級でもあり、彼は将来必ず軍曹以上は行くだろう。
 しかし、このB中隊では、少し出世が遅いかもしれない。
 ちなみに、翻訳の関係かもしれないが、この国の軍隊の階級は、ほとんど現世のものと同じようだった。
 一番下が「列兵《れっぺい》」次が「小兵《しょうへい》」「中兵《ちゅうへい》」「上兵《じょうへい》」「兵長《へいちょう》」ここまでが兵士の階級、これは現世と言い方が異なるだけで、二等兵、一等兵、上等兵、兵長と同じといえる。
 次に下士官、「伍長《ごちょう》」「軍曹《ぐんそう》」「曹長《そうちょう》」「准尉《じゅんい》」これは完全に同じだ。
 将校はまったく同じ、「少尉《しょうい》」から「大尉《たいい》」の尉官《いかん》、「少佐《しょうさ》」から「大佐《たいさ》」の佐官《さかん》、そして准将《じゅんしょう》、少将《しょうしょう》、中将《ちゅうじょう》、大将《たいしょう》、までの将官、この国は、王族にその上の元帥《げんすい》、王様が大元帥《だいげんすい》相当らしい。
 つまり王様は国のトップであり、軍のトップでもある。
 この図式は、秀《ひい》でた軍人が、そのまま出世して国政に出やすいことを指す。
 たぶん、ベナルもこの戦いが終われば、出世するぞ、よかったな、リラル、、、、まあ、生きていればの話ではあるが。
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