怠惰な召喚術師は最強を飼っている~ファンタジー化した現代で膨大な魔力と召喚スキルを与えられた少年の生きる道~

すー

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第2章~怠惰な召喚術師と夢見る少女~

第18話:召喚術師はストレスフリー

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 この世界にダンジョンが出来たと同時に、人々は能力《スキル》を得た。

 原理は分かっていない。 ダンジョンに、モンスターに抗うために神が与えたのか、世界が魔力に満ちたことにより元来人に備わっていた超常的な力が開花したのか、諸説あるがどれも空論に過ぎない。

 その中でも有用な能力を持つ者は、冒険者として成功したり、または悪い大人に目を付けられ人生をめちゃくちゃにされるものもいた。

 空亡《からな》は後者であった。

 彼の能力は召喚術――異界よりモンスターを召喚し、使役する力だ。

 加えて彼の魔力の保有量――後天的に増やす手段は今のところない――は比類なきほど高かった。

『君はきっと歴史に名を遺すような大冒険者になれる』

『その力は世界を救う』

『力を持つ者には責任が伴う』

 しかし空亡の情報がどこかから漏れたことにより、彼は熾烈な勧誘を受けることとなった。

 そして勧誘は、脅しとなり、家族は危険にさらされ、本人は『どうしてこんな力を持って生まれたのか』と嘆き、神を恨んだ。 その時のことがキッカケとなり空亡は冒険者やダンジョン関係に良い感情を持っていない。 むしろ嫌悪しているといってもいい。

 そのことが原因となって、親元から離れた当初は引きこもりになっていた。

 家にいれば誰かに追われることも、誘拐されるようなことも、脅されることもない。 安全だ。

 引っ越した今となってはもうそんなことは起きていないが、未だに彼は過去のトラウマを引きずっていた。

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「で、どうだったんだよ……の外は?」
「疲れたよ……リアル鳥羽の圧がスゴくて」

 体をストレッチしながら、空亡は教室の出来事を思い出してため息を吐いた。

「あいつスゲーよな。 あんなしつこく毎日勧誘されたら引きこもりたくもなるわ」

 シェイプスターは哀れみの眼差しで、空亡の肩を優しく叩いた。

 今日、空亡は久しぶりの登校だったのだ。
 普段は空亡の姿となったシェイプスターが代わりに学校へ行っていた。

「もう殺っちまうか?」
「……いや、今のところ僕のことを言いふらすことも、脅すこともないから大丈夫じゃない?」

 色々あって引っ越した後、高校で出会ったのだが、なぜか彼女は僕のスキルが召喚術であり、魔力量が高いことを知っていたのだ。

「そもそもなんでお前なんだよ?」
「彼女のスキルが『魔物と心を通わせ、強化する』スキルだからだよ。 理由は知らないけど、彼女が冒険者として成功するには、僕ほど相性の良い相手はいないだろうからね」
「なーるほど」

 鳥羽玉藻が冒険者になりたい理由は金か名誉か、単純に未知への好奇心かは知らない、知りたくもない。

 だが殺したいほど憎悪も恐怖もない。 勧誘事態はただひたすらに鬱陶しいが、本人のことは好きでも嫌いでもなかった。

「まああの子の話はこれくらいで……この後木霊と遊ぶ予定なんだけど、疲れたから代わりに行ってきてー」

 僕はベッドで横になって、スマホを弄り始めた。

「いやいや、遊びが面倒って断れば?」
「そこで発生する罪悪感を回避したいんだよ」
「……さいですか」

 召喚術によって僕の人生は可笑しくなった。

 けれどそれは欲にまみれた人が悪いのであって、スキル事態に罪はない。 故にマイナスになった分、人生をより良くするために使い倒すつもりだ。

 すでに空亡の生活に召喚術は、モンスターはもはや必要不可欠となっている。

 彼は召喚するモンスターを戦闘に有用かではなく、自身の生活に有用かどうかで決める。

 シェイプスターは人の姿を真似る怪物、面倒な用事、学校をサボりたい時に使え、空亡が最も重用するモンスターの一種だ。

 シェイプスターはベッドから体を起こすと、手を差し出した。

「じゃあ小遣い」
「……分かった」

 召喚術はモンスターを召喚し、使役するが意思を捻じ曲げ奴隷のように扱う能力ではない。

 千円を握りしめて部屋を出るシェイプスターを見送って、空亡は改めて思うのだった。

「召喚術最高!」

 
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