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種まき。
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翌朝、私は圭吾さんと決めた通りに真那と散歩に出かけた。
次に向けて休ませてある田んぼの中を真那が駆け回り、茶色になった猫じゃらしをいくつか持って歩いていく。
冷たい風が頬を撫でるものの、その空気は新鮮で心地いい気もする。
「ママ!はくさいある!」
「そうだね、白菜は冬にできるものだから・・・。この前もらった白菜もおいしかったでしょ?」
「うんっ!」
「ハウスもいいけど、地植えの野菜はおいしいし栄養も豊富だからいっぱい食べて大きくなろうね。」
真那に聞かれたことをわかる範囲で答えながら歩いていくと、畑で草むしりをしていた町の人が私たちに向かって手を振った。
この人はいつも野菜を分けてくれる、水口さんだ。
「あら真那ちゃん、ママと散歩?」
「うん!おさんぽ!」
「いいねぇ。ちょっと小さいけど、白菜持って帰る?それとも春キャベツがいいかな?」
「きゃべつ!」
「はいよ、ちょっと待っててねぇ。」
水口さんは包丁を取り出し、畑にあるキャベツを地面すれすれのところから切り離した。
そして外葉を何枚か剝ぎ捨て、一回り小さくなったキャベツを真那に手渡したのだ。
「はい、真那ちゃん。おばばのキャベツは甘いから、いーっぱい食べてね。」
「おばーちゃん、ありがと!」
笑顔でキャベツをもらう真那の隣にしゃがみ、私もお礼を言った。
「いつもありがとうございます。水口さんのお野菜、真那がとても好きなんです。」
「あらあら、そう言ってもらえるのがうれしくて畑してるのよー。」
「またお礼させていただきたいので、私にできることは言ってくださいね?縫物でしたら何でもできますので・・。」
裾上げや裾だし、穴が開いた服なんかのリペアをよく頼んでくれる水口さん。
持ちつ持たれつがこれであってるのかわからないけど、いただいてる分くらいはお返しできていると思いたいところだ。
「ありがとう。縫物は苦手だからさー、肩凝るし。助かるよー。」
「よかったですー。」
そんな話をしていると、ふと水口さんの表情がよそよそしくなった。
(あ・・これは・・・。)
そう思ったのも束の間、水口さんは昨日のことを口にしたのだ。
「・・・昨日ね?真那ちゃんの家のほうに知らない男の人が行ったような気がするんだけど・・・、あ、前はほら、デザイナーさん?が遊びに来てくれたことあったでしょ?そのときは楽しそうな雰囲気だったけど、昨日のはなんか違ったような気がして・・・。」
口ぶりからすると、水口さんは私と真那を心配してくれてそうな感じだった。
「・・・元夫なんです。どこから家を突き止めたのかわからないんですけど、困ってまして・・。水口さんにもご迷惑かけてしまってますよね。」
申し訳なく言うと、水口さんは手を振りながら
「大丈夫よ?この町は全員知ってる人だから・・・知らない人に敏感になっちゃうのよ。まぁ、そのぶん詐欺とかはないんだけどね。」
と、言ってくれたのだ。
よくいえば『近所の目が行き届いている』。
悪く言えば『プライバシーがない』というやつだ。
「そうですね。もしかしたらまた来るかもしれないので・・・何かあったら助けてもらえるとうれしいです。真那に危害が及ぶようなことは避けたいのですが・・・向こうがどう出てくるのかわからないので・・・。」
「そうなの!?それは大変ね!」
「『また来る』って言ってたんですけど、私はやり直す気なんてないですし・・。」
「うんうん、だって長谷川くんと・・・ねぇ?」
ニヤッと笑った水口さんの視線に、私の顔が赤くなっていく。
この反応は、水口さんの反応をさらに煽るような形になってしまい・・・
「あらあらあら!若いっていいわねぇ。」
「~~~~っ。」
火照る顔を手で仰ぎながら、私は真那と一緒にまた歩き始めた。
真那はもらったキャベツがうれしいようで、ご機嫌で抱えてくれていた。
「・・・キャベツ、ロールキャベツにする?好きでしょ?」
「!!・・・するっ!たべるっ!」
「ふふ、じゃあ圭吾さんも誘おっか。きっといっぱい食べてくれるよ?」
「じゃあまなもつくるーっ!」
こうして種まきが完了した私は、大介がもう来ないことを祈りながら家に帰ったのだった。
次に向けて休ませてある田んぼの中を真那が駆け回り、茶色になった猫じゃらしをいくつか持って歩いていく。
冷たい風が頬を撫でるものの、その空気は新鮮で心地いい気もする。
「ママ!はくさいある!」
「そうだね、白菜は冬にできるものだから・・・。この前もらった白菜もおいしかったでしょ?」
「うんっ!」
「ハウスもいいけど、地植えの野菜はおいしいし栄養も豊富だからいっぱい食べて大きくなろうね。」
真那に聞かれたことをわかる範囲で答えながら歩いていくと、畑で草むしりをしていた町の人が私たちに向かって手を振った。
この人はいつも野菜を分けてくれる、水口さんだ。
「あら真那ちゃん、ママと散歩?」
「うん!おさんぽ!」
「いいねぇ。ちょっと小さいけど、白菜持って帰る?それとも春キャベツがいいかな?」
「きゃべつ!」
「はいよ、ちょっと待っててねぇ。」
水口さんは包丁を取り出し、畑にあるキャベツを地面すれすれのところから切り離した。
そして外葉を何枚か剝ぎ捨て、一回り小さくなったキャベツを真那に手渡したのだ。
「はい、真那ちゃん。おばばのキャベツは甘いから、いーっぱい食べてね。」
「おばーちゃん、ありがと!」
笑顔でキャベツをもらう真那の隣にしゃがみ、私もお礼を言った。
「いつもありがとうございます。水口さんのお野菜、真那がとても好きなんです。」
「あらあら、そう言ってもらえるのがうれしくて畑してるのよー。」
「またお礼させていただきたいので、私にできることは言ってくださいね?縫物でしたら何でもできますので・・。」
裾上げや裾だし、穴が開いた服なんかのリペアをよく頼んでくれる水口さん。
持ちつ持たれつがこれであってるのかわからないけど、いただいてる分くらいはお返しできていると思いたいところだ。
「ありがとう。縫物は苦手だからさー、肩凝るし。助かるよー。」
「よかったですー。」
そんな話をしていると、ふと水口さんの表情がよそよそしくなった。
(あ・・これは・・・。)
そう思ったのも束の間、水口さんは昨日のことを口にしたのだ。
「・・・昨日ね?真那ちゃんの家のほうに知らない男の人が行ったような気がするんだけど・・・、あ、前はほら、デザイナーさん?が遊びに来てくれたことあったでしょ?そのときは楽しそうな雰囲気だったけど、昨日のはなんか違ったような気がして・・・。」
口ぶりからすると、水口さんは私と真那を心配してくれてそうな感じだった。
「・・・元夫なんです。どこから家を突き止めたのかわからないんですけど、困ってまして・・。水口さんにもご迷惑かけてしまってますよね。」
申し訳なく言うと、水口さんは手を振りながら
「大丈夫よ?この町は全員知ってる人だから・・・知らない人に敏感になっちゃうのよ。まぁ、そのぶん詐欺とかはないんだけどね。」
と、言ってくれたのだ。
よくいえば『近所の目が行き届いている』。
悪く言えば『プライバシーがない』というやつだ。
「そうですね。もしかしたらまた来るかもしれないので・・・何かあったら助けてもらえるとうれしいです。真那に危害が及ぶようなことは避けたいのですが・・・向こうがどう出てくるのかわからないので・・・。」
「そうなの!?それは大変ね!」
「『また来る』って言ってたんですけど、私はやり直す気なんてないですし・・。」
「うんうん、だって長谷川くんと・・・ねぇ?」
ニヤッと笑った水口さんの視線に、私の顔が赤くなっていく。
この反応は、水口さんの反応をさらに煽るような形になってしまい・・・
「あらあらあら!若いっていいわねぇ。」
「~~~~っ。」
火照る顔を手で仰ぎながら、私は真那と一緒にまた歩き始めた。
真那はもらったキャベツがうれしいようで、ご機嫌で抱えてくれていた。
「・・・キャベツ、ロールキャベツにする?好きでしょ?」
「!!・・・するっ!たべるっ!」
「ふふ、じゃあ圭吾さんも誘おっか。きっといっぱい食べてくれるよ?」
「じゃあまなもつくるーっ!」
こうして種まきが完了した私は、大介がもう来ないことを祈りながら家に帰ったのだった。
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