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悪魔・堕天使 - Devils and Fallen angels -

ブエル

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 ブエル


 ソロモンの七十二柱の悪魔中、序列第十位。『ソロモンの小さき鍵』によれば、五十以上の軍団を率いる地獄の偉大な総裁プレジデント(大総裁や大議長とも翻訳される)であり、太陽が人馬宮(いて座)の位置にあるときに召喚できる。哲学と道徳、自然科学、論理学、そして植物学、薬草学の効用に通じており、召喚者にそれらの知識を教えるとされる。また、人間の病気を治癒する能力を持ち、よき使い魔を授けるとも説明されている。イギリスの魔術師アレイスター・クロウリーには、喘息に悩まされる親友のアラン・ベネット(東洋魔術の達人と言われる)の治療のため、『ソロモンの小さき鍵』に基づいてブエルの召喚を試みたというエピソードがある。クロウリーの証言を信じるならば、彼はこのとき、ブエルの脚と頭部の一部を実体化することに成功したという。また、ヨハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』では七番目に名前がある。『ソロモンの小さき鍵』とほぼ同じ記述に加え、星型の記号を用いてその姿かたちが示されている。『地獄の辞典』によれば、第二階級に属するという。強烈な印象を与えるブエルのイラストは、著者のコラン・ド・プランシーが『悪魔の偽王国』の記述に基づき、「車輪状に突き出た五本脚で転がりながら歩く」と解釈し、それを受けた挿絵画家のM・L・ブルトンが「放射状の五本脚を持つ獅子の姿」として描写したもので、そう古いものではなかった。もともとは星型のヒトデのような姿をしていると考えられていたらしく、実際、偽エノク文書ではヒトデと関連づけられて解説されている。
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