俺は君の隣にいたかった

kazuna

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登校日

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和馬かずま「…なんで俺が受かったんだよ…」

 俺はここ、葉多野はたの高等学校の正門前で静かに呟いた

 和馬「いやまぁ確かに受かってよかったってのはあるけどさ…
俺みたいな不真面目ものを合格させるのはどうなのよ…」

 ここの受験で合格とはならなかった数名の人に少々申し訳ないとは思いつつ、俺は本心を零さずにはいられなかった。
 なにせ俺がこの高校を受けた理由は「1クラスの人数が17人前後」「俺と似た訳あり生徒が多いらしい」のたった2つのみだった。
 おまけに、中3の後半、受験シーズンだと言うのにまったく勉強などせず、学校にも行かず自室で1人ゲーム三昧の怠惰な日々を過ごしていた俺を受からせてくれた学校に感謝はすれど、疑問を隠しきれずにいた。

 和馬「はぁ…まぁグチグチ言ってても仕方ないしササっとクラスに行きますかね」

 1人ボソッと呟いて、俺は自分の所属するクラスへと向かった。









 和馬「…階段疲れた…」

 クラスの扉の前で俺はまたしても呟いた。

和馬「運動不足のゲーム廃人に3階の教室とか辛いぜ…
あ~もうさっさと教室の椅子で休も…」

 そう言って俺は教室の扉をゆっくりと開けた

和馬「ういーっす」

 帰ってくる返事はない

和馬(まぁそりゃそうか、昨日入学式と説明会終えて今日からやっと通常授業だ、特に訳あり生徒多数の教室で初日から挨拶返すような度胸のあるやつなんて)

???「あ、おはよ~」

和馬(うわ…いた…
いや~見事に盛大なフラグだったな~なんだよこのお約束展開「いた~~」とか返しゃいいのか?)

 脳内で盛大に1人会話を繰り広げつつ少々顔を引きつり気味になっていた俺に構わずその生徒は会話を続ける。

???「まさか…私の名前忘れちゃった?」

和馬「アーソーソーワスレチャッター」

???「うっわーホントに人を煽ることに関しては天才的だね」

 そんな他愛ない会話を繰り広げている相手は佐倉 紅葉さくら もみじ、先日の説明会の時に顔を合わせた、いわゆる「友達」だ。

紅葉「やっぱり皆まだ硬いね~」

和馬「そりゃ昨日入学して今日初めて授業だからな
むしろ私にはあなたの方がちょっと元気がよろしすぎる気がしますね~」

紅葉「そーゆー君もふっつーに話してるじゃん」

和馬「俺は昔から何故か緊張しない性格なんでな」

紅葉「え?でも面接前廊下でブルブル震えてなかった?」

和馬「ん?あ~、いやだってあの時廊下クソ寒かったじゃん」

紅葉「あ、そーゆーこと」

和馬「そーゆーこと」

 2人で会話していると、話しかけてくる1人の声がした。

???「えっと…紅葉ちゃん、私も混ざっていいかな…」

紅葉「お~おいでおいで~」

和馬(…なんかめっちゃナチュラルにもてなした…)

和馬「え~っと~?紅葉サン?こちらのお嬢さんは?」

紅葉「なんでちょっと上から目線なの…」

???「あ、ごめんなさい邪魔だった…?」

和馬「いや、全然。」

紅葉「和馬サン?あなた私の友達ナンパするつもり?」

和馬「いやなんでだよ…俺がいつ誰をナンパした?」

紅葉「いやなんかもう言動から行動に至る全てにおいてなんかそんなイメージが…」

和馬「あらやだ紅葉さん人を偏見で判断するのはよくないわ」

紅葉「…(引)」

和馬「すまん、ふざけてただけだ、頼むから初日から俺に変なレッテル貼るような真似はよしてくれ」

紅葉「えへへ~」

和馬「はぁ…んで?そっちの子は?」

紅葉「説明会で友達になった子だよ~」

篠乃「あ、雪美 篠乃ゆきみ しのって言います、和馬くんだよね?友達になって貰えると嬉しいな…」

和馬「もちろんだとも、よろしく頼むぞ篠乃君?」

紅葉「だからなんで上からなの…」

篠乃「エヘヘ、ありがと」

 そんなこんなで時間は潰れ、最初のホームルームが始まった。





先生「よし、皆いるね
えーっとー、昨日顔を合わせているので初めましてではありませんが改めて、1-4の担任となりました佐衛田さえだです
昨日の説明にもあった通り、葉多野にはクラス替えがありません、隣のクラスに好きな子がいても残念ながら同じクラスにはなれません」

和馬(イキナリ何言ってんだこの人…)

先日「ちなみに担任も他校へ移らない限りはそのままですのでどうぞヨロシク
えーっとー特にもう話すこともないのでホームルームここまでー
次の授業なんだっけ?」

紅葉「体育でーす」

先生「うっわーまさか初日最初から体育とかついてないねー諸君」

和馬(まったくだ)

篠乃(運動…)

先生「まぁそんな暗い顔しないのー、じゃ頑張ってね~」

和馬「…なんでこの学校は軽いやつが多いんだよ…」

 俺は思わず呟いた…

紅葉「かーずまー体育館行こー」

 なぜこいつはこんなにも元気なんだと思うほどに満面の笑みで俺を誘いに来た紅葉に俺は鋭い言葉を返した。

和馬「いいけど、=お前は我々男諸君の前で堂々とジャージに着替えるハメになるが?」

紅葉「…篠乃ちゃーん一緒に更衣室行こ~♪」

篠乃「えっあ、うん行こっか」

和馬(最初からそーしろよ)

 肩を落としつつ俺は心中でそっと呟いた。

和馬(んまぁ、何だかんだ悪い場所じゃないな
気のいいヤツらもけっこーいるし、割かしやっていけそうだし、頑張りますかね)






 …もう二度とあんな思いはしたくないから…





 
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