再婚相手は溺愛消防士!?二度と結婚しないと決めてたのに、どうしてこんなことに!

すずなり。

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夜。

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ーーーーー

「えっ・・・!?二人で一つの部屋・・・!?」

宿に戻ったあと、チェックインとして記帳を済ませた私たちは部屋に案内された。
その部屋は二人部屋で、ご飯を食べる部屋と寝る部屋の二部屋続きタイプだったのだ。

「そりゃあそうだろ?別々に取る必要ないんだし。」
「それは・・そうかもしれないけど・・・。」

驚く私だったけど、部屋から見える景色は格別だった。
自然あふれる景色は空気が澄んでいるように見え、無機質な建物が見えないことから非日常感が感じられたのだ。
さすが高級旅館といったところだろう。

「・・・あ!宿代っていくらなの?あとで払うって言ったけど・・・今、払っちゃう?」

帰ってから計算してもいいものの、真那がいない空間に慣れていない私は何かしら動いていたかったのだ。
だからカバンに手を伸ばしたのだけれど・・・

「いや、俺が勝手にここに決めたから・・・」
「へ・・・?いやいやいや、払うよ?いくらになるの?」
「・・・。」
「え・・・ちょ、本当に言わないの?」
「その金で真那に何か買ってやったらいいじゃん?おもちゃとか?」
「そういうわけには・・・」

圭吾さんと押し問答をしているとき、部屋の扉が開く音が聞こえてきた。
仲居さんが夕食を持ってきてくれたようだ。

「本日は棗旅館にようこそお越しくださいました。ささやかではありますが、どうぞごゆっくりお楽しみくださいませ。」

そう言って、仲居さんは夕食をテーブルに並べ始めた。
野菜やお肉、魚なんかもある懐石料理だ。

「すごく豪華・・・。」

思わずつぶやくと、仲居さんがほほ笑んだのだ。

「こちらのお料理、旦那さまからのご要望ですよ?」
「え・・・?」
「『普段、仕事で忙しいから体を休ませれるようなものを』とご要望をいただいてます。なので、メニューを考えさせていただきました。」
「!!」

その言葉を聞いた私は、圭吾さんを見た。
すると、彼は照れるようにしてそっぽを向いてしまったのだ。

(かわいい・・・。)

普段、頼りにしてる人のそんな姿は反則だ。

「ふふ、ありがとう。圭吾さん。」
「・・・俺は何もしてないし。ほら、真那がいないときにしかゆっくりできないんだし?楽しみながら食べようか。」
「うんっ。」

こうして私と圭吾さんはテーブルの上に並べられたたくさんの料理を食べ始めた。
たくさんの小鉢には少しずつおかずが入っていて、どれも薄味だけどお出汁がしっかりきいていておいしいものばかりだ。

「家でもこういうのを作りたいって思うけど・・・真那が食べてくれないだろうし、何より時間がないから無理だなって思っちゃう。」
「まー・・・それは那智が仕事をしてるからってのもあるだろ?その辺は妥協しないといけない部分じゃ?」
「うん。だから・・・ありがとう。こんな貴重な時間を作ってくれて、本当にありがとう。」

圭吾さんと出会わなければ、こんな今はきっとなかっただろう。
誰かを好きになることなんてなかったかもしれないし、代り映えのない毎日を送っていたかもしれない。

(血がつながっていない真那を大事に想ってくれて、真那も懐くなんてこと・・・奇跡に近いんだろうな・・。)

圭吾さんがこの先ずっと一緒にいてくれる保証はどこにもない。
それでも、このまま付き合い続けていくと、いつか結婚・・・ということになるだろう。

(そのときに考えたらいい・・・とは思うけど、真那がいることからつい頭をよぎっちゃうんだよねー・・・。)

でもそのことは一旦置いておいて、今は目の前の食事に集中だ。
子どもがいない大人の時間は、限られているのだから。

「そういえばさ、真那の入園はいつだっけ?」
「4月の14日だよ?バスに乗るから、いろいろとよろしくお願いします。」
「楽しみだな。たくさん友達作って、たくさん学んできてくれたらいいな。」
「うんっ。」

大人の時間といえど、話す内容のほとんどは真那のことだ。
共通の話題があまりないのもあるかもしれないけど、嬉しそうに話してくれる圭吾さんを見ると、こっちまでうれしくなってしまう。

(・・・ほんと、真那が圭吾さんの子どもだったらよかったのに・・。)

そんなことを考えているうちに食事は終わり、私たちはお風呂に入った。
この旅館には大浴場があって、時間を決めて入ったのだ。
室内風呂が1つと露天風呂が1つの大浴場は、人も少なくゆっくり入ることができた。

「5分以上お風呂に浸かれたのって、久々だったー・・・。」
「真那はゆっくり入ってくれなさそうだしな。」
「もう、ほんと秒速で出て行っちゃうから風邪ひかないか心配だよ。」

体からほかほかと湯気を出しながら部屋に戻ると、テーブルの上はきれいに片付けられていた。
代わりにお茶のセットと小さなお饅頭がある。
そして隣の部屋には布団が敷かれていたのだけれど・・・

「・・・・一組しかない。」

そう、敷かれていた布団は一組。
夫婦、恋人で来ていると、そうなるのが普通なのだろう。
すると圭吾さんが

「一緒に・・・寝てくれる?」

と、優しい笑顔で聞いてきた。
嫌ともダメともいえるはずがない私は、首を縦に振るしか選択肢は残されていない。

「私・・・寝相悪いよ・・?」
「ははっ。俺がホールドしておくよ。」
「~~~~っ。」
「ほらおいで。明日は長旅になるから寝よう。」

圭吾さんが行きと帰りで少し違う道を通るプランを考えてくれていた。
だから明日も帰りながら刊行する予定なのだ。

「ごめんね?いっぱい運転してもらっちゃって・・・。」
「いいや?運転は好きだから平気。那智も真那に邪魔されずに寝るのは久しぶりじゃないか?」
「あー・・。入院したときくらいかな?」

子どもが大きくなるまでは仕方のないことだ。
それでもその時間はきっと一瞬なのだろう。
そして子どもが大人になると、一緒に寝てくれることはもうない。

「俺と一緒に寝るのは初めてだな。昼寝は何回かあるけど・・・どれもあいだに真那がいたし?」
「ふふ、そうね。」

布団が敷いてある部屋に入ると、圭吾さんは掛け布団をめくって私を呼んだ。
まだ温かくなっていない布団に入ると、圭吾さんは私の頭を自分の腕に乗せてぎゅっと抱きしめてきたのだ。

「・・・俺、那智と真那を見てて『幸せになってほしい』って思ってたんだ。」
「?」
「誰かと出会って、その誰かが真那の父親になって、那智を支えてほしいって思ってた。で、その話を雄大さんにしたんだ。」

圭吾さんはその話を深田さんにしたとき、『それでいいのか?』と聞かれたらしい。
そして『その様子を笑顔で見てられるのか?』と聞かれて・・・

「嫌だって思った。俺が二人を支えたいって思ったんだ。」
「圭吾さん・・・。」
「ごめんな?一人で真那を育てるって決めて引っ越してきたっていうのに・・・。でも、俺は那智と真那を守る。俺が二人を幸せにする。」
「ーーーーっ。」

その言葉は、前の夫から聞きたかった言葉だった。
でも、真那ができたことで義務のように結婚して、その言葉は聞けなかった。
いや、聞かなくてよかったんだ。
圭吾さんに言ってもらえた今、私は涙が出るほど嬉しかったのだ。

「私もごめんね・・・。もっと早くに圭吾さんに出会っていればよかったと思ってる。あの人より先に圭吾さんに出会えなくて、本当にごめん・・・。」
「ははっ、ちゃんと出会ったんだからいいんじゃないか?・・・大切にするから、那智も真那も。」
「ありがとう・・・。」

そう言うと、圭吾さんは私のあごを指ですくった。
自然と唇が近づいていき、そのまま重なる。

「んっ・・・。」
「かわいい、那智、かわいいよ。」

甘い言葉を吐きながら、圭吾さんは何度も唇を重ねてきた。
それは時間とともに深いものに変わっていき、荒い息が私たちのあいだにあった。

「はぁっ・・はぁっ・・んっ・・・!」
「好きだよ、那智。・・・あまりいい思い出はないだろうけど・・少しなら平気?」

そう言って圭吾さんは私の耳を触り始めた。

「ふぁっ・・・んんっ・・・!」
「かわいい反応。・・・口あけて?」

舌を絡ませるキスは気持ちがよく、頭が溶けてしまいそうだった。

(大介に無理矢理されたときと全然違う・・・。)

愛情が込められているのか、それとも圭吾さんが上手いのか。

(違う・・・私が圭吾さんを好きだから気持ちいいんだ・・。)

『もっと触ってほしい』『もっと触れたい』という気持ちがあることに気がついた私。
そのとき、圭吾さんは私の背中をつー・・・っと触ったのだ。

「んんっ・・!」
「感じちゃった?怖くはない?」

大介とのことを話したからか、気遣ってくれる姿に胸が苦しくなる。

「怖くない・・・圭吾さん、好き・・・。」
「!!」

今だけ・・今だけ『母親』から『女の子』に戻りたかった私は、彼の浴衣をきゅっと握った。
すると圭吾さんは私の体をぎゅっと抱きしめてきたのだ。
その腕に力が入っているものの、苦しくはない。

「俺も好きだよ。母親じゃない那智の姿、俺にいっぱい見せて・・・?」

そのあと、圭吾さんと私は何度もキスを繰り返した。
私の体を撫でる圭吾さんの手はときどきやらしい動きに代わり、そのたびに私は体をびくつかせたのだ。

「旅館は隣の部屋があるから、大きな声だすなよ?・・・大丈夫、最後まではシないから。」



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