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最終話。
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そうして数週間の時間が流れたある日、俺と那智は入籍をした。
特に日にちを決めていたわけではなかったけど、二人で『なんとなくいい日』だと感じた日に入籍をしたのだ。
晴れて夫婦となった俺たちは、新しい時間を歩みだす。
「あのね?圭吾さん。ちょっと聞きたいことあるんだけどいい?もしかしたら気分を悪くする話かもしれないんだけど・・。」
「?・・・いいよ?なに?」
「その・・・、真那の兄弟って・・考えてたりする・・?」
入籍して夫婦となったいま、子どもを作ることは自然なことだ。
真那の年齢を考えたら、兄弟の一人や二人いてもおかしくはないし、異父兄弟も珍しいものではないだろう。
「・・・那智はどう思ってる?」
「私?私は・・・どっちでもいいかなと思ってる。・・・あ!真那に兄弟ができたからってどっちかだけに愛情を注ぐなんてことはしないよ?」
「まぁ、赤ちゃんのころはどうしたって比重は赤ちゃんに傾くだろうけど・・・、まぁ、どっちでもいいって言ってくれて助かるよ。」
「?・・・どういう意味?」
いづれは言わないといけない秘密が、俺にはあった。
一生隠し続けることもできるけど、そのことが原因で不仲にでもなったら元も子もない。
「本当は・・入籍する前に言うべきだと思ってたんだけど、なかなか言い出せなくてごめん。」
「え?え?なに?」
「俺・・不妊体質なんだよ。正確には運動率が極端に悪い。」
これは、偶然知ったことだった。
消防に就職が決まり、しばらく健康診断なんかいけないだろうと思った俺は、休みを使ってフルの健康診断を受けたことがある。
身長や体重、血圧なんかはもちろんのこと、MRIも受けたし胃カメラも飲んだ。
どれも体力を削られる検査だったけど、一回くらいはいいかと思って受けたのだ。
そのなかに精子の検査もあって、俺はそこで初めて自分が不妊体質であることを知ったのだ。
(ある程度はショックだったけど、体外受精って方法もあったし諦めることにしたんだっけな。)
健康診断が終わってからは仕事や訓練に明け暮れ、俺は時間とともにその現実を受け入れていった。
子どもはまぁまぁ好きだけど、こればっかりは仕方ないことだったのだ。
「運動率が悪いってことは、受精しにくいってことだよね?私が妊娠する確率はどれくらいなの?」
「うーん・・那智の体の状態がどうなのかわからないから何とも言えないけど、一般的な女性の体質でも自然妊娠の確率はほとんどないよ。」
「そうなんだ・・・。」
「だから、俺は真那を本当の子どもだと思いたい。・・・いや、思ってる。もし那智が俺との子どもを望むのなら、それは申し訳ないことになる。・・・先に伝えていなくてごめん。那智も真那のことを大切に想ってるから、子どもは望まないと思ったんだ。」
本当にそう思っていた。
異父兄弟がいると、真那が将来悩むかもしれない。
悩む理由はいろいろあるかもしれないけど、そもそも兄弟がいなければそんな悩みは生まれないだろう。
『俺』という血の繋がっていない父親の存在で悩む日が来るかもしれないけど・・・。
「私は、子どもは授かりものっていうくらいだから強く望んでるわけではないよ?真那が兄弟欲しいとかいうかもしれないけど、そのときにまた考えればいいと思う。」
「・・・ごめん。」
「謝ることじゃないのに・・。そのぶん、真那を大切にしてくれるんでしょ?だったらそれでいいじゃない。」
いざ言葉にしてみると、俺の心に重くのしかかってきた話だった。
たぶん、検査したころの俺は結婚や子どもに対してそんなに深く考えていなかったのだろう。
でも、この状況になって初めて受け止めれたような気がしていた。
治療法もないものはどうしようもない。
命にかかわる病気じゃないだけよかったんだ。
「・・・ありがとう。」
俺は真那に父親と認めてもらうべく、過ごすことを決めた。
真那はとっくに俺を『パパ』と呼び、父親のように接してくれているけど思春期になるとどうなるかわからない。
真那の記憶の中で俺が父親になれればいいのだが・・・それはそのときに話し合おうと思う。
一方那智は、入籍したあとも変わらず仕事に勤しんでいた。
あの一件以降、たまに新規のお客が増えるらしく、順調に仕事をこなしている。
俺も二人を守るため、頑張りたいところだ。
「・・・圭吾さん?」
「うん?」
「・・・私を選んでくれてありがとう。これからもずっと、ずーっとそばにいてね?」
「!!・・・もちろん。」
ーーーーーおわり。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
またお会いできる日までお元気で。すずなり。
特に日にちを決めていたわけではなかったけど、二人で『なんとなくいい日』だと感じた日に入籍をしたのだ。
晴れて夫婦となった俺たちは、新しい時間を歩みだす。
「あのね?圭吾さん。ちょっと聞きたいことあるんだけどいい?もしかしたら気分を悪くする話かもしれないんだけど・・。」
「?・・・いいよ?なに?」
「その・・・、真那の兄弟って・・考えてたりする・・?」
入籍して夫婦となったいま、子どもを作ることは自然なことだ。
真那の年齢を考えたら、兄弟の一人や二人いてもおかしくはないし、異父兄弟も珍しいものではないだろう。
「・・・那智はどう思ってる?」
「私?私は・・・どっちでもいいかなと思ってる。・・・あ!真那に兄弟ができたからってどっちかだけに愛情を注ぐなんてことはしないよ?」
「まぁ、赤ちゃんのころはどうしたって比重は赤ちゃんに傾くだろうけど・・・、まぁ、どっちでもいいって言ってくれて助かるよ。」
「?・・・どういう意味?」
いづれは言わないといけない秘密が、俺にはあった。
一生隠し続けることもできるけど、そのことが原因で不仲にでもなったら元も子もない。
「本当は・・入籍する前に言うべきだと思ってたんだけど、なかなか言い出せなくてごめん。」
「え?え?なに?」
「俺・・不妊体質なんだよ。正確には運動率が極端に悪い。」
これは、偶然知ったことだった。
消防に就職が決まり、しばらく健康診断なんかいけないだろうと思った俺は、休みを使ってフルの健康診断を受けたことがある。
身長や体重、血圧なんかはもちろんのこと、MRIも受けたし胃カメラも飲んだ。
どれも体力を削られる検査だったけど、一回くらいはいいかと思って受けたのだ。
そのなかに精子の検査もあって、俺はそこで初めて自分が不妊体質であることを知ったのだ。
(ある程度はショックだったけど、体外受精って方法もあったし諦めることにしたんだっけな。)
健康診断が終わってからは仕事や訓練に明け暮れ、俺は時間とともにその現実を受け入れていった。
子どもはまぁまぁ好きだけど、こればっかりは仕方ないことだったのだ。
「運動率が悪いってことは、受精しにくいってことだよね?私が妊娠する確率はどれくらいなの?」
「うーん・・那智の体の状態がどうなのかわからないから何とも言えないけど、一般的な女性の体質でも自然妊娠の確率はほとんどないよ。」
「そうなんだ・・・。」
「だから、俺は真那を本当の子どもだと思いたい。・・・いや、思ってる。もし那智が俺との子どもを望むのなら、それは申し訳ないことになる。・・・先に伝えていなくてごめん。那智も真那のことを大切に想ってるから、子どもは望まないと思ったんだ。」
本当にそう思っていた。
異父兄弟がいると、真那が将来悩むかもしれない。
悩む理由はいろいろあるかもしれないけど、そもそも兄弟がいなければそんな悩みは生まれないだろう。
『俺』という血の繋がっていない父親の存在で悩む日が来るかもしれないけど・・・。
「私は、子どもは授かりものっていうくらいだから強く望んでるわけではないよ?真那が兄弟欲しいとかいうかもしれないけど、そのときにまた考えればいいと思う。」
「・・・ごめん。」
「謝ることじゃないのに・・。そのぶん、真那を大切にしてくれるんでしょ?だったらそれでいいじゃない。」
いざ言葉にしてみると、俺の心に重くのしかかってきた話だった。
たぶん、検査したころの俺は結婚や子どもに対してそんなに深く考えていなかったのだろう。
でも、この状況になって初めて受け止めれたような気がしていた。
治療法もないものはどうしようもない。
命にかかわる病気じゃないだけよかったんだ。
「・・・ありがとう。」
俺は真那に父親と認めてもらうべく、過ごすことを決めた。
真那はとっくに俺を『パパ』と呼び、父親のように接してくれているけど思春期になるとどうなるかわからない。
真那の記憶の中で俺が父親になれればいいのだが・・・それはそのときに話し合おうと思う。
一方那智は、入籍したあとも変わらず仕事に勤しんでいた。
あの一件以降、たまに新規のお客が増えるらしく、順調に仕事をこなしている。
俺も二人を守るため、頑張りたいところだ。
「・・・圭吾さん?」
「うん?」
「・・・私を選んでくれてありがとう。これからもずっと、ずーっとそばにいてね?」
「!!・・・もちろん。」
ーーーーーおわり。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
またお会いできる日までお元気で。すずなり。
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