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第一部 第一章 異世界転移の篇

34-1 出発の準備

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 久しぶりにパンと飲み物だけでない食事をして全員が満足をした夕食の後、き火を囲んでアイがこれからのことを切り出す。

アイ「これだけ能力もついてきて、道具もそろったけど…しばらくここで過ごす方がいいのかなあ?…」
ソラ「テントと寝袋があるって言っても、やっぱり屋根のある所で過ごす方が安全じゃないの? 
 ここってそれほど危険じゃないと思うけど…」
ルカ「でも、昨日の夜みたいにまた何かが襲ってきたらどうしよう?…」
アカリ「テントよりも小屋の方が安全みたいに感じるなー…」

 ツグミが珍しく手を挙げて何かを話そうとして、全員が彼女に注目する。

ツグミ「あのね…私とナオに『地図』っていう能力があるんだけど、今、私の方がレベルが高くて…
 で、この力って辺りの様子が分かるんだけど…あの、川に沿って山を下っていく方はよく見えていて、ずっと山を下るまで森が続いていて、山から下りてもしばらくずっと森なの…
 で、その森を抜けると草原になってるところまで分かるの…」
アイ「じゃあ、もしここを出たらずっと森を抜けていかないとダメなのね。」
ツグミ「そう。」

ソラ「草原の向こうはまだ見えないんだ…」
ツグミ「うん、森の出口までしか分からないの…
 でも、この小屋の裏からすぐに山になってるでしょ。この山のことは『地図』でも全然分からないの…」
アユミ「何にも見えないってこと?」
ツグミ「そう、もう小屋の裏から真っ白なままなの。だから…私はこの山はちょっと危険かもしれないって思うの…」

 ツグミの言葉を聞いて、みんな振り返って山の方を見る。山は暗くなってきて、風が木々をさぶってガサガサと音がしている。

ナオ「そう言えば、昨日のゴブリンも全部山の方へ戻っていったもんね…」
アカリ「今度は別の魔獣まじゅうが襲ってくるかもしれない、ってことね……」
ツグミ「ごめんなさい…ちゃんとしたこと、分からなくて…」

 真面目なツグミは本当に申し訳なさそうに頭を下げた。
 ツグミのそんな様子を見て、アユミとナオがすぐにその背中や肩をさする。

アイ「あやまることじゃないよ…言ってくれてありがたいよ…」
ナオ「でも、明日出発は無理として…いつ、ここを離れるか、だね…」
アユミ「ここを離れるとして、一番大事なのはやっぱり食べ物と飲み物のことだよ…
 今までもけっこうたくさん食べ物と飲み物をめるようにしているけど、やっぱり9人分ってかなりの量だから…」
アカリ「一食でそれだけ消費するってことだもんね…」

アユミ「それに、もし昨日の夜のような戦いがあったらその日は疲れて食べ物も飲み物も出せなくなるかもしれないし…」
ナオ「つまり、それだけの分の食べ物と飲み物を貯めておかないとダメってことね…」
ルカ「一週間とか10日としても、けっこうな量になるね…」
アイ「それだけの準備をしておかないといけないってことだね…」

 ここ何日か、何となく食べていたものについて改めて誰もが真剣に考え始める。

アカリ「食べ物と飲み物だけじゃなくて、焚き木だって集めておかないと…森から出たらなかなか集められないと思うし…」
モア「毎日食べたり、飲んだりしている分以外で10日分でしょ?大変だよね…」
ソラ「とても明日出発なんて言えない…」
アカリ「途中にコンビニがあるわけじゃないから…」
タクミ「う~ん、意外とヤバい…」

アイ「じゃあ、もう4,5日準備にてて、その状態を見て準備が出来てるようなら出発ってことでどうかな?」
アユミ「4,5日後に一度確認してから、ってことね。」
アイ「そう、絶対にその日に出発じゃなくて、ちゃんと準備出来てるか確かめてから…」
ナオ「引き伸ばし過ぎて、別の獣に襲われてもいけないしね…」

 ゴブリンが現れたこと、武器や道具を手に入れたことで全員にこれから起こるかもしれないことが具体的に感じられるようになった。
 それと同時に、自分たちが知らないことがたくさんあることも実感される。

アカリ「人里までどれぐらいあるのかな?…」
ルカ「そういうことがわからないのが難しいよね…」
ナオ「でも、私たちにこうした能力とか魔法があるってことは、私たち以外にもそういう能力を使う人がいるはずだから、そんな何十日歩いても誰にも会えないってことはないと思う。」

アイ「まあ、誰かが私たちをこの世界に呼んだわけだから、誰か人がいて何かが起こっているということだろうから…」
アユミ「でも、結局わからないことだらけだから、進みながら考えようよ。
 食べ物とかが足りなそうなら何日かそこにとどまって食べ物と飲み物を貯めればいいし…」
アカリ「焚き木も森の中にいる間にひろおうよ。」
ナオ「臨機応変りんきおうへんにするしかないよね…」

 いつの間にかモアが目をつぶってルカに寄りかかっている。

ルカ「そろそろ寝ないとダメみたい(笑)…」
ソラ「…で、明日からSEXはありだよね(笑)…」
タクミ「えっ?…」
アイ「え~、準備が遅れるんじゃない?」
アカリ「まあ、タクミとほか2人がいなくてもまだ6人いるから、大丈夫じゃないかな(笑)…」
アユミ「してない間にサボらなかったらね。」
ソラ「大丈夫、ちゃんと働くから!」

 ソラはアイに向かって手を合わせてお願いのポーズを取る。

アイ「確かに聞いたからね…」
ルカ「そんなにしたいんだ(笑)…」

 ルカだけでなく、アユミやツグミもクスクス笑う。

ソラ「私だけじゃないしょ(笑)…こちらのアカリさんだって…」
アカリ「え~、モアやナオもいるでしょ!(笑)」
モア「タクミだってヤリたいでしょ?」
タクミ「いや~、オレは…」
ソラ「そんなわけないじゃん!こいつが一番ヤリたがってるし…」
タクミ「イヤイヤ…」

ナオ「まあまあ、したい人もいるわけだし(笑)…
 それにこうなってくるとタクミとヤって、レベルアップしておくのも重要だよ。」
アイ「何が起こるか分からないから…だよね…」
ソラ「じゃあ、今日はもう寝よう!明日だよ、明日…」
アカリ「ヤル気満々すぎるっての(笑)。」
全員「(笑)」








*楽しんでくださった方や今後が気になるという方は、「いいね」や「お気に入り」をいただければ励みになります。
 また、面白かったところや気になったところなどの感想もいただければ幸いです。よろしくお願いします。

 2025年10月9日。
 読みやすさ改善のため、文章を大幅に変更しました。
 一部の語句や文章の修正も行っていますが、内容は変更していません。
 今後も文章の改変を随時行っていきます。ゆっくりマイペースで行いますので、どうかご理解下さい。

 2025年12月5日
 文字数がかなり多いエピソードが増えてきましたので、エピソードを分割して読みやすくしていきます。
 現状では文字数で機械的に分割を行っていますので、単純にページが増えているという感じでお読み下さい。
 こちらもマイペースで進行いたしますので、ご容赦ください。
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