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念のため。
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そう言ったのは圭吾さんだった。
「なっ・・・!誰だよ!?」
「誰だっていいだろ。それより那智と真那に触るんじゃない。お前にその権利はない。」
「はぁ!?」
圭吾さんが突然現れたことに驚いた大介は、私と圭吾さんを交互に見ていた。
大介よりはるかに背が高い圭吾さんは、圧をかけるようにして大介を見下ろしている。
その迫力は初めて感じるもので、圭吾さんのことをよく知ってる私ですら怖いと感じてしまうくらいだった。
「おまっ・・!那智の何なんだよ!!」
「俺?俺は那智の旦那で、真那の父親だよ。」
「は!?真那の父親は俺なんだけど!?」
「違う。真那はお前を父親だと認識してない。他人だろ?」
そう言うと圭吾さんは少し身を屈め、両手を広げて真那に差し向けた。
「真那、おいで?」
圭吾さんの言葉に、真那は私のうしろから出てきて圭吾さんに抱きつきに行った。
さも当たり前かのように真那を抱き上げた圭吾さんは、片手で真那を抱いて大介に向き直ったのだ。
「真那、あのおじさん、パパらしいけど覚えてるか?」
そう聞かれた真那は、大介をじっと見た。
そして・・・
「・・・しらない。まなのパパはけーたんだもん。」
「だな。ここまで二人に拒否られたんだからもう帰ってください。ずっといたところで何も変わらないことくらいわかるでしょう?それに・・・」
いうのを途中でやめた圭吾さんは、道に繋がっているほうに視線を向けた。
いったい何があるのだろうと思ってその方向を見ると、そこに近所の人たちが集まっていたのだ。
みんな、怪訝な顔をしながら大介を見ている。
「なっ・・・!?」
「断られているのに諦めないなんて、女々しい男だね!」
「お前なんかが引っ越して来たって、こっちは受け入れる気ないからな!?」
「三井さんと真那ちゃんに迷惑かけるなんて、許さないんだから!」
集まってきた近所の人たちの中には水口さんの姿もある。
どうやら大介が来たことで抗議に来てくれたみたいだ。
「どうだ?ここに来たって針の筵なんじゃないか?それに、俺がいるんだからお前の居場所はない。俺が二人を幸せにする。」
「~~~~っ!!!」
大介は、ばつが悪くなったのか私に背を向けて歩き始めた。
思い通りにいかなかったことで機嫌が悪くなったようで、スーツケースを引きずりながら近所の人たちにぶつかるようにして去っていったのだ。
「ふー・・・。みなさん、来てくださってありがとうございます。そして・・ご迷惑をおかけしてーーーー」
『申し訳ありません』
そう言おうとしたとき、水口さんが大きな声を上げた。
「謝らなくていいんだよ!こっちはやりたくてやってるんだからさ。それに・・・こっちこそ勝手に踏み入ってごめんよ?もし、ヨリを戻したいのなら受け入れるけど・・・。」
「いえっ!!そんな気はないので助かりました。本当に・・・ありがとうございます。」
頭を下げると、圭吾さんも一緒になって頭を下げ始めた。
「俺も、改めてお礼を言わせてください。・・来ていただき、ありがとうございます。これからも那智と真那、それと俺も一緒によろしくお願いします。」
すると、私と圭吾さんの関係を知っている町の人たちは笑みを零した。
そしてさっきとは違う和やかな雰囲気で手を振りながら帰っていったのだった。
「・・・これで諦めてくれた・・よね?」
みんなが帰ったあとに圭吾さんに言うと、彼は難しい顔をしていた。
「たぶん、大丈夫だと思うよ。ハブられるために来るとか、そんな覚悟はないと思うし。」
「そう・・・だよね。」
大介にとって、この町で暮らすことにメリットは1つもない。
私はヨリを戻す気はないし、真那は大介のことを覚えてもいない。
圭吾さんという男性が私の側にいるし、近所の人も誰も大介を歓迎しようとしていないのだ。
それに、都会と比べると利便性は皆無だろう。
「じゃあ・・・、家に入ってコーヒーでも淹れようか。」
気分を変えるためにそう提案すると、圭吾さんは首を横に振った。
「ちょっと署に戻んなきゃいけなくてさ。あとでまた来るからその時に頼むよ。」
「そうなの?わかった。じゃあ、お仕事がんばってね?」
「あぁ。真那もあとでな。」
圭吾さんの腕にいる真那を受け取り、私と真那は圭吾さんを見送った。
さっきのことで不安になってるであろう真那の気持ちを落ち着かせるため、ホットココアを用意するつもりだ。
「真那、あとでチョコ食べよっか。今日は特別に3つでどう?」
「!!・・・たべるっ!」
「ふふ。手を洗いに行こうねー。」
こうして大介との件は終わりを迎えた。
そして、また平和な時間が戻ってくると思った私だったけど、圭吾さんが何をしに戻ったのかは知らないのだった。
ーーーーー
ーーーーー
那智と真那がココアを飲んでいるころ、圭吾は署の倉庫に足を踏み入れていた。
胸ポケットからあるものを取り出し、それをじっと見つめている。
「・・・使うことはないと思ってたんだけどな。」
「なっ・・・!誰だよ!?」
「誰だっていいだろ。それより那智と真那に触るんじゃない。お前にその権利はない。」
「はぁ!?」
圭吾さんが突然現れたことに驚いた大介は、私と圭吾さんを交互に見ていた。
大介よりはるかに背が高い圭吾さんは、圧をかけるようにして大介を見下ろしている。
その迫力は初めて感じるもので、圭吾さんのことをよく知ってる私ですら怖いと感じてしまうくらいだった。
「おまっ・・!那智の何なんだよ!!」
「俺?俺は那智の旦那で、真那の父親だよ。」
「は!?真那の父親は俺なんだけど!?」
「違う。真那はお前を父親だと認識してない。他人だろ?」
そう言うと圭吾さんは少し身を屈め、両手を広げて真那に差し向けた。
「真那、おいで?」
圭吾さんの言葉に、真那は私のうしろから出てきて圭吾さんに抱きつきに行った。
さも当たり前かのように真那を抱き上げた圭吾さんは、片手で真那を抱いて大介に向き直ったのだ。
「真那、あのおじさん、パパらしいけど覚えてるか?」
そう聞かれた真那は、大介をじっと見た。
そして・・・
「・・・しらない。まなのパパはけーたんだもん。」
「だな。ここまで二人に拒否られたんだからもう帰ってください。ずっといたところで何も変わらないことくらいわかるでしょう?それに・・・」
いうのを途中でやめた圭吾さんは、道に繋がっているほうに視線を向けた。
いったい何があるのだろうと思ってその方向を見ると、そこに近所の人たちが集まっていたのだ。
みんな、怪訝な顔をしながら大介を見ている。
「なっ・・・!?」
「断られているのに諦めないなんて、女々しい男だね!」
「お前なんかが引っ越して来たって、こっちは受け入れる気ないからな!?」
「三井さんと真那ちゃんに迷惑かけるなんて、許さないんだから!」
集まってきた近所の人たちの中には水口さんの姿もある。
どうやら大介が来たことで抗議に来てくれたみたいだ。
「どうだ?ここに来たって針の筵なんじゃないか?それに、俺がいるんだからお前の居場所はない。俺が二人を幸せにする。」
「~~~~っ!!!」
大介は、ばつが悪くなったのか私に背を向けて歩き始めた。
思い通りにいかなかったことで機嫌が悪くなったようで、スーツケースを引きずりながら近所の人たちにぶつかるようにして去っていったのだ。
「ふー・・・。みなさん、来てくださってありがとうございます。そして・・ご迷惑をおかけしてーーーー」
『申し訳ありません』
そう言おうとしたとき、水口さんが大きな声を上げた。
「謝らなくていいんだよ!こっちはやりたくてやってるんだからさ。それに・・・こっちこそ勝手に踏み入ってごめんよ?もし、ヨリを戻したいのなら受け入れるけど・・・。」
「いえっ!!そんな気はないので助かりました。本当に・・・ありがとうございます。」
頭を下げると、圭吾さんも一緒になって頭を下げ始めた。
「俺も、改めてお礼を言わせてください。・・来ていただき、ありがとうございます。これからも那智と真那、それと俺も一緒によろしくお願いします。」
すると、私と圭吾さんの関係を知っている町の人たちは笑みを零した。
そしてさっきとは違う和やかな雰囲気で手を振りながら帰っていったのだった。
「・・・これで諦めてくれた・・よね?」
みんなが帰ったあとに圭吾さんに言うと、彼は難しい顔をしていた。
「たぶん、大丈夫だと思うよ。ハブられるために来るとか、そんな覚悟はないと思うし。」
「そう・・・だよね。」
大介にとって、この町で暮らすことにメリットは1つもない。
私はヨリを戻す気はないし、真那は大介のことを覚えてもいない。
圭吾さんという男性が私の側にいるし、近所の人も誰も大介を歓迎しようとしていないのだ。
それに、都会と比べると利便性は皆無だろう。
「じゃあ・・・、家に入ってコーヒーでも淹れようか。」
気分を変えるためにそう提案すると、圭吾さんは首を横に振った。
「ちょっと署に戻んなきゃいけなくてさ。あとでまた来るからその時に頼むよ。」
「そうなの?わかった。じゃあ、お仕事がんばってね?」
「あぁ。真那もあとでな。」
圭吾さんの腕にいる真那を受け取り、私と真那は圭吾さんを見送った。
さっきのことで不安になってるであろう真那の気持ちを落ち着かせるため、ホットココアを用意するつもりだ。
「真那、あとでチョコ食べよっか。今日は特別に3つでどう?」
「!!・・・たべるっ!」
「ふふ。手を洗いに行こうねー。」
こうして大介との件は終わりを迎えた。
そして、また平和な時間が戻ってくると思った私だったけど、圭吾さんが何をしに戻ったのかは知らないのだった。
ーーーーー
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那智と真那がココアを飲んでいるころ、圭吾は署の倉庫に足を踏み入れていた。
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「・・・使うことはないと思ってたんだけどな。」
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