その失踪事件には 〇〇人が関与している

独立国家の作り方

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細谷 淳平

第40話 細谷 淳平 ⑳

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 島崎さんは、まだ俺に隠している事があると言った。
 貴美に先立たれ、友達が宇宙人のルアーで・・なんだか俺はもう失うものが無いと感じられた。
 だから、今更何を聞いても、きっと驚かない。

「大丈夫だから、俺はもう、何聞いても驚かないよ。だからさ、言ってみ」

「絶対に怒らない?」

「怒らない。島崎さんは、俺の大事な友達だから」

「友達・・・・そうだね、その通りだ。じゃあ、言うよ。私ね、生まれて初めて男性を好きになったんだ」

「へえ、誰?」

「まったく、にぶちんなんだから・・」

「え・・・・えっ?」

 おい、ちょっと待て! そんな目で見られたら、俺だって勘違いするじゃないか。
 少し前に、高坂さんも同じ目をして俺の事が好きだって言ったんだぞ・・・・マジなのか?

「じゃあ、島崎さんは、俺と貴美が付き合っているのを、どんな目で見ていたんだよ! それじゃあ、島崎さんがただ辛いだけじゃないか!」

「私はいいんだよ」

「いい事あるかよ! それじゃあ島崎さんの好きって気持ちは、何処へ行くんだよ」

「どこにも行かないよ、ここにあるだけ。だって、どうしようもないじゃない。誰かを好きになれば、相手は必ず釣られる、昇天しちゃうんだよ! 私が誰かを好きになっても、それ以上前に進む事はない、一生ね」

「そんな・・・・そんな事言うなよ。俺は島崎さんも、戦友みたいに思っている」

「戦友・・か。確かに適切な言葉かもね。私たち、このまま一生涯進展しない事が保証されているんだから」

 もう、返す言葉が見つからない。島崎さんの気持ちを考えると、彼女の想いが切なくて仕方がない。
 なにか、良い方法はないものか。俺は、もう何も失う物なんてないんだから。

「島崎さん、ちょっといいか?」

 俺は、島崎さんの顔を右手でこちらに向けると、そのままキスをした。
 驚きと恐怖の表情に豹変する島崎さん。
 それでも、なにも起こらなかった。
 島崎さんは、俺の頬を思いっきりひっぱたいて、口を拭きながら「最低」とだけ言い残して走り去って行く。

 ああ、彼女の言う通り、俺は最低だ。
 貴美を失って、俺は多分、誰も好きにならない。だから、キスしても大丈夫なんだと証明したかった。
 いや・・・・もし、俺の気持ちが、少しでも島崎さんに向いていて、このキスで昇天させてくれるなら、それもまあいいか、程度に考えていた。
 去り際の、島崎さんの真っ赤な顔が、俺の胸に突き刺さって離れようとしない。
 ぽっかりと開いた心の穴に、島崎さんのそんな顔や、高坂さんの泣き顔が否応なしに入ってきてしまう。
 ・・最低だ。
 俺は、自分さえ良ければいいのか?
 誰かの犠牲の上に、自分の快楽が存在するなら、それでもいいと言うのか?
 
 次の日から、島崎さんは学校に来なくなってしまった。
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