怠惰な召喚術師は最強を飼っている~ファンタジー化した現代で膨大な魔力と召喚スキルを与えられた少年の生きる道~

すー

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第2章~怠惰な召喚術師と夢見る少女~

第27話:召喚術師は体験会へ誘われる

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「お前、夢はあるのかよ」
「どうした突然……?」

 とある昼休み、魔道具職人を志す友人――木霊が卵焼きを頬張りながら真面目な表情で言った。

「うーん、ないけど」
「けど?」
「しいていうなら神を殴ってみたい」
「お前は陰気な奴だと思ってたけど、そこまで病んでたのか……気づかないなんて俺ぁ友人失格だよ」
「うん、そういう臭いのやめてね。 ぞわぞわするから……で、何の話?」

 木霊はカバンから『冒険者を志すあなたへ! 最先端戦闘術を学べます!』と書かれた、パンフレットを取り出した。

「一緒に行かない?」
「行かない」

 空亡は即答した。

「頼むよ……一回だけでいいからさ」
「俺がそういうの嫌いなの知ってるだろ」
「まーな! だけど一人は心細いやん?」
「知らんがな」

 普段から鳥羽玉藻の勧誘を断っている光景を目の当たりにしているにも関わらず、よく誘えたもんだと空亡は木霊の図太さに呆れた。

「ところでお前はいつから冒険者志望になったんだ……まさか鳥羽狙いで……?!」
「さすがに違います。 魔道具に使う素材って普通に買ってたら高いのよ。 で、金はない。 でも魔道具を作りたいなら、遅かれ早かれ自分で少しは採取に行きたいなっておもってさ」
「なるほど」
「だから一緒に」
「嫌です。 鳥羽さん誘ったら?」
「そんな勇気あったらすでにやってるって……はあ」

 これみよがしにため息を吐かれても知らんもんは知らんのだ。

(後は頼む)
(あいよ)

 空亡はシェイプスターに意識を渡して、ベッドの上でため息を吐いた。

「どうかしましたか?」
「いや、木霊が冒険者志望の道場に行こうって誘われてさ……」

 サキュバスはそれを聞くと、嬉しそうにほほ笑んだ。

「いいじゃないですか! 運動は健康にも良いですから!」
「なんでそんな嬉しそうなんだよ……行かないし」
「じゃあ私が教えて差し上げましょうか?!」

 サキュバスって戦うタイプのモンスターだっただろうか、という疑問が浮かぶがやたら目を輝かせているので断りづらい。 だが断る。

「いやいいよ。 健康なら朝、散歩してるから大丈夫」
「え……」
「……そんな悲しそうな顔するなよ」

 捨てられた子犬みたいな表情をサキュバスがするのでさすがに心が痛んだので、僕は渋々了承した。

「分かったよ。 やるよ! 教えてください、お願いしますっ!」
「承知しましたっ! お任せくださいっ!」

 こっちが教えてもらう側ではありつつも、サキュバスに付き合うつもりで戦闘訓練をすることとなったのであった。





「ではまず準備運動から始めます」
「まじか……」

 サキュバスが僕のスマホを操作すると、聞き覚えのある軽快な音楽が流れ始めた。

『ラジオ体操第一』

「なんでラジオ体操なんて知ってるの?!」
「これは素晴らしい運動ですよ。 さあ元気よく!」

「はい! 声出して!」

「はい! もっときびきびと!」

「のびやかに!」

 やたら張り切っているサキュバスのテンションに付いていけず、準備段階で僕は疲労困憊となってしまっていた。

「や、やっと終わった……」
「それでは始めて行きます。 初めは――

――ランニングで体力作りから」
「ごめん、今日はもういいや」

 戦術訓練においてストレッチや体力作りが必要不可欠であることは理解できる。 しかし大してモチベーションも無いので、僕の心は完全に萎えてしまった。

 唯一、サキュバスがどんな戦術を教えてくれるのか楽しみにしていたがそこまでたどり着くことも出来ずに終わってしまうのであった。





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