怠惰な召喚術師は最強を飼っている~ファンタジー化した現代で膨大な魔力と召喚スキルを与えられた少年の生きる道~

すー

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第2章~怠惰な召喚術師と夢見る少女~

第20話:友人は勉強が出来ない

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ある日、半泣きの木霊が教科書を抱えてやってきた。

「どうしよう、俺の頭が悪すぎる」
「うん、知ってる」

 木霊は地頭は良いのに、勉強が苦手だ。
 興味のあることに関しては抜群だが、そうでないと判断したことは全く頭に入らないらしい。

「ソラ知ってるか……この学校にまつわる怖い話」
「何だなんだ突然?! 怪談?」
「そんなのよっぽど恐ろしい話だ」

 木霊が真っ青な顔で言うもんだから、空亡は生唾を飲んだ。

 この学校はわりと進学校で、歴史も浅い。
 そのため校舎は綺麗で、怪談とは縁のないように見える。

「この学校はな――

――なんと赤点を三つ取ると留年してしまうんだ!」

 留年の二文字が空亡の脳にリフレインした。

(そういえば期末試験が近かったか……)

 空亡は彼の言いたいことを理解し、深いため息を吐いた。

「で?」
「でってお前!? 三つだぞ! それで留年したら、普通は居ずらくて退学するだろ? 今後の人生が左右されちまううんだ……恐ろしいだろ?」
「いや、普通に勉強してれば赤点なんて取らないでしょ」

 木霊は化け物でも見るかのような視線を空亡に向けて、わなわなと震え――

「で?」
「頼む、不出来な私にお知恵をお貸しください」
「死ぬ気で暗記しろ、以上」
「やろうと思ったさ……だけど机に向かうといつの間にか漫画を開いて笑ってるんだぜ?」
「いやいや頑張りなよ。 人生がかかってるんでしょ? というかそっちの方がよっぽどホラーじゃん。 まあいいや、とりあえずどこが分からないの?」

 木霊は嬉しそうに教科書を机にどさどさと置いて、清々しい笑みを浮かべた。

「全部!」
「木霊、今までありがとうな」

 とはいえ木霊は僕にとって唯一の友人だ。
 彼が留年、または退学になれば一人飯することになる。 それは退屈を、平穏を愛すると言っても少々堪《こた》えるだろう。

 なんだかんだで僕は木霊に勉強を教えようとした。

 しかし、

「あのさ、やる気ある?」
「ある、あるんだけど頭に入って来ねえ」

 僕は成績はかなり優秀な方だ。 勉強もかなり先まで進んでいる。 
 まあシェイプスターを召喚することにより、他の学生よりも遥かに時間的余裕があるため当然かもしれない。

 しかしその知識をもってしても木霊に勉強を教えることができなかった。

「なんで英単語の一つも暗記できないんだよ……どうやって生きてきたの?」
「え、英語なんてできなくても生きていけるわい!」

 彼はやる気がないわけじゃない。 むしろ必死に見えた。

「本当に大丈夫? 病院行く?」
「いやマジで心配されるのが一番心に刺さるんでやめ下さい……心配してくれたことはありがとう」
「どういたしまして? というかこれ本当に赤点取るんじゃない?」
「……やるしかないか」

 木霊はついにスマホで『カンニング バレない』なんて調べ始めた。

「でも木霊は数学とかは出来るし、機械には強いよな」
「ああ、どっちも好きなこと――魔法工学――に必要だからか? するする入って来るんだよな~」

 木霊は魔法を取り入れた道具作りをする職人や開発者になるのが夢らしい。

 つまり木霊に勉強を覚えさせるには好きなモノや興味のあることで釣ればいいのだ。

(でもそんな都合の良いモノ……!!)

 僕は召喚したことのある、あるモンスターを思い浮かべた。

「勉強会しよう」
「ふぇ?」

(シェイプスター)
(あいよ)
(後はよろしく)
(りょーかい)

 僕はシェイプスターと共有していた感覚を落とした。

「ふぅ、準備しますか」

 ベッドから立ち上がって、とりあえず部屋の掃除を開始した。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 シェイプスターは人を真似るモンスターである。 時に真似る動物、人の記憶すらコピーする。

 遠くにいるシェイプスターと感覚を共有して、二拠点生活を行っていたテイマーも存在していた逸話が残っている。

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 召喚術の光が部屋を照らす。

 そして現れたのは丈の長いスカート、紺色のブレザータイプの学生服を着た、おさげでスタイルの良すぎる少女だった。

「それじゃあ頼むぞ、サキュバス」
「お任せください」






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