1 / 4
登校日
しおりを挟む和馬「…なんで俺が受かったんだよ…」
俺はここ、葉多野高等学校の正門前で静かに呟いた
和馬「いやまぁ確かに受かってよかったってのはあるけどさ…
俺みたいな不真面目ものを合格させるのはどうなのよ…」
ここの受験で合格とはならなかった数名の人に少々申し訳ないとは思いつつ、俺は本心を零さずにはいられなかった。
なにせ俺がこの高校を受けた理由は「1クラスの人数が17人前後」「俺と似た訳あり生徒が多いらしい」のたった2つのみだった。
おまけに、中3の後半、受験シーズンだと言うのにまったく勉強などせず、学校にも行かず自室で1人ゲーム三昧の怠惰な日々を過ごしていた俺を受からせてくれた学校に感謝はすれど、疑問を隠しきれずにいた。
和馬「はぁ…まぁグチグチ言ってても仕方ないしササっとクラスに行きますかね」
1人ボソッと呟いて、俺は自分の所属するクラスへと向かった。
和馬「…階段疲れた…」
クラスの扉の前で俺はまたしても呟いた。
和馬「運動不足のゲーム廃人に3階の教室とか辛いぜ…
あ~もうさっさと教室の椅子で休も…」
そう言って俺は教室の扉をゆっくりと開けた
和馬「ういーっす」
帰ってくる返事はない
和馬(まぁそりゃそうか、昨日入学式と説明会終えて今日からやっと通常授業だ、特に訳あり生徒多数の教室で初日から挨拶返すような度胸のあるやつなんて)
???「あ、おはよ~」
和馬(うわ…いた…
いや~見事に盛大なフラグだったな~なんだよこのお約束展開「いた~~」とか返しゃいいのか?)
脳内で盛大に1人会話を繰り広げつつ少々顔を引きつり気味になっていた俺に構わずその生徒は会話を続ける。
???「まさか…私の名前忘れちゃった?」
和馬「アーソーソーワスレチャッター」
???「うっわーホントに人を煽ることに関しては天才的だね」
そんな他愛ない会話を繰り広げている相手は佐倉 紅葉、先日の説明会の時に顔を合わせた、いわゆる「友達」だ。
紅葉「やっぱり皆まだ硬いね~」
和馬「そりゃ昨日入学して今日初めて授業だからな
むしろ私にはあなたの方がちょっと元気がよろしすぎる気がしますね~」
紅葉「そーゆー君もふっつーに話してるじゃん」
和馬「俺は昔から何故か緊張しない性格なんでな」
紅葉「え?でも面接前廊下でブルブル震えてなかった?」
和馬「ん?あ~、いやだってあの時廊下クソ寒かったじゃん」
紅葉「あ、そーゆーこと」
和馬「そーゆーこと」
2人で会話していると、話しかけてくる1人の声がした。
???「えっと…紅葉ちゃん、私も混ざっていいかな…」
紅葉「お~おいでおいで~」
和馬(…なんかめっちゃナチュラルにもてなした…)
和馬「え~っと~?紅葉サン?こちらのお嬢さんは?」
紅葉「なんでちょっと上から目線なの…」
???「あ、ごめんなさい邪魔だった…?」
和馬「いや、全然。」
紅葉「和馬サン?あなた私の友達ナンパするつもり?」
和馬「いやなんでだよ…俺がいつ誰をナンパした?」
紅葉「いやなんかもう言動から行動に至る全てにおいてなんかそんなイメージが…」
和馬「あらやだ紅葉さん人を偏見で判断するのはよくないわ」
紅葉「…(引)」
和馬「すまん、ふざけてただけだ、頼むから初日から俺に変なレッテル貼るような真似はよしてくれ」
紅葉「えへへ~」
和馬「はぁ…んで?そっちの子は?」
紅葉「説明会で友達になった子だよ~」
篠乃「あ、雪美 篠乃って言います、和馬くんだよね?友達になって貰えると嬉しいな…」
和馬「もちろんだとも、よろしく頼むぞ篠乃君?」
紅葉「だからなんで上からなの…」
篠乃「エヘヘ、ありがと」
そんなこんなで時間は潰れ、最初のホームルームが始まった。
先生「よし、皆いるね
えーっとー、昨日顔を合わせているので初めましてではありませんが改めて、1-4の担任となりました佐衛田です
昨日の説明にもあった通り、葉多野にはクラス替えがありません、隣のクラスに好きな子がいても残念ながら同じクラスにはなれません」
和馬(イキナリ何言ってんだこの人…)
先日「ちなみに担任も他校へ移らない限りはそのままですのでどうぞヨロシク
えーっとー特にもう話すこともないのでホームルームここまでー
次の授業なんだっけ?」
紅葉「体育でーす」
先生「うっわーまさか初日最初から体育とかついてないねー諸君」
和馬(まったくだ)
篠乃(運動…)
先生「まぁそんな暗い顔しないのー、じゃ頑張ってね~」
和馬「…なんでこの学校は軽いやつが多いんだよ…」
俺は思わず呟いた…
紅葉「かーずまー体育館行こー」
なぜこいつはこんなにも元気なんだと思うほどに満面の笑みで俺を誘いに来た紅葉に俺は鋭い言葉を返した。
和馬「いいけど、=お前は我々男諸君の前で堂々とジャージに着替えるハメになるが?」
紅葉「…篠乃ちゃーん一緒に更衣室行こ~♪」
篠乃「えっあ、うん行こっか」
和馬(最初からそーしろよ)
肩を落としつつ俺は心中でそっと呟いた。
和馬(んまぁ、何だかんだ悪い場所じゃないな
気のいいヤツらもけっこーいるし、割かしやっていけそうだし、頑張りますかね)
…もう二度とあんな思いはしたくないから…
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる