偽物の僕は本物にはなれない。

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あれから色々とあって、僕は彼方と遊ぶことも連絡することもやめていた。彼方からはずっと連絡がきているし僕に声を掛けようとしているけど…あの日、あれを見てから僕の心はぐちゃぐちゃのままで親友のままでいいと決めたのは僕なのに、けりをつけることさえ出来ないでいた。

だけどそれも長くは続かなくて、とうとう彼方に捕まってしまった。

「おいっ!なんで俺を避けるんだよ!」
「さ、避けてなんかっ」
「ない、なんて言わせねーぞ。頼むから…俺が納得する理由を言ってくれ」
「……」

そんなの、言える訳ないじゃん。
彼方と水無月さんが寄り添っている所を見るのが辛い。だから側にいたくないなんて。
言ったところで、何になるの?なんの取り柄もない、平凡な僕がそんな事言ったところで気持ち悪がられて終わりだよ。

だんまりを決め込む僕に痺れを切らしたのか、人が多いところで言えないと思われたのか、人気の少ない場所へと連れて行かれた。

「…なあ、俺がなんかしちゃったのか?だから、俺を避けるのか?」
「…それは、違う…けど」
「けど?」
「……水無月さんは、いいの?待ってるんじゃないの?」
「水無月?あぁ…あいつは、別に…後で連絡すればいいし。でも、今はお前…大和が大事」

…後で連絡するんだ……って、そりゃそうか。付き合ってるんだもんね。
…はぁ…僕、何してるんだろ。親友って言われて喜んでたのは僕の方で、彼方もそうだと思っているのに。突然その親友が避け始めたら、嫌な気持ちにもなるよね…。馬鹿だなぁ。

「…ごめん。だけど、本当に避けてたとかじゃなくてさ…なんか、気まずくて」
「なんで?」
「なんでって…彼方と水無月さん、付き合ってるんだろ?その邪魔しちゃ悪いじゃん」

こんな事、言わせるなよ。
自分で言ってめちゃくちゃショック受けてる。ださ。
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