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第一部 第一章 異世界転移の篇
31-2 天井裏の袋
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タクミ「うわ~!」
アカリ「どうしたの?何があるの?」
タクミの絶叫を聞いて、アカリが思わず聞き返した。
タクミ「スゲー、部屋いっぱいに何かある!なんか、デッカイ布の袋で部屋がいっぱいだ!」
アイ「じゃあ、それを持って降りてきて。」
タクミ「持っていくって、どうすんの?」
アイ「なに言ってんの。ストレージに入れてきたらいいでしょ。便利なもん、貰ってんだから…」
タクミ「分かった…でもこれ、スゲー多いよ…」
アカリ「いくらでも入るでしょ。」
女の子たちが天井を見つめていると、天井裏でゴソゴソ動く音が響く。
タクミ「うわ~!」
アイ「何度もどうした?」
タクミ「ここ、マジで蜘蛛の巣だらけだぁ~。顔まで蜘蛛の巣でいっぱいだよぉ~。」
ソラ「情けない声出すなよ……ほらほらガンバレー…」
タクミの言う袋はかなりの数あるのか、ゴソゴソいうタクミの足音だけがずっと響いて本人はなかなか降りてこない。
みんながじっと待っていると、やっとタクミの声がした。
タクミ「降りるから、身体、支えて…」
アイ「オーケー。」
アカリ「ハイ、入り口のところにいるから。」
タクミが脚をそろそろと下してくると、ズボン全体が蜘蛛の巣まみれで真っ白になっている。
アカリ「キャー、これはひどい。」
アイ「うわ~、どこも持てないしー。」
すぐに支えてもらえると思っていたタクミは支えがないので足をバタバタさせる。
タクミ「うわ~!落ちるよー。」
アイ「ハイ、持ったから…」
アカリ「うわ、こっちまで蜘蛛の巣、くっつきそうだよ……」
何とか2人に支えられてタクミが降りてくる。その姿は頭の先から足元まで、全身に蜘蛛の巣が纏わりついていた。
ルカ「わー、たいへん……」
アユミ「ちょっとひどいよ……」
ソラ「(爆笑)…タクミ、そりゃすごいよ!」
モア「キャー、キャハハハハハ、ウケるー!(笑)…」
タクミ「う~、誰か紙をちょうだい……顔全体に蜘蛛の巣が…」
タクミはもう目も開けてられないようで、灯りを手にしたまま身動きできない。
ルカ「ハイ、アカリちゃん、これ、渡してあげて……」
アカリ「タクミ、顔、拭いてあげっから…」
アカリがタクミの顔を拭って、タクミはやっと目を開いた。
タクミ「ひでえ……全身、どろどろだよ……」
アイ「(笑)…ハイ、ごくろうさま…とにかく荷物出して、それから頭、洗ってもらおう…」
ソラ「ハイハイ…お疲れ…私が念入りに洗ってやっから…」
机から降りた蜘蛛の巣まみれのタクミを先頭に、全員が小屋の外へぞろぞろ出ていく。
アイ「とりあえずこの広いとこに、まずあった荷物を出して…」
タクミは言われた通り、小屋の前の広場に荷物を出していく。
タクミが言ったようにかなり大きな袋から長い袋まで大小たくさんの布袋があり、小屋の前だけでは足りずに川原の前にまで並べないといけないほどだ。
ナオ「…こんないっぱい…何だろね……」
ナオの言葉を聞いて、アユミが思い出したように本を取り出す。
アユミ「なんか、色々書いてるみたい…」
アイ「じゃあ、一つ一つ、開けて確認しないとダメね……」
その瞬間、グゥーと誰かのお腹の鳴る音が響いた。
ソラ「…ゴメンゴメン…お腹、鳴っちゃった(笑)。」
ルカ「そういったら、今朝、朝ごはんまだだね(笑)…」
アイ「(笑)…とりあえずタクミの頭を洗ったら、朝ごはんにしよう。」
みんなは蜘蛛の巣まみれのタクミを川岸にまで連れていき、そこでタクミの頭を洗ってやろうとする。
ソラ「ハイ、とりあえずワイシャツとシャツとズボンは脱いじまいな。」
タクミ「えっ、裸になるの?…」
ソラ「服着て頭は洗えないでしょ…」
タクミ「服、どうしよう……これも洗わないと…」
アユミ「じゃあ、後で私が洗っとくから…」
アユミはそう言いながらタクミの服を預かる。
タクミ「オレ、パンツ一枚でいるの?」
アカリ「っていうか、あんた最近、基本裸でしょ…気にしなくていいんじゃない(笑)…」
タクミ「パンイチはちょっと……」
アユミ「ゴメンね…すぐに洗うから…」
ソラ「ほら、とにかくこっちへ来な。」
タクミを川べりへ引っ張ってくるとアユミがタクミの頭に『洗浄』をかけた。すると素早くソラが水を出してやる。
ソラ「ほら、頭ゴシゴシするくらい、自分でできるしょ…」
タクミ「ううう…冷たい……」
ナオ「…まあ、明るくなったけど、まだ朝だもんね……」
アカリ「学校だと1限目ぐらい……」
ナオ「…そんなもんじゃないの……」
ツグミ「タクミ君、見えないところは洗ってあげるから…」
タクミ「ああ、ゴメン…ありがとう…」
ソラ「前の方も、顔もちゃんと洗いなよ。」
ルカ「タオル、ここにあるから…」
ツグミやルカが手伝って何とか頭を洗い終わると、頭や顔を拭きながら歩くタクミと一緒に全員で小屋に戻る。
タクミ「…ううう……寒い……」
ツグミ「ハイ、毛布あるよ。」
タクミ「ありがとう…」
ソラ「頭、しっかりと拭いた?もうちょっとちゃんと拭かないとダメだよ…」
ルカ「ハイ、ちょっと止まって、頭、拭くから…」
タクミ「うううう…」
ソラ「ちょっとだけ我慢しなよ、ジタバタしないでさ…」
ルカ「ハイ、こんな感じじゃない?」
ツグミ「うん、これぐらい拭いたらいいと思う…」
アイ「ほら、急いで!ご飯にしようよ…」
全員「ハーイ!」
*
ルカやナオがパンや飲み物を出して、いつもより遅い朝食を取る。
女の子たちが丸くなって座るなか、タクミは結局パンイチに毛布を被っての食事になった。
ソラ「私、クロワッサンね…2個ちょうだい…飲み物はオレンジジュースでいいよ。」
ナオ「モアは何にする?」
モア「私もクロワッサン、2個!」
ルカ「コーヒーも紅茶もあるよ。」
モア「コーヒー!」
アカリ「私もコーヒー、ちょうだい。パンはバターロールで。」
アイ「私もバターロールでお願い。それと牛乳あるかな?」
ルカ「大丈夫…牛乳もあるよ。」
アイ「じゃあ、それで。」
それぞれがワイワイ言いながら思い思いのパンと飲み物を選ぶ。
ツグミ「タクミ君は何がいい?」
タクミ「オレはバターロールで。飲み物は紅茶を…」
ツグミ「分かった。私も紅茶をお願い。それと私のパンはブールで。」
ソラ「なんか、パンと飲み物の種類が増えただけで、豪勢な食事になった気がする(笑)。」
アカリ「家にいた時は贅沢ばっか言ってたけど…」
アユミ「ホントはハムとかソーセージとかも出るんだけど……道具が何もないから…ゴメンね…」
ソラ「そんな意味で言ったんじゃないよ…アユミ、気にしないでね…」
アカリ「ルカ、パン、もう一個ちょうだい。今朝はなんかお腹が空いてて…」
アイ「昨日、ゴブリンを追っ払ってから何も食べてなかったもんね…」
モア「そうそう…」
ルカ「後でまたパンも出しとくから、いくらでも食べてね…」
ソラ「私、今度はバターロールをいただきっ!」
全員「(笑)」
それぞれがお腹を満たすと、みんなで小屋の前に広げた袋の中身を確かめることにした。
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
2025年12月1日
文字数がかなり多いエピソードが増えてきましたので、エピソードを分割して読みやすくしていきます。
現状では文字数で機械的に分割を行っていますので、単純にページが増えているという感じでお読み下さい。
こちらもマイペースで進行いたしますので、ご容赦ください。
アカリ「どうしたの?何があるの?」
タクミの絶叫を聞いて、アカリが思わず聞き返した。
タクミ「スゲー、部屋いっぱいに何かある!なんか、デッカイ布の袋で部屋がいっぱいだ!」
アイ「じゃあ、それを持って降りてきて。」
タクミ「持っていくって、どうすんの?」
アイ「なに言ってんの。ストレージに入れてきたらいいでしょ。便利なもん、貰ってんだから…」
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アカリ「いくらでも入るでしょ。」
女の子たちが天井を見つめていると、天井裏でゴソゴソ動く音が響く。
タクミ「うわ~!」
アイ「何度もどうした?」
タクミ「ここ、マジで蜘蛛の巣だらけだぁ~。顔まで蜘蛛の巣でいっぱいだよぉ~。」
ソラ「情けない声出すなよ……ほらほらガンバレー…」
タクミの言う袋はかなりの数あるのか、ゴソゴソいうタクミの足音だけがずっと響いて本人はなかなか降りてこない。
みんながじっと待っていると、やっとタクミの声がした。
タクミ「降りるから、身体、支えて…」
アイ「オーケー。」
アカリ「ハイ、入り口のところにいるから。」
タクミが脚をそろそろと下してくると、ズボン全体が蜘蛛の巣まみれで真っ白になっている。
アカリ「キャー、これはひどい。」
アイ「うわ~、どこも持てないしー。」
すぐに支えてもらえると思っていたタクミは支えがないので足をバタバタさせる。
タクミ「うわ~!落ちるよー。」
アイ「ハイ、持ったから…」
アカリ「うわ、こっちまで蜘蛛の巣、くっつきそうだよ……」
何とか2人に支えられてタクミが降りてくる。その姿は頭の先から足元まで、全身に蜘蛛の巣が纏わりついていた。
ルカ「わー、たいへん……」
アユミ「ちょっとひどいよ……」
ソラ「(爆笑)…タクミ、そりゃすごいよ!」
モア「キャー、キャハハハハハ、ウケるー!(笑)…」
タクミ「う~、誰か紙をちょうだい……顔全体に蜘蛛の巣が…」
タクミはもう目も開けてられないようで、灯りを手にしたまま身動きできない。
ルカ「ハイ、アカリちゃん、これ、渡してあげて……」
アカリ「タクミ、顔、拭いてあげっから…」
アカリがタクミの顔を拭って、タクミはやっと目を開いた。
タクミ「ひでえ……全身、どろどろだよ……」
アイ「(笑)…ハイ、ごくろうさま…とにかく荷物出して、それから頭、洗ってもらおう…」
ソラ「ハイハイ…お疲れ…私が念入りに洗ってやっから…」
机から降りた蜘蛛の巣まみれのタクミを先頭に、全員が小屋の外へぞろぞろ出ていく。
アイ「とりあえずこの広いとこに、まずあった荷物を出して…」
タクミは言われた通り、小屋の前の広場に荷物を出していく。
タクミが言ったようにかなり大きな袋から長い袋まで大小たくさんの布袋があり、小屋の前だけでは足りずに川原の前にまで並べないといけないほどだ。
ナオ「…こんないっぱい…何だろね……」
ナオの言葉を聞いて、アユミが思い出したように本を取り出す。
アユミ「なんか、色々書いてるみたい…」
アイ「じゃあ、一つ一つ、開けて確認しないとダメね……」
その瞬間、グゥーと誰かのお腹の鳴る音が響いた。
ソラ「…ゴメンゴメン…お腹、鳴っちゃった(笑)。」
ルカ「そういったら、今朝、朝ごはんまだだね(笑)…」
アイ「(笑)…とりあえずタクミの頭を洗ったら、朝ごはんにしよう。」
みんなは蜘蛛の巣まみれのタクミを川岸にまで連れていき、そこでタクミの頭を洗ってやろうとする。
ソラ「ハイ、とりあえずワイシャツとシャツとズボンは脱いじまいな。」
タクミ「えっ、裸になるの?…」
ソラ「服着て頭は洗えないでしょ…」
タクミ「服、どうしよう……これも洗わないと…」
アユミ「じゃあ、後で私が洗っとくから…」
アユミはそう言いながらタクミの服を預かる。
タクミ「オレ、パンツ一枚でいるの?」
アカリ「っていうか、あんた最近、基本裸でしょ…気にしなくていいんじゃない(笑)…」
タクミ「パンイチはちょっと……」
アユミ「ゴメンね…すぐに洗うから…」
ソラ「ほら、とにかくこっちへ来な。」
タクミを川べりへ引っ張ってくるとアユミがタクミの頭に『洗浄』をかけた。すると素早くソラが水を出してやる。
ソラ「ほら、頭ゴシゴシするくらい、自分でできるしょ…」
タクミ「ううう…冷たい……」
ナオ「…まあ、明るくなったけど、まだ朝だもんね……」
アカリ「学校だと1限目ぐらい……」
ナオ「…そんなもんじゃないの……」
ツグミ「タクミ君、見えないところは洗ってあげるから…」
タクミ「ああ、ゴメン…ありがとう…」
ソラ「前の方も、顔もちゃんと洗いなよ。」
ルカ「タオル、ここにあるから…」
ツグミやルカが手伝って何とか頭を洗い終わると、頭や顔を拭きながら歩くタクミと一緒に全員で小屋に戻る。
タクミ「…ううう……寒い……」
ツグミ「ハイ、毛布あるよ。」
タクミ「ありがとう…」
ソラ「頭、しっかりと拭いた?もうちょっとちゃんと拭かないとダメだよ…」
ルカ「ハイ、ちょっと止まって、頭、拭くから…」
タクミ「うううう…」
ソラ「ちょっとだけ我慢しなよ、ジタバタしないでさ…」
ルカ「ハイ、こんな感じじゃない?」
ツグミ「うん、これぐらい拭いたらいいと思う…」
アイ「ほら、急いで!ご飯にしようよ…」
全員「ハーイ!」
*
ルカやナオがパンや飲み物を出して、いつもより遅い朝食を取る。
女の子たちが丸くなって座るなか、タクミは結局パンイチに毛布を被っての食事になった。
ソラ「私、クロワッサンね…2個ちょうだい…飲み物はオレンジジュースでいいよ。」
ナオ「モアは何にする?」
モア「私もクロワッサン、2個!」
ルカ「コーヒーも紅茶もあるよ。」
モア「コーヒー!」
アカリ「私もコーヒー、ちょうだい。パンはバターロールで。」
アイ「私もバターロールでお願い。それと牛乳あるかな?」
ルカ「大丈夫…牛乳もあるよ。」
アイ「じゃあ、それで。」
それぞれがワイワイ言いながら思い思いのパンと飲み物を選ぶ。
ツグミ「タクミ君は何がいい?」
タクミ「オレはバターロールで。飲み物は紅茶を…」
ツグミ「分かった。私も紅茶をお願い。それと私のパンはブールで。」
ソラ「なんか、パンと飲み物の種類が増えただけで、豪勢な食事になった気がする(笑)。」
アカリ「家にいた時は贅沢ばっか言ってたけど…」
アユミ「ホントはハムとかソーセージとかも出るんだけど……道具が何もないから…ゴメンね…」
ソラ「そんな意味で言ったんじゃないよ…アユミ、気にしないでね…」
アカリ「ルカ、パン、もう一個ちょうだい。今朝はなんかお腹が空いてて…」
アイ「昨日、ゴブリンを追っ払ってから何も食べてなかったもんね…」
モア「そうそう…」
ルカ「後でまたパンも出しとくから、いくらでも食べてね…」
ソラ「私、今度はバターロールをいただきっ!」
全員「(笑)」
それぞれがお腹を満たすと、みんなで小屋の前に広げた袋の中身を確かめることにした。
*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。
2025年12月1日
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