再婚相手は溺愛消防士!?二度と結婚しないと決めてたのに、どうしてこんなことに!

すずなり。

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一泊二日。

「すっ・・・すみません・・!ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど・・・!」

消防署についた私は、事務の人に声をかけた。
圭吾さんや深田さんに聞いてもいいのだけれど、二人じゃなくても聞ける内容なのだ。

「はい、どうしました?」
「あのっ・・・このあたりで荷物を送れるところってどこかありますか!?」

この町に集荷してくれるところがないことを知っていた私は、この周辺の町ならあると思ったのだ。
最悪、大きい街まで出れば送ることは可能だろうけど、着物が入った荷物を持ってバスに乗るのは、あまりいい方法と思えなかった。

「荷物?三井さんのとこは集荷の業者が来るんじゃ・・・・」
「ちょっとその集荷の周期が合わなくて・・・っ・・!」
「あー・・・、でもないですよ?大きな街まで行かないと、集荷してる店はないと思います。」
「えっ・・・。」
「このあたりはコンビニもないですし、この先もコンビニはないですからねぇ・・・。」

その言葉に、私はがっくりと肩を落とした。
『大きい街まで行く』という選択肢が、最有力候補になりそうなのだ。

「どうしよう・・・今から電話をして柚香さんに日にちを決めてもらう?・・・ううん、そんなことして急がせるのは申し訳ないし・・・。」

困った私は、今自分にできることを先にしようと思い、真那の手を引いた。
事務の人にお礼を言い、消防署を出る。
そのとき・・・

「あれ?那智?どうした?」

ちょうど外から帰ってきた圭吾さんと深田さんに出くわしてしまったのだ。

「あ、ちょっと事務の人に聞きたい事があって・・・。」
「聞きたいこと?」
「この近くの町に配送手続きができるところがないかなと・・・。」

私は柚香さんとのやりとりを圭吾さんに話した。
彼は考え込むような仕草を見せたあと、『ちょっと調べてみるから帰りに寄る』と言って仕事に戻ったのだ。
その言葉を期待しつつも、できることを先にする考えは変わらない。

「真那、ちょっとママ忙しくなるからいい子でいてね?」
「?・・・あーい。」
「このお仕事が終わったら、おっきい公園に連れて行ってあげるからね。」
「!!・・・あい!」

真那と約束事を交わして家に帰った私は、圭吾さんを待ちながら着物を仕上げていく。
用意しておいた桐の箱に園田さんの着物を入れ、柚香さんの着物の仕上げにかかった。
するとそのとき、玄関の扉が開いて圭吾さんの声が聞こえてきたのだ。

「那智ー?仕事ー?」
「あっ・・・!すぐ下に行くーっ!」

針を置いた私が1階に行くと、いつもの場所で寝てしまっている真那に、圭吾さんが布団をかけてくれていた。

「あっ、真那寝ちゃってた?」
「うん。爆睡してるからしばらくは起きる気配がなさそうだな。」
「ありがとう。・・・コーヒー淹れるね。」

キッチンで手際よくコーヒーを作ってテーブルに置くと、圭吾さんはさっきの話の続きを始めた。

「俺も調べたんだけど、このあたりには配送を頼むところがなさそうなんだ。あってもすぐには来てくれないと思う。」
「だよねー・・・。」

予想していた答えだ。
ならもう、大きい街まで真那と一緒に行って送るしかない。
いっそのこと真那が遊べるようなところを調べて行くのもいいかと思っていると、圭吾さんがとんでもないことを言ったのだ。

「で、雄大さんと相談したんだけど、俺が運転するから直接届けに行かないか?」
「・・・・はい!?え!?でも結構時間がかかるはず・・・・」
「たぶん5,6時間ってとこだろう。」
「えっ・・・そんなに・・・?」
「それは俺が運転するから、眠たければ寝てたらいい。」
「運転って・・・仕事は!?」
「休みの調整くらいきく。ただ、日帰りはちょっと厳しいからさ、一泊はしたいところなんだけど・・・」
「一泊・・・」
「ちょっとした観光くらいはできると思うし、行ってみない?直接渡して反応も見たいんだろ?」
「!!」

『反応が見たいんだろ?』という言葉に、私の気持ちが一瞬で傾いた。
作り手として、依頼主が喜ぶ顔が何よりの褒美だからだ。

(それに・・柚香さんがどんなに喜んでくれるか目に見えてわかるぶん、見たいと思ってしまう・・。)

ぐらぐらと揺れる私の心を見透かしてか、圭吾さんはさらにとんでもない情報を入れてきた。

「あ、雄大さんと相談したのは仕事の調整だけじゃないから。」
「?・・・それってどういう・・・」
「真那を一泊二日で預かってくれるってさ。」
「はいっ!?」
「ほらほら、しー。真那が起きるぞ?」
「~~~~っ。どっ・・どういうこと・・!?」

小声で聞くと、圭吾さんは事のあらましを簡単に話してくれた。
私と圭吾さんが柚香さんのところに行ってるあいだの一泊二日で真那を預かってくれるというのだ。
お礼はお土産のお菓子でいいとのことで、その話は雪華さんもノリノリなのだとか。

「なんか、ついでだから遊園地に行ってくるとか言ってた。ここから車で2時間くらいのところに小さな子供向けの遊園地があるからさ。」
「えっ・・・ほ・・ほんとにいいの・・?」
「これだけ条件が揃ってるんだ。このチャンスを逃してどうする?」

ニヤッと笑った圭吾さんの不敵な笑みに、私の胸が高鳴った。
せっかくのご好意、甘えさせていただこうと思ったのだ。

「お菓子だけっていうわけにいかないよね?」
「だな。一人ひとりに何か買ってく?」
「!!そうする!」
「おけ。俺も出すし・・・っと、ホテルはどうする?せっかくだから観光するとこの近くに取る?」
「でも日にちがまだ決まってないし・・・。」
「まぁ、当日でも空いてるところはあるだろう。多分平日だろうし。」
「そうだね。ネカフェもあるし。」
「俺はそこはごめんだけどな・・・。」

急に決まった話だけど、私は嬉しくて仕方なかった。
真那をお腹に授かってから、遠出という遠出はしてない。
ここに引っ越して来た時が唯一の遠出みたいなものだったのだ。

「じゃあ日にちが決まったら本格始動ってことで。」
「うんっ!」

こうして柚香さんの依頼の品は、直接届けに行くことに決まったのだった。


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