上 下
56 / 75
悪魔・堕天使 - Devils and Fallen angels -

ヴァレファール

しおりを挟む



 ヴァレファール


 ヴァレフォール、ウァレフォル、マレファル、マラファルなどとも。『ソロモンの小さき鍵』によれば、一〇の軍団を率いる強大な公爵であり、七十二柱の悪魔のなかで序列第六位に位置する。アレイスター・クロウリー編集の版では、ヴァラファールとされている。ヨハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』には、マラファールとして十四番目に名前がある。コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』では、三十六の軍団を率いるとも書かれている。アンドラスやヴォラックと同様に天使の姿で現れることもあるが、多数の頭のついた獅子や、ロバの頭を持つ獅子、ときにはライオンの顔にガチョウの脚、野ウサギの尾という姿もとる。魔術師のよき使い魔になると明言され、偽エノク書などのいくつかの文献においては、盗賊の悪魔とされている。過去と未来を知り、人間に才気と大胆さを与える能力を持つが、同時に人間に盗みを働かせるとも言われる。おそらく、自信過剰となった人間が、つい「魔がさして」しまい、知らず知らずのうちに、みずから盗みをしでかしてしまうのだろう。魔が差した人間の末路は悲惨なもので、盗賊として処刑台に送られることになる。十六世紀イギリスの神秘学者レジナルド・スコットは著書『妖術の暴露』において、『ソロモンの小さき鍵』の古い版を参考にしたと思われる六十九人の悪魔を紹介しているが、このなかに盗賊との関連性が強い悪魔としてヴァラファールが含まれている。咆哮する獅子の姿に盗賊の頭を持ち、さまざまな姿をとる使い魔として、召喚者が絞首刑にされるまでの間、親しく付き合ってくれる。
しおりを挟む

処理中です...