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本編
3(ナタリー視点)
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(頭が痛い)
目を覚ますと猿轡をされ、両手足を縛られうつ伏せになっており、鉄格子が目に入った。
何とか身体を起こして周囲を観察する。立って歩き回れそうな程大きな檻に入れられており、窓はなく倉庫に似た場所のようだった。
(倉庫にしては振動してる。もしかして運ばれてる?)
両手の縄を解こうとするが、後ろ手に縛られているため解くことは出来なかった。
(誰か助けて……)
視界が涙で滲む。自分以外誰もいない空間で啜り泣く。
暫くすると気持ちが落ち着いてきて、思考することが出来るようになってきた。
(誘拐されてからどのくらい経った?)
窓がないため、昼か夜かすら分からない。
隣国に売るってルーカスって人が言ってたから…。もしかして列車に乗せられてる?隣国行きは列車を使うか馬車で行くか徒歩かのどれかしかない。列車は隣国まで十日かかるんだっけ?
隣国は絶対君主制で身分社会がある。しかも他国の人間に対してかなり排他的だ。表向き奴隷制度はないが闇市では人もやり取りされると聞く。
(チャンスが来たら舌を噛んで死のう)
ガタンと音がして列車が停まった。暫くすると正面から光が差す。どうやら今は昼で、私はコンテナのような細長いものに閉じ込められていたようだ。
扉を開けたのは数人の男達だった。うち一人の男は肩に何かを抱えていた。じっと身を固くしていると、別の男から声がかかる。
「目が覚めたようだな。」
檻の鍵ががちゃりと開いて、男達が入ってくる。男は抱えていた荷物を床にどさりと落とした。それは荷物ではなく血塗れの誰かだった。
「んーーーー!!!!」
血塗れの誰かは私の最愛の人だった。猿轡をされているが力の限り叫ぶ。
(テオ!!テオ!!)
男達はもがく私を見ても下卑た笑いをして獲物をいたぶって遊ぶ猛獣のような目をしていた。
「どれ、猿轡は外してやろう。可愛い声で鳴いてくれよぉ」
猿轡が外された途端に愛する人の名を力一杯呼ぶ。
「テオ!!テオ!!起きて!!テオ!!」
「知り合いか?」
「テオに何をしたの!!」
「俺達は命令されたことを忠実に守ってるだけだ。あんたを売る、それを邪魔する奴は殺せってな。そいつは俺達の商品を盗もうとしたんだ、盗人には当然の罰だ」
「……殺したの」
「いいや?殺すよりそいつも纏めて売った方が得だからな」
問題は山積みだったが、生きていると知った安堵から涙が出た。
(助けに来てくれた)
「十日間飲まず食わずじゃ死んじまうからな。」
巾着と革袋を渡されるが、
「それよりお手洗いに行きたいんだけど。…というか両手縛られてんのに、どーやって食べるの?」
「とりあえず連れてけ」
足の縄が解かれ、逃げださないように腕に長い縄が渡され、その縄の先は男が持っていた。何故か堂々と駅のトイレ目指して歩かされる。
(普通こっそりしない?何故誰も助けてくれないの?)
それは異様な光景だった。
目的地に着きひとまず用を足して脱出の方法を考える。
(このまま、列車が発車するまで立てこもる?無理よね、さっきのおかしな様子から駅員は頼れなさそうよね。駅員もグルかしら。)
暫くすると女子トイレのはずだが、ドアをドンドンと叩かれ、催促する男の声がした。
「早くしろ!」
再び檻に閉じ込められ、今度は足は縛られなかったが檻の前に見張りに三人ついた。
「だから、どーやって食べるのよ!!」
「這いつくばって食うことだな」
「嫌よ!!」
ごねてみるがやはり相手は慣れているのか通用しなかった。
ジリジリと時間だけが過ぎていくが、テオは夜になっても目を覚まさなかった。
目を覚ますと猿轡をされ、両手足を縛られうつ伏せになっており、鉄格子が目に入った。
何とか身体を起こして周囲を観察する。立って歩き回れそうな程大きな檻に入れられており、窓はなく倉庫に似た場所のようだった。
(倉庫にしては振動してる。もしかして運ばれてる?)
両手の縄を解こうとするが、後ろ手に縛られているため解くことは出来なかった。
(誰か助けて……)
視界が涙で滲む。自分以外誰もいない空間で啜り泣く。
暫くすると気持ちが落ち着いてきて、思考することが出来るようになってきた。
(誘拐されてからどのくらい経った?)
窓がないため、昼か夜かすら分からない。
隣国に売るってルーカスって人が言ってたから…。もしかして列車に乗せられてる?隣国行きは列車を使うか馬車で行くか徒歩かのどれかしかない。列車は隣国まで十日かかるんだっけ?
隣国は絶対君主制で身分社会がある。しかも他国の人間に対してかなり排他的だ。表向き奴隷制度はないが闇市では人もやり取りされると聞く。
(チャンスが来たら舌を噛んで死のう)
ガタンと音がして列車が停まった。暫くすると正面から光が差す。どうやら今は昼で、私はコンテナのような細長いものに閉じ込められていたようだ。
扉を開けたのは数人の男達だった。うち一人の男は肩に何かを抱えていた。じっと身を固くしていると、別の男から声がかかる。
「目が覚めたようだな。」
檻の鍵ががちゃりと開いて、男達が入ってくる。男は抱えていた荷物を床にどさりと落とした。それは荷物ではなく血塗れの誰かだった。
「んーーーー!!!!」
血塗れの誰かは私の最愛の人だった。猿轡をされているが力の限り叫ぶ。
(テオ!!テオ!!)
男達はもがく私を見ても下卑た笑いをして獲物をいたぶって遊ぶ猛獣のような目をしていた。
「どれ、猿轡は外してやろう。可愛い声で鳴いてくれよぉ」
猿轡が外された途端に愛する人の名を力一杯呼ぶ。
「テオ!!テオ!!起きて!!テオ!!」
「知り合いか?」
「テオに何をしたの!!」
「俺達は命令されたことを忠実に守ってるだけだ。あんたを売る、それを邪魔する奴は殺せってな。そいつは俺達の商品を盗もうとしたんだ、盗人には当然の罰だ」
「……殺したの」
「いいや?殺すよりそいつも纏めて売った方が得だからな」
問題は山積みだったが、生きていると知った安堵から涙が出た。
(助けに来てくれた)
「十日間飲まず食わずじゃ死んじまうからな。」
巾着と革袋を渡されるが、
「それよりお手洗いに行きたいんだけど。…というか両手縛られてんのに、どーやって食べるの?」
「とりあえず連れてけ」
足の縄が解かれ、逃げださないように腕に長い縄が渡され、その縄の先は男が持っていた。何故か堂々と駅のトイレ目指して歩かされる。
(普通こっそりしない?何故誰も助けてくれないの?)
それは異様な光景だった。
目的地に着きひとまず用を足して脱出の方法を考える。
(このまま、列車が発車するまで立てこもる?無理よね、さっきのおかしな様子から駅員は頼れなさそうよね。駅員もグルかしら。)
暫くすると女子トイレのはずだが、ドアをドンドンと叩かれ、催促する男の声がした。
「早くしろ!」
再び檻に閉じ込められ、今度は足は縛られなかったが檻の前に見張りに三人ついた。
「だから、どーやって食べるのよ!!」
「這いつくばって食うことだな」
「嫌よ!!」
ごねてみるがやはり相手は慣れているのか通用しなかった。
ジリジリと時間だけが過ぎていくが、テオは夜になっても目を覚まさなかった。
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