そばにいてほしい。

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なんでこんなことを聞いてるんだ、ばかだなと思ったけど多分『心配だったから、幼馴染のところに行かなかったんだ』という言葉を聞きたかったんだ。

熱でぼんやりとする頭で何かを祈るように恋人を見つめれば、


「あいつは家の用事で今日はいないよ」


そうやって寂しげに笑う恋人がいて。

オレ、なんで恋人以外にこんな顔するやつと付き合ってるんだろうと思った。思って、しまった。

幼馴染って、特別な存在なのかもしれない。
オレにはそんな存在いないからわからないけど。

でも、でもさ。
恋人でもないのに優先されて。
恋人のお願いは聞いてくれないのに幼馴染のお願いはなんでも聞いてくれて。

そんなの、もう、無理じゃん。


「……しい」

「ん？なんだ？」

「くるしい……」

「ああ、そうだよな……熱、中々下がらないし、」

「お前が、幼馴染を優先するのって、なんで？」

「おまえ……？い、いつからそんな言葉遣い……」

「ねえ、恋人より優先される幼馴染って、なに？」

「優先なんか！」

「してないわけないよね。一年に一回……たった一回だけの恋人のお願いは聞いてくれないのに、ついて行きたいっていつでも遊べる幼馴染のお願いはすんなり聞くんだし」


どうでもいい説教なんて聞きたくない。
ガバリと起き上がって恋人を睨みつける。

ああ、だめだ。口が止まらない。
面倒な事を言ってるのは理解出来るのに、ストッパーが外れたようにずっと思っていたことをぶつけてしまう。


「もう、くるしいよ」

「……」

「おまえに……好きなんて、言うんじゃなかった」


抑えきれなかった涙が頬を伝った時、ハッとしたような表情の恋人に好きになるんじゃなかったと強く後悔をした。

熱がある中頭に血が上ったせいかそのままフラリとまたベッドに倒れ込んだ。


「……顔も見たくない。早く出て行って」