お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。

すずなり。

文字の大きさ
40 / 59

式場。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








ーーーーーーーーーーーーーーーー










千冬side・・・







私が病院を退院してから1カ月が経った。




千冬「もう仕事も完全復帰できたし・・・ほんとによかったー・・。」





復帰した日には仕事仲間の人と所長に謝り倒した私。

みんなは病気を理解してくれてるから責められはしなかった。





千冬「仕事も通常通りに戻ったし、あとは・・・・・。」





私と秋也さんの結婚だ。






千冬「『両家の顔合わせ』・・・みたいなのをするのかな。」





まだ会ったことのない秋也さんのご両親。

どんなご両親なのかを聞きたくて、私は仕事帰りに秋也さんのマンションに寄った。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






ピンポーン・・・





秋也さんのマンションのインターホンを鳴らすと、玄関のドアが開いた。



ガチャ・・・




秋也「早かったな、千冬。」

千冬「仕事が終わって真っ直ぐ来たからかな?お邪魔しまーす。」





玄関で靴を脱いで中に入る。

廊下を歩き、現れたリビングに荷物を置いた。




千冬「あれ・・・?なんかいい匂いする・・・。」




鼻を抜けた香り。

ふとダイニングのほうに目を向けると、テーブルにご飯が並んでるのが見えた。




千冬「え!?作ったの!?」

秋也「そ。」





何を作ったのか見に行くと、テーブルには肉じゃがを中心とした『和食』が並んでいた。




千冬「肉じゃがだ・・・。」

秋也「うん。俺の母親の得意料理。これだけは・・・忘れない。」

千冬「?」





なにを言ってるのかわからない私は、秋也さんを見つめる。

秋也さんは・・・悲しそうに笑いながら私に言った。





秋也「俺の両親は飛行機事故で死んだんだよ。二人とも医師をしていて・・・海外に医師団として派遣される途中で・・・飛行機が墜落したんだ。」

千冬「そう・・・なんだ・・・。」

秋也「全ては海のもくず。遺体もないから墓も作らなかった。親の思い出として記憶にあるのはこの料理だけなんだよ。」




そう言って私にお箸を手渡してきた秋也さん。

私は受け取って、席についた。




千冬「そっか・・・。」

秋也「俺と姉は成人してて、医師として人の命に関わる仕事をスタートさせていた。家族全員忙しかったし、いなくなった実感はなかったけど・・・」

千冬「『けど』?」

秋也「千冬のことを紹介してたらどんな顔したかなーって思って作った。」




まだ湯気の立ってる肉じゃが。

私は秋也さんに聞いた。




千冬「いただいても・・・いい?」

秋也「もちろん。」





手を合わせる。





千冬「いただきます。」

秋也「いただきます。」




肉じゃがの入った器を手に取り、一口食べる。

ほろほろと口の中で崩れていくじゃがいもは、優しい味がした。





千冬「おいしい・・・。」

秋也「よかった。」




一口一口をゆっくり味わうように食べる。

味を覚えるために・・・。




千冬(でも・・・マネはできないなー・・・。)




秋也さんがお母さんを想うからこそ出せる味。

優しい肉じゃがの味は、秋也さんの人柄もでてるようで、私は彼への想いをまた深くした。




千冬「・・・ところで秋也さん?」

秋也「うん?」

千冬「ちょっと気になるんだけど・・・。」

秋也「なにが?」

千冬「なんで『肉じゃが』にニンジンが入ってるの?」




王道の肉じゃがには入れないニンジン。

入れる家もあるけど・・・

秋也さんの肉じゃがには豪快に入っていたのだ。





秋也「あぁ、母親が俺にレシピを教えるときに面倒くさかったらしくてさ、『材料はカレーと同じだから!』って言ったんだよ(笑)。」

千冬「あー・・・確かに(笑)。」

秋也「だから俺が作るときは必ずニンジンが入るし、白滝は入らない(笑)」




肉じゃがは、『家庭料理』と呼ばれるメニューの代表格だ。

各家庭ごとにレシピが違う。

ニンジンが入ってる肉じゃがも・・・いいと、私は思った。

お義母さんの・・・レシピだから。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






千冬「ごちそうさまでしたっ。」





ご飯を食べ終わった私は食器を下げた。

シンクに入れたお皿たちを洗っていく。





千冬「秋也さん、コーヒー飲む?洗い終わったら淹れるよ?」

秋也「飲む。頼むよ。」

千冬「はーい。」





カチャカチャと食器を洗っていく私。

最後の一枚を洗い終わってからコーヒーを準備した。




千冬「はい、どーぞ。」

秋也「さんきゅ。」




リビングで雑誌を見ていた秋也さん。

何を見てるのか、私は覗き込んだ。




千冬「・・・結婚式場?」




私の言葉に、秋也さんはいくつかのページを見せてくれた。




あなたにおすすめの小説

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

「職場では隙のない完璧な先輩が、家ではゆるニットで甘えてくる。それでも彼女は、まだ俺の恋人じゃない」

まさき
恋愛
会社では完璧で、誰も近づけない先輩。 そんな彼女と、俺は同じ部屋で暮らしている。 「…おかえり」 ゆるニット姿の彼女は、家でだけ甘い声を出す。 近い。甘い。それでも―― 「ちゃんと付き合ってから」 彼女は知っている。自分が好きになりすぎることを。 嫌われるのが怖くて、迷惑になるのが怖くて。 だから一歩手前で、いつも笑って止まる。 最初から好きなくせに、言えない彼女と。 気づいているのに、待っている俺の話。