怠惰な召喚術師は最強を飼っている~ファンタジー化した現代で膨大な魔力と召喚スキルを与えられた少年の生きる道~

すー

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第2章~怠惰な召喚術師と夢見る少女~

第21話:召喚術師は友人と食事する

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「おかえり、僕」
「ただいま、俺」

 片付けをするからとシェイプスターには先に帰宅してもらい、木霊は少し遅れて来てもらうことになっている。

「記憶を共有しようか」

 僕らは額をくっつけることで記憶を共有できる。
 シェイプスターと別行動する時は、いつもこうして共有することを欠かさない。

「はわわわ」
「お、久しぶりじゃん初心っ子……なるほど初心っ子が先生ってわけか」

 僕らが額を寄せる様子を、顔を真っ赤にして手で隠した隙間から覗き見るサキュバスは目に涙を溜めた。

 サキュバスは普段は真面目でしっかり者だが、意外と妄想精神たくましい上に如何わしいことが苦手なのだ。

「初心って言わないでくださいよ!」
「わりーわりー、でもなんて呼べばいいんだよ?」
「サキュバスでいいじゃん」
「だから主よ……それは名前ではなく種族名だって」

 そんなやり取りをしているうちに、

――ピンポーン

『よう、来たぞー』

 木霊がやって来てしまった。

「早っ! 共有は後にしよう!」
「あいよ」
「木霊、入って……ってなんで君がいる?」
 
 木霊の後ろから恐る恐る出てきたのは、気まずそうな笑みを浮かべた鳥羽だった。

『すいません、お世話になります』
「ええ~と、まあいいや。 二人とも入って」

 予定外の来客にため息を吐いた。

「木霊のやつ一体何を考えてるんだ……っていうかシェイプスターなんで隠してた?」
「別に隠しちゃいねえよ? 言うのが遅れちまっただけさ」

 召喚術で使役するモンスターは完全に支配されているわけじゃない。 故に自分で何かを考えるし、嘘も吐く。 だがシェイプスターとは長い付き合いだから、彼なりに考えがあってのことだと思いたい。

「そうかい。 まあとにかく女子がいるなら色々内容を微修正した方が良さそうだ」

 サキュバスに色々してもらって木霊のやる気を引き出そうと考えていたのに残念だ。

 何がなんだか分かっていないサキュバスは、僕の視線に気づいて不思議そうに首を傾げるのだった。







 勉強会は何事もなく終わった。
 すると仕事から帰ってきた獅々田が、鳥羽と木霊に言った。

「夕飯食べてって」

 嬉しそうな獅々田を止めることができず、四人でテーブルを囲った。

「このカレー最高っす! 今まで食べてきたカレーの中で一番美味しいです!」
「またまたぁ、そんなこと言ってー!」
「本当っすよー!}

 いつもより賑やかすぎる食卓に僕は息を潜める。

「ねえ山本くんは学校でどうかな? 浮いてない? いじめられてない? ちゃんと青春してる?」
「ちょ、やめてよ獅々田さん!?」
「大丈夫です。 なんてたって俺が友達なんすよ?」
「お前はお前でよくそんな恥ずかしいこと言えるよな……」
「そう……そうよね」

 獅々田さんは木霊の手を取って、懇願するように言った。

「ありがとうね。 出来ればこれからもこの子のことよろしくお願いします」
「うっす。 任せてください!」
「本当にありがとうね。 なんかお礼しなくちゃね……」
「よろしければお替わりが欲しいです!」
「そんなことでよければいくらでも」

 この後、本当に気に入っていたのか木霊は三杯お替りしていた。

 その間、鳥羽はやけに静かだった。
 まるで嵐の前兆――――

「空亡くんの保護者……つまり実質お母さんであり、お父さんでもあるということ? ああ、絶対に失礼のないようにしないと」

――と思いきや空回りな緊張をしているだけのようだ。

「鳥羽さん」
「ひゃいっ!?」
「……お替わりする? するなら早くしないと全部食い尽くされちゃうからさ」

 フードファイターのようにカレーを掻っ込む木霊を見て、彼女は微妙な表情をしながら皿を差し出した。

「じゃあちょっとだけ」
「はいよ」
「ところで! あなたと山本くんはどういうご関係なのか詳しく教えてくれる?」
「え、ええと」

 獅々田さんが面倒な話題を出し始めたので、僕は逃げるように席を立った。

「――」

 何を話しているかは分からないが、獅々田さんは二人から話を聞いてきゃあきゃあ言っている。

 そして何かを吹き込むように獅々田さんがにやにやし、鳥羽さんは顔を真っ赤にしつつ真剣な表情で頷いた。

(獅々田さんがあんなに浮かれてるの珍しいな……)

 鳥羽さんは立ち上がって、わざわざこちらまで来て言った。

「今日はありがとう! お礼にデートしてあげる!」

 すごくセリフぽい口調である。
 
「いやお礼……?」
 
 不思議そうに首を傾げると、鳥羽の顔色がさらに赤みを増していく。

「こらー! 意地悪するな!」と獅々田さんが空気をぶち壊し、なんだかカオスのまま勉強会のお礼ということで僕は鳥羽と二人で出かけることとなった。




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