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突然スタートさせられた異世界生活
優しい異世界の娘(カーミラ視点)
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ほんとに男達ったら頭悪くて嫌になっちゃうわぁ。食べちゃおうかしら…。族長やってたってよく一族全滅しなかったわねぇ。逆に感心しちゃう。
二人が冷静にララを分析していたが、それはこの状況なら普通はこう思うだろう、という推測でしかない。勿論悪気があるわけじゃないのも分かるけれど、やはり足りないと思ってしまうのは、女性としての性かしら。世の中の主婦の皆さんはよく我慢しているわねぇ…。
まだララちゃんがどんな性格の子で、どんなものが好きかも分からないのに、ただのデータを分析するように表面上だけで判断してほしくない。闇雲に危険視してはララちゃんが余りにも可哀想。
それにしても、私の繭に入って身体を作り直したのに声が出ないってのは気になるわねぇ。それに熱が出たことも。仮に声帯が傷んでいたとしても既に治っているはず。繭は完璧だったもの。声を出すことを恐れてる?違うわね。最初は掠れても話そうとはしていた。出せない何か精神的なものがある?
考え事をしていると、ギルミアとラヴァルの話し声で思考が中断される。
「翼があるから、守がいたニホーンとは違う世界だね」
「そう考えるのが妥当ですね」
『違う。精霊、ララ守る。ララの願い、汲み取った。』
屋敷に入れないツニートの右目が窓から覗いた。
「精霊がララちゃんを守ろうとして翼に変わったってこと?」
とギルミア。
頷くツニート。
「さすが大地から産まれた原初の種族ですね。精霊が変化した後も精霊と会話できるなんて一族一を誇る能力は伊達じゃないですね」
『守と同じ。精霊言ってる。ララ、逃げたい、守る術欲しい、思った。自由、願った。だから精霊叶えた。』
「そう。ララちゃんは守と同じ世界から来たのねぇ。」
ララちゃんはあんな状態でも攻撃の手段を欲しなかったなんて…。きっと家族に大切にされて愛されてきた子なのね。人を攻撃することを知らない、哀れで優しい子。
ララちゃんが最初に運ばれてきた時、髪はズタズタ、全身は傷がないところなんて無かったし、傷は一部膿んでいた。翼と指は有り得ない方向を向いて千切れかかっていた。身体は骨と皮で、ツニートがあと一歩遅ければ間に合わなかったかもしれない。私の繭じゃないと助からなかった。
「じゃあ、ララちゃんの願いが変われば精霊は翼から別の物に変化するのかい?」
『普通は、出来ない。変化、一回だけ。もう、ララの一部。』
「普通はってことは、ララは普通ではないということですか?」
『大地の母、ララのこと、嘆いてる。深く。これでニ度目。』
「ていうか、ツニート。そんな大事な事何で守の時に言わなかった!その話、今初めて聞いたぞ!」
『ごめんごめん。あのとき、念話、出来なかった。まだ、子供』
((あれで子供だったのか…。))
ギルミアとラヴァルの意見は計らずも一致した瞬間だった。
「他にも異世界の子って数十年から百年位の単位で来るじゃない?あの子達とは何が違うのぉ?」
『同じ。でも、ガイア起きた。ララのため。だから、違う。』
「ガイアが味方したのねぇ…。それは良かったわぁ。刺し違えたっていいわよぅ。ララちゃんが少しでも報われるなら私は応援するわぁ。
私達じゃあ、精霊もガイアの事も分からないもの。私がガイアの声なんて聞いた暁には身体が弾けとんでるわよぉ。格が違いすぎる。さすがね、ツニート。」
「弾けとぶのは私だって同じですよ。ツニートが聞けるのは巨人族がガイアから直接産まれた原初の種族だからですよ。それでガイアが味方したら、何が変わるんですか?」
とラヴァル。
『分かんない。ガイア次第。ガイアの声、聞こえるだけ。海、向かって、今どんな気持ち?聞く、同じ。』
「なるほど、的確な例えですね。ガイアの意思は我々には推し測ることは出来ませんか。せめて味方するならどんな方法を取るのか知りたかったんですがねぇ…。」
「今はララちゃんの回復が一番よぉ。あんなに大変だったのだから、気持ちが落ち着くまで皆で支えてあげなきゃいけないの分かるわよねぇ…?まさかとは思うけれど、実験台のようにいきなり質問責めにしたりしないわよねぇ…?」
そんな事したら、二人とも屋敷の屋根から吊るすわよぉ?
ラヴァルもギルミアも青い顔を勢い良く横に振る。
今までの異世界の子供達もどんな子だって我が子のように大切にしてきた。我が子があそこまで踏みにじられたのだ。これ以上辛い思いなんて必要ないし、させない。それが引退仲間だとしても容赦はしない。
アラクネ族は愛情深いのだ。
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アノーリオンの出番無し。日向ぼっこでもしてるのでしょう……。
二人が冷静にララを分析していたが、それはこの状況なら普通はこう思うだろう、という推測でしかない。勿論悪気があるわけじゃないのも分かるけれど、やはり足りないと思ってしまうのは、女性としての性かしら。世の中の主婦の皆さんはよく我慢しているわねぇ…。
まだララちゃんがどんな性格の子で、どんなものが好きかも分からないのに、ただのデータを分析するように表面上だけで判断してほしくない。闇雲に危険視してはララちゃんが余りにも可哀想。
それにしても、私の繭に入って身体を作り直したのに声が出ないってのは気になるわねぇ。それに熱が出たことも。仮に声帯が傷んでいたとしても既に治っているはず。繭は完璧だったもの。声を出すことを恐れてる?違うわね。最初は掠れても話そうとはしていた。出せない何か精神的なものがある?
考え事をしていると、ギルミアとラヴァルの話し声で思考が中断される。
「翼があるから、守がいたニホーンとは違う世界だね」
「そう考えるのが妥当ですね」
『違う。精霊、ララ守る。ララの願い、汲み取った。』
屋敷に入れないツニートの右目が窓から覗いた。
「精霊がララちゃんを守ろうとして翼に変わったってこと?」
とギルミア。
頷くツニート。
「さすが大地から産まれた原初の種族ですね。精霊が変化した後も精霊と会話できるなんて一族一を誇る能力は伊達じゃないですね」
『守と同じ。精霊言ってる。ララ、逃げたい、守る術欲しい、思った。自由、願った。だから精霊叶えた。』
「そう。ララちゃんは守と同じ世界から来たのねぇ。」
ララちゃんはあんな状態でも攻撃の手段を欲しなかったなんて…。きっと家族に大切にされて愛されてきた子なのね。人を攻撃することを知らない、哀れで優しい子。
ララちゃんが最初に運ばれてきた時、髪はズタズタ、全身は傷がないところなんて無かったし、傷は一部膿んでいた。翼と指は有り得ない方向を向いて千切れかかっていた。身体は骨と皮で、ツニートがあと一歩遅ければ間に合わなかったかもしれない。私の繭じゃないと助からなかった。
「じゃあ、ララちゃんの願いが変われば精霊は翼から別の物に変化するのかい?」
『普通は、出来ない。変化、一回だけ。もう、ララの一部。』
「普通はってことは、ララは普通ではないということですか?」
『大地の母、ララのこと、嘆いてる。深く。これでニ度目。』
「ていうか、ツニート。そんな大事な事何で守の時に言わなかった!その話、今初めて聞いたぞ!」
『ごめんごめん。あのとき、念話、出来なかった。まだ、子供』
((あれで子供だったのか…。))
ギルミアとラヴァルの意見は計らずも一致した瞬間だった。
「他にも異世界の子って数十年から百年位の単位で来るじゃない?あの子達とは何が違うのぉ?」
『同じ。でも、ガイア起きた。ララのため。だから、違う。』
「ガイアが味方したのねぇ…。それは良かったわぁ。刺し違えたっていいわよぅ。ララちゃんが少しでも報われるなら私は応援するわぁ。
私達じゃあ、精霊もガイアの事も分からないもの。私がガイアの声なんて聞いた暁には身体が弾けとんでるわよぉ。格が違いすぎる。さすがね、ツニート。」
「弾けとぶのは私だって同じですよ。ツニートが聞けるのは巨人族がガイアから直接産まれた原初の種族だからですよ。それでガイアが味方したら、何が変わるんですか?」
とラヴァル。
『分かんない。ガイア次第。ガイアの声、聞こえるだけ。海、向かって、今どんな気持ち?聞く、同じ。』
「なるほど、的確な例えですね。ガイアの意思は我々には推し測ることは出来ませんか。せめて味方するならどんな方法を取るのか知りたかったんですがねぇ…。」
「今はララちゃんの回復が一番よぉ。あんなに大変だったのだから、気持ちが落ち着くまで皆で支えてあげなきゃいけないの分かるわよねぇ…?まさかとは思うけれど、実験台のようにいきなり質問責めにしたりしないわよねぇ…?」
そんな事したら、二人とも屋敷の屋根から吊るすわよぉ?
ラヴァルもギルミアも青い顔を勢い良く横に振る。
今までの異世界の子供達もどんな子だって我が子のように大切にしてきた。我が子があそこまで踏みにじられたのだ。これ以上辛い思いなんて必要ないし、させない。それが引退仲間だとしても容赦はしない。
アラクネ族は愛情深いのだ。
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アノーリオンの出番無し。日向ぼっこでもしてるのでしょう……。
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