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なけなしザッハトルテ2

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 目を閉じ快感に耐える木崎さんを、彼の腹の上から見つめ、腰を上下させる。

「離婚も成立してないのにこんなことして、あんたほんとバカだよ。高額な慰謝料求められても、俺はびた一文出さないからな」
「ぅ……あ」
「俺とこうしたかったんでしょ? 俺を抱く妄想ばかりしながら仕事してた? そもそも、あんたなんで俺がゲイだって知ってたんだよ」

 ぎゅっと目を閉じ、小さな呻き声しか出さない木崎さんだけど、「答えろって」と彼の唇を親指で引っ張ると、それを振り払うように顔を逸らし、口を開いた。

「偶然……っ、見かけて……夜の街で。貴方が……男性と手を繋いで歩いている姿を」

 へぇ……そう。

「そいつが俺の恋人だとは疑わなかったの? それとも恋人がいるかもしれないことを承知で誘ってきたわけ?」
「ちが……。だって、毎回……違う男だったから……っ」

 何回目撃されてるんだ。……いや、違うな。

「ってことは、あんたもそういう場所に出入りしてたってわけだ。いい旦那のふりして、いい父親のふりして、浮気相手を探してたんじゃないかよ」
「ごめ……なさ……」
「男の経験がないって言うのは、嘘?」

 聞いたが、その質問には食い気味に首を振った。

「本当……っ、です。明智さんが……初めて……ぁ」

 気持ちよさそうにまたぎゅっと目を閉じる彼の上に覆いかぶさり、俺は強く中を締め付けた。期待通りのうめき声を出した木崎さんは、俺の腰に手を添えたのち、「もう我慢できない」と小さく呟くや否や、俺の背中に腕を回して上体を一気に起こした。
 そしてそのまま俺をベッドに押し倒すと、「動きます」とギラついた瞳で宣言してくれた。

 へぇ……。いいじゃん。そういう顔、出来るんじゃないか。

 無心に腰を打ち付ける木崎さんを余裕の顔で見上げていたのもしばらくで、俺の息も次第に乱れてくる。互いの荒い息が和音のように重なり、かき混ぜられたローションが下品で粘着質な音を奏でる。

「あぁ、すごい……っ。明智さん、気持ちいい……!」

 俺の膝の裏を両手で持って広げ、結合部を恍惚と見つめる彼の瞳は、本当に男性とのセックスが初めてなのだろうことを物語っていた。それほどまでに、彼はこの行為に少年のような “興味” を抱いていたのだ。

「すごい……、あぁ、繋がってる……!」

 もっとしたい、でももっと見たい。そんな心の声さえ、聞こえてきそうで。激しいピストンの真っ只中、いきなり彼は体を引き抜き、俺のぽっかり空いたアナルを凝視した。

「見……んなって」

 さすがの俺も赤面してそれを拒んだが、彼は俺のアナルに顔を近づけた。

「すごい、すごい……。ここに俺のが入ってた。どうなってんの? なんでこんなにエロいの?」

 ひとり言。俺に言ってるわけじゃない。彼は一人でごちゃごちゃ言いながら俺のアナルに舌をニ~三度抜き挿しした後、また自分のものを当てると、焦らすように撫でつけてから、再び中へと侵入してきた。

「んぅ……っ」

 カリだけ飲みこんだ俺へ、木崎さんはなんとか興奮を抑えながら、静かに問いかけてくる。「どこが気持ちいいんですか」と。
 そんなの……、

「教えない……っ、探せよ」

 言った俺に、木崎さんは面白そうに口元を緩ませると、一気に奥まで貫いた。

「そういうの、好きです。今日、探し出せなかったら、次はありますか?」

 すっかり楽しんでるじゃないか。
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