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真那の成長。
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俺が深田家に立ち寄ると、真那は空と手を繋いで寝ていた。
周りにはおもちゃが散乱していて、遊び疲れて寝てしまったような光景だ。
「てっきり泣いてると思ったのに・・・。」
那智にどうやって真那のことを伝えようかと考えていた俺。
そんな心配はいらなかったようだ。
「那智さんどうだった?」
マグカップをテーブルに置いた雪華さんは、俺に座るようテーブルを指した。
言われるがままに椅子に座ると、俺の前にそのマグカップが差し出された。
マグカップには溢れんばかりのコーヒーが入ってる。
「熱はまだ高いです。点滴はたぶん、明日の朝まで続きそうですね。あ、目は覚ましましたよ?受け答えもしっかりしてましたので、大丈夫そうです。」
「よかったー。・・・あ、真那ちゃんは大丈夫だからね?泣くこともあるだろうけど、そこは『お泊り会気分で楽しそうに過ごしてる』って伝えて?全部終わってから本当のことを言えばいいんだから。」
「わかってますよ。」
零さないようにマグカップに口をつけ、一口飲んだ。
そのとき、雄大さんが戻ってきて・・・
「あぁ、長谷川、お疲れ。」
「お疲れさまです。」
「どうだった?三井さん。」
「目は覚めました。真那のことをすごく気にしていましたけど・・・」
俺はここで那智の態度が少し変わったことを伝えた。
俺に対してだけかもしれないけど、言葉遣いが変わったことを。
「その調子で少しずつ甘えてくれたらいいんだけどな。なんでも一人で対応するのは無理なときがあるだろうし。」
「そうですね・・・。」
普段の生活くらいなら大丈夫だろうけど、今回のようなことが起こればだれかを頼らないといけなくなる。
こんな場面は、これからも出てくるだろう。
「とりあえず、三井さんが無事でよかったな。」
「はい。・・・あ、真那のことお願いします。俺じゃできないことのほうが多いと思いますし・・・。」
俺が住んでる家で真那を預かることもできた。
でも、子供用のものなんて何一つないし、仕事にいくあいだをどうするかで結局困ることになる。
署に連れていくのもアリだけど、真那のことを何も知らない俺がちゃんとみれるかどうかも不安だった。
「いいのよー?子供は子供の中のほうが安心すると思うし、私はカフェに連れていけるしね。」
「助かります。」
「このあいだに、長谷川さんが那智さんとの距離を縮めるのもアリだしね?」
「---っ。・・・努力します。」
こうして真那は深田家に預けられることになった。
那智はというと、疲れが溜まっていたようで3日間入院することが決まり、そのあいだは真那が寂しがらないように周りの大人が頑張った。
真那は陸・海・空のおさがりの服を着て、三人と同じ生活を送ってる。
ママを思い出しては泣くけれど、空たちが慰め、一緒に遊んでくれていた。
そして俺は・・・
「もうすっかり元気になったみたいだな、那智。」
退院する日に交通手段がない那智を迎えに行くと、ベッドに腰かけながらいつもと変わらない笑顔を俺に見せていた。
このまま雪華さんのカフェに寄り、真那も迎えに行く予定だ。
「ご迷惑をおかけしました。おかげさまで元気になりました。」
頭を下げる那智に驚いていると、那智は口に手をあてて笑い始めた。
「ふふ、いろいろ助けてくれて本当にありがとう、圭吾さん。」
「・・・どういたしまして、これも仕事だしな。」
そう言うと、那智は少し考え込むようにして床を見つめ、そのまま小さな声で話しはじめた。
「・・・こんなとき、夫がいるとよかったなって思っちゃうね。」
「え?」
「そしたら真那を一人にすることはないし、誰かに迷惑をかけることもないでしょう?もう結婚する気はないけど・・・ちょっと考えちゃった。」
「那智・・・。」
ここで『俺が』と言えたらどんなにいいだろうと思ってしまう。
俺は、真那の父親になる覚悟はある。
二人を守っていく覚悟だってある。
でも、それは俺の想いなだけであって、那智や真那の想いは違うのだ。
「あ、でもデザイナーさんが来るときに倒れなくてよかったって思ってるの!あと数か月もしないうちに、うちに来てくれるでしょう?たくさんお話したいことあるし、元気になれてよかったと思ってる。」
「・・・そうだな。」
前向きなところはいいけど、また無理をしそうな気がした俺。
身体が悲鳴を上げる前に休むことが大切だと伝えようとしたとき、那智は俺の目を見た。
そして・・・
「助けに来てくれて・・・本当にありがとう。」
「----っ。」
笑顔でそう言った那智を見て、俺の胸が締まった。
『一生大切にするから、俺と結婚してほしい』と心の底から思ったのだ。
その言葉は口からは出せず、早くなる鼓動を落ち着かせるのに合わせて胸の奥深くにしまう。
「デザイナーさんが来るときは、俺も手伝うよ。限られた時間で、たくさん話したいだろ?」
「!!・・・ありがとうっ。」
那智は退院の手続きを済ませ、俺と一緒に車に乗った。
そして雪華さんのカフェに立ち寄り、真那と再会。
真那は那智を見るなり泣き始め、那智も一緒になって泣いていた。
そして雪華さんに何度もお礼を言い、那智は真那と一緒に家に帰ったのだった。
その1週間後・・・
「本当にお世話になりました。これ、お礼として受け取ってください!」
私、那智は雪華さん一家にお世話になったことから、お礼として家族5人分の服を持って行った。
全員お揃いの、トレーナーだ。
「えぇぇ!?こんなことしなくていいのよ!?」
驚いた雪華さんはトレーナーを見て、目を輝かせていた。
言葉とは反対に、『ありがとう!!』があふれ出てる。
「真那に服も貸していただいて・・・」
「あれは空たちのお古だから!」
「私、服を縫うことくらいしかできないので、よかったら・・・もらって?雪華さん。」
「!!」
話し方を変えると、雪華さんは私の体をぎゅっと抱きしめた。
「もうっ、余所余所しいのは終わりだからね!?こんなお礼なんかも今日で最後っ。いい?」
「!!・・・ふふ、ありがとう、雪華さん。」
雪華さんはトレーナーを早速三つ子ちゃんたちに着せて行った。
正確な寸法はわからないけど、大きくなることは間違いないことから少し大きめに作ってある。
「きゃー!かわいいっ!那智さんありがとう!」
「いえ、こちらこそ。」
三つ子ちゃんたちに着替えさせたあと、雪華さんもトレーナーを着てくれた。
彼女のサイズはだいたいわかっていたことから、ぴったりだ。
「・・・ほんと雪華さんってスタイルいいですよね。羨ましい・・。」
出るところは出て、くびれもしっかりある雪華さん。
肩回りは華奢で、女性ならあこがれる人が多そうだ。
「そう?立ってることが多いからじゃない?」
「いやー・・・それでもスタイルいいですよ。」
そんな話をしていると、裏口から深田さんが入ってきた。
今日はお休みのようで、ラフな私服姿だ。
「あれ?三井さん?」
「こんにちは。先日はありがとうございました。お礼を持ってきたので、よかったら使ってください。」
そう言うと雪華さんは深田さんにトレーナーを差し出した。
「那智さんが作ってくれたんだって!雄大さんも着てみて!?」
「お・・おぉ、わかった。」
雪華さんの圧に負けたかのように、深田さんは上着を一枚脱いだ。
秋の入り口だからか、上着の下は紺のタンクトップ一枚だ。
「わぁぁ・・・すごい筋肉・・・。」
鍛えているからか、たくましかった深田さんの体。
思わずこぼしてしまった私の言葉に、深田さんは不適の笑みを浮かべる。
「俺より長谷川のほうがすごいよ?」
「へっ・・・?」
「背も俺よりあるし、毎日トレーニングは欠かさない。あいつの手、ごつごつしてなかった?」
そう言われ、私はふと圭吾さんの手を思い返した。
真那を抱くときの手や、ご飯を食べるときの手が、たしかに大きくて逞しかったことを思い出したのだ。
「----っ!」
「ははっ。・・・三井さんはさ、『もう再婚はしない』んだっけ?」
「?・・・はい、そのつもりですが・・・・?」
深田さんは、私が作ったトレーナーを着ながら少し寂しそうな笑みを浮かべた。
「三井さんはそのつもりでも、そう思ってない周りもいるんじゃないかな?」
「?・・・それってどういう・・・」
「キミを幸せにしたいと思ってる人が、周りにいるかもしれないってこと。それは前の旦那さんかもしれないし、家族かもしれない。」
「そう・・・なんですかね?」
「ま、自分の気持ちを貫き通すのもいいかもしれないけど、もしかしたらほかにも道があるかもしれないよ?」
その言葉に、私は考えた。
(あの人が再婚を望むとは考えられないんだけど・・・私の家族も私の人生にはノータッチだし・・・。)
深田さんの意図がわからずに悩んでいると、今度はカフェの正面玄関から圭吾さんが入ってきた。
すかさず真那が反応し、圭吾さんに駆け寄っていく。
「けーたん!」
「お?真那、ここにいたのか?」
「うんっ!ママといっしょに、そらくんのママにありがとういいにきた!」
「偉いな。」
真那をひょいと抱き上げた圭吾さん。
すると真那が・・・
「あ、けーたんにもぷれぜんとある!」
「プレゼント?」
『いったい何の話?』と言いたげな圭吾さんに、私は三つ子ちゃんたちに視線を送った。
「この前お世話になったお礼に、トレーナーを作ったの、5人お揃いで。圭吾さんのぶんも作ったから・・・もらってくれる?」
そう聞くと、圭吾さんはぽかんと口を開けていた。
「ちょ・・・無理するなって医者にも俺にも言われただろう・・?」
「無理はしてないよ!縫うのは好きだし・・・。あの日、風邪を引いたのは本当に久しぶりだったから休むタイミングを間違えちゃって・・・」
そう言って言い訳をしていると、真那が外を指さした。
「けーたんの、おうちにある!かえろっ!」
真那が帰ると言い出したことから、私は雪華さんと深田さんにもう一度お礼を言い、カフェをあとにした。
車で来ていた圭吾さんに乗せてもらい、自宅に向かう。
「送ってもらって本当にごめんね。」
「いいって。真那がいうには『俺にプレゼントがある』らしいし?」
「~~~~っ。」
「楽しみにしてる。」
こうしてネタバレのお礼になってしまった私だけど、まさかこのあとあんなことになるなんて、このときの私は思っても見ないのだった。
周りにはおもちゃが散乱していて、遊び疲れて寝てしまったような光景だ。
「てっきり泣いてると思ったのに・・・。」
那智にどうやって真那のことを伝えようかと考えていた俺。
そんな心配はいらなかったようだ。
「那智さんどうだった?」
マグカップをテーブルに置いた雪華さんは、俺に座るようテーブルを指した。
言われるがままに椅子に座ると、俺の前にそのマグカップが差し出された。
マグカップには溢れんばかりのコーヒーが入ってる。
「熱はまだ高いです。点滴はたぶん、明日の朝まで続きそうですね。あ、目は覚ましましたよ?受け答えもしっかりしてましたので、大丈夫そうです。」
「よかったー。・・・あ、真那ちゃんは大丈夫だからね?泣くこともあるだろうけど、そこは『お泊り会気分で楽しそうに過ごしてる』って伝えて?全部終わってから本当のことを言えばいいんだから。」
「わかってますよ。」
零さないようにマグカップに口をつけ、一口飲んだ。
そのとき、雄大さんが戻ってきて・・・
「あぁ、長谷川、お疲れ。」
「お疲れさまです。」
「どうだった?三井さん。」
「目は覚めました。真那のことをすごく気にしていましたけど・・・」
俺はここで那智の態度が少し変わったことを伝えた。
俺に対してだけかもしれないけど、言葉遣いが変わったことを。
「その調子で少しずつ甘えてくれたらいいんだけどな。なんでも一人で対応するのは無理なときがあるだろうし。」
「そうですね・・・。」
普段の生活くらいなら大丈夫だろうけど、今回のようなことが起こればだれかを頼らないといけなくなる。
こんな場面は、これからも出てくるだろう。
「とりあえず、三井さんが無事でよかったな。」
「はい。・・・あ、真那のことお願いします。俺じゃできないことのほうが多いと思いますし・・・。」
俺が住んでる家で真那を預かることもできた。
でも、子供用のものなんて何一つないし、仕事にいくあいだをどうするかで結局困ることになる。
署に連れていくのもアリだけど、真那のことを何も知らない俺がちゃんとみれるかどうかも不安だった。
「いいのよー?子供は子供の中のほうが安心すると思うし、私はカフェに連れていけるしね。」
「助かります。」
「このあいだに、長谷川さんが那智さんとの距離を縮めるのもアリだしね?」
「---っ。・・・努力します。」
こうして真那は深田家に預けられることになった。
那智はというと、疲れが溜まっていたようで3日間入院することが決まり、そのあいだは真那が寂しがらないように周りの大人が頑張った。
真那は陸・海・空のおさがりの服を着て、三人と同じ生活を送ってる。
ママを思い出しては泣くけれど、空たちが慰め、一緒に遊んでくれていた。
そして俺は・・・
「もうすっかり元気になったみたいだな、那智。」
退院する日に交通手段がない那智を迎えに行くと、ベッドに腰かけながらいつもと変わらない笑顔を俺に見せていた。
このまま雪華さんのカフェに寄り、真那も迎えに行く予定だ。
「ご迷惑をおかけしました。おかげさまで元気になりました。」
頭を下げる那智に驚いていると、那智は口に手をあてて笑い始めた。
「ふふ、いろいろ助けてくれて本当にありがとう、圭吾さん。」
「・・・どういたしまして、これも仕事だしな。」
そう言うと、那智は少し考え込むようにして床を見つめ、そのまま小さな声で話しはじめた。
「・・・こんなとき、夫がいるとよかったなって思っちゃうね。」
「え?」
「そしたら真那を一人にすることはないし、誰かに迷惑をかけることもないでしょう?もう結婚する気はないけど・・・ちょっと考えちゃった。」
「那智・・・。」
ここで『俺が』と言えたらどんなにいいだろうと思ってしまう。
俺は、真那の父親になる覚悟はある。
二人を守っていく覚悟だってある。
でも、それは俺の想いなだけであって、那智や真那の想いは違うのだ。
「あ、でもデザイナーさんが来るときに倒れなくてよかったって思ってるの!あと数か月もしないうちに、うちに来てくれるでしょう?たくさんお話したいことあるし、元気になれてよかったと思ってる。」
「・・・そうだな。」
前向きなところはいいけど、また無理をしそうな気がした俺。
身体が悲鳴を上げる前に休むことが大切だと伝えようとしたとき、那智は俺の目を見た。
そして・・・
「助けに来てくれて・・・本当にありがとう。」
「----っ。」
笑顔でそう言った那智を見て、俺の胸が締まった。
『一生大切にするから、俺と結婚してほしい』と心の底から思ったのだ。
その言葉は口からは出せず、早くなる鼓動を落ち着かせるのに合わせて胸の奥深くにしまう。
「デザイナーさんが来るときは、俺も手伝うよ。限られた時間で、たくさん話したいだろ?」
「!!・・・ありがとうっ。」
那智は退院の手続きを済ませ、俺と一緒に車に乗った。
そして雪華さんのカフェに立ち寄り、真那と再会。
真那は那智を見るなり泣き始め、那智も一緒になって泣いていた。
そして雪華さんに何度もお礼を言い、那智は真那と一緒に家に帰ったのだった。
その1週間後・・・
「本当にお世話になりました。これ、お礼として受け取ってください!」
私、那智は雪華さん一家にお世話になったことから、お礼として家族5人分の服を持って行った。
全員お揃いの、トレーナーだ。
「えぇぇ!?こんなことしなくていいのよ!?」
驚いた雪華さんはトレーナーを見て、目を輝かせていた。
言葉とは反対に、『ありがとう!!』があふれ出てる。
「真那に服も貸していただいて・・・」
「あれは空たちのお古だから!」
「私、服を縫うことくらいしかできないので、よかったら・・・もらって?雪華さん。」
「!!」
話し方を変えると、雪華さんは私の体をぎゅっと抱きしめた。
「もうっ、余所余所しいのは終わりだからね!?こんなお礼なんかも今日で最後っ。いい?」
「!!・・・ふふ、ありがとう、雪華さん。」
雪華さんはトレーナーを早速三つ子ちゃんたちに着せて行った。
正確な寸法はわからないけど、大きくなることは間違いないことから少し大きめに作ってある。
「きゃー!かわいいっ!那智さんありがとう!」
「いえ、こちらこそ。」
三つ子ちゃんたちに着替えさせたあと、雪華さんもトレーナーを着てくれた。
彼女のサイズはだいたいわかっていたことから、ぴったりだ。
「・・・ほんと雪華さんってスタイルいいですよね。羨ましい・・。」
出るところは出て、くびれもしっかりある雪華さん。
肩回りは華奢で、女性ならあこがれる人が多そうだ。
「そう?立ってることが多いからじゃない?」
「いやー・・・それでもスタイルいいですよ。」
そんな話をしていると、裏口から深田さんが入ってきた。
今日はお休みのようで、ラフな私服姿だ。
「あれ?三井さん?」
「こんにちは。先日はありがとうございました。お礼を持ってきたので、よかったら使ってください。」
そう言うと雪華さんは深田さんにトレーナーを差し出した。
「那智さんが作ってくれたんだって!雄大さんも着てみて!?」
「お・・おぉ、わかった。」
雪華さんの圧に負けたかのように、深田さんは上着を一枚脱いだ。
秋の入り口だからか、上着の下は紺のタンクトップ一枚だ。
「わぁぁ・・・すごい筋肉・・・。」
鍛えているからか、たくましかった深田さんの体。
思わずこぼしてしまった私の言葉に、深田さんは不適の笑みを浮かべる。
「俺より長谷川のほうがすごいよ?」
「へっ・・・?」
「背も俺よりあるし、毎日トレーニングは欠かさない。あいつの手、ごつごつしてなかった?」
そう言われ、私はふと圭吾さんの手を思い返した。
真那を抱くときの手や、ご飯を食べるときの手が、たしかに大きくて逞しかったことを思い出したのだ。
「----っ!」
「ははっ。・・・三井さんはさ、『もう再婚はしない』んだっけ?」
「?・・・はい、そのつもりですが・・・・?」
深田さんは、私が作ったトレーナーを着ながら少し寂しそうな笑みを浮かべた。
「三井さんはそのつもりでも、そう思ってない周りもいるんじゃないかな?」
「?・・・それってどういう・・・」
「キミを幸せにしたいと思ってる人が、周りにいるかもしれないってこと。それは前の旦那さんかもしれないし、家族かもしれない。」
「そう・・・なんですかね?」
「ま、自分の気持ちを貫き通すのもいいかもしれないけど、もしかしたらほかにも道があるかもしれないよ?」
その言葉に、私は考えた。
(あの人が再婚を望むとは考えられないんだけど・・・私の家族も私の人生にはノータッチだし・・・。)
深田さんの意図がわからずに悩んでいると、今度はカフェの正面玄関から圭吾さんが入ってきた。
すかさず真那が反応し、圭吾さんに駆け寄っていく。
「けーたん!」
「お?真那、ここにいたのか?」
「うんっ!ママといっしょに、そらくんのママにありがとういいにきた!」
「偉いな。」
真那をひょいと抱き上げた圭吾さん。
すると真那が・・・
「あ、けーたんにもぷれぜんとある!」
「プレゼント?」
『いったい何の話?』と言いたげな圭吾さんに、私は三つ子ちゃんたちに視線を送った。
「この前お世話になったお礼に、トレーナーを作ったの、5人お揃いで。圭吾さんのぶんも作ったから・・・もらってくれる?」
そう聞くと、圭吾さんはぽかんと口を開けていた。
「ちょ・・・無理するなって医者にも俺にも言われただろう・・?」
「無理はしてないよ!縫うのは好きだし・・・。あの日、風邪を引いたのは本当に久しぶりだったから休むタイミングを間違えちゃって・・・」
そう言って言い訳をしていると、真那が外を指さした。
「けーたんの、おうちにある!かえろっ!」
真那が帰ると言い出したことから、私は雪華さんと深田さんにもう一度お礼を言い、カフェをあとにした。
車で来ていた圭吾さんに乗せてもらい、自宅に向かう。
「送ってもらって本当にごめんね。」
「いいって。真那がいうには『俺にプレゼントがある』らしいし?」
「~~~~っ。」
「楽しみにしてる。」
こうしてネタバレのお礼になってしまった私だけど、まさかこのあとあんなことになるなんて、このときの私は思っても見ないのだった。
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