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名前。
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秋也さんが病室をでてしばらくすると、看護師さんが私を呼びに来た。
看護師「千冬ちゃーん?産科の検診、今日に変えてくれない?」
千冬「・・・うん?」
看護師「担当の先生がちょっと出掛けることになっちゃって・・・いい?」
千冬「いいよ?暇だから(笑)」
看護師「ありがと。一時間くらいしたら診察に行ってねー。」
千冬「はーい。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1時間後・・・
産科の検診を受けてる私は、担当の先生に赤ちゃんの性別を聞いた。
千冬「ねぇ、せんせ?」
産科医「うん?」
千冬「男の子?女の子?」
産科医「あぁ、まだ見てなかったっけ。知りたい?」
千冬「うんっ。」
産科医「じゃあ見てみようか。」
ベッドに横になり、私は服をめくりあげた。
冷たいジェルがお腹に落とされ、エコーの機械が私のお腹をなぞっていく。
産科医「うーん・・・あれ?・・・ない?」
千冬「?」
産科医「なさそうだから・・・女の子かな?」
千冬「・・・女の子!?」
産科医「?・・・予想外?」
千冬「よく蹴るから男の子だと思った・・・。」
先生はクスクス笑いながら言う。
産科医「ふふ。赤ちゃんはよく蹴るのよ。元気な証拠!」
千冬「そうなんだー・・・。」
産科医「あ、でも100%『女の子』ってわけじゃないからね。可能性として『女の子』でしょうって話だから。」
千冬「じゃあ・・・両方の名前考えとかないと。」
看護師さんにジェルを拭きとられ、私はベッドから体を起こした。
先生はパソコンに何かを打ち込んでる。
産科医「今・・・30週だから7週間後に手術しましょうか。」
千冬「7週間後・・・。」
産科医「ちょっと早くに出すから小さいかもしれないけど・・・順調そうだし、大丈夫でしょう。」
千冬「楽しみー・・・。」
検診を終え、私は自分の病室に向かって歩き始めた。
千冬「名前・・・・。」
自分のマンションで引きこもり生活をしてた時に少しだけ考えてた。
私や、秋也さん、お姉さんの名前には『季節』が入ってる。
だから『夏』って漢字を入れたいなー・・・って思ったけど・・・
千冬「今・・・『冬』なんだよね・・・。」
ほぼ『春』に近いけど、まだまだ寒そうな外。
外来の患者さんたちがコートを持ってる姿をよく見かける。
千冬「7週間後は・・・『夏』にはならないし・・・。」
悩みながら私は病室に帰った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
秋也side・・・
仕事を終わらせて、俺は千冬の病室に向かって歩いていた。
秋也(さっき産科の検診行ったって看護師が言ってたな。順調だといいけど・・・。)
そう思いながら千冬の病室のドアをノックする。
コンコン・・・ガラガラガラ・・・
秋也「千冬ー?検診どうだった?」
千冬「・・・zzz。」
名付けの本を手に持ったまま寝てる千冬がいた。
秋也「あーあー・・・」
本を取り上げ、千冬に布団をかける。
秋也「体力・・・落ちてるな。」
動ける範囲は限られてる。
それでいてあまり運動させれない。
秋也「手術・・・大丈夫かな・・・。」
心配しながら取り上げた本をテーブルに置いたとき、メモが挟まれてるのが見えた。
秋也「ん?なんだこれ。」
引っ張り出してメモを読む。
秋也「橙・・・夏・・・・・・?」
裏を見るとひらがなでこう書かれていた。
『ささくら とうか』
秋也「!!・・・女の子か・・・!」
俺もいくつか考えていた名がある。
でも『橙夏』って名前が・・・いいって思った。
秋也「橙夏・・・橙夏・・・か。」
一人ニヤつく口元を手で押さえ、俺は椅子に座った。
すぅすぅ眠る千冬。
大きくなってるお腹。
二人を愛しく見てるとちょうど窓の外が夕焼けに染まっているのが目に入った。
秋也「・・・ははっ。橙色の空か。ぴったりじゃないか。」
千冬の頭を撫でると、千冬が目を覚ました。
千冬「んぁ・・・?」
秋也「悪い、起こした?」
千冬「ううん・・・大丈夫・・・。」
秋也「橙夏は元気に育ってた?」
そう聞くと千冬の目が一気に覚めたようで、手をついて上半身を起こした。
千冬「え!?」
秋也「いい名前。決まりだな。」
メモをヒラヒラさせながら見せた。
千冬「いいの?私が決めちゃって・・・。」
秋也「いいもなにも・・・この名前気に入ったよ。性別、女の子ってわかったんだろ?」
千冬「うん・・・でも確実じゃないって言ってたよ?」
秋也「産まれてから男の子だったらまた考えればいい。ちょうど空も橙色だから・・・『橙』って漢字は入れたいな。」
一人浮かれながら話してると、千冬が少し俯き加減に聞いてきた。
千冬「でも・・・前に秋也さん・・・『女の子はちょっと・・・』って言ってたよね・・?男の子がよかった?」
秋也「え?・・・いつ?」
千冬「ほら・・・大きい公園で散歩した時・・・。」
看護師「千冬ちゃーん?産科の検診、今日に変えてくれない?」
千冬「・・・うん?」
看護師「担当の先生がちょっと出掛けることになっちゃって・・・いい?」
千冬「いいよ?暇だから(笑)」
看護師「ありがと。一時間くらいしたら診察に行ってねー。」
千冬「はーい。」
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1時間後・・・
産科の検診を受けてる私は、担当の先生に赤ちゃんの性別を聞いた。
千冬「ねぇ、せんせ?」
産科医「うん?」
千冬「男の子?女の子?」
産科医「あぁ、まだ見てなかったっけ。知りたい?」
千冬「うんっ。」
産科医「じゃあ見てみようか。」
ベッドに横になり、私は服をめくりあげた。
冷たいジェルがお腹に落とされ、エコーの機械が私のお腹をなぞっていく。
産科医「うーん・・・あれ?・・・ない?」
千冬「?」
産科医「なさそうだから・・・女の子かな?」
千冬「・・・女の子!?」
産科医「?・・・予想外?」
千冬「よく蹴るから男の子だと思った・・・。」
先生はクスクス笑いながら言う。
産科医「ふふ。赤ちゃんはよく蹴るのよ。元気な証拠!」
千冬「そうなんだー・・・。」
産科医「あ、でも100%『女の子』ってわけじゃないからね。可能性として『女の子』でしょうって話だから。」
千冬「じゃあ・・・両方の名前考えとかないと。」
看護師さんにジェルを拭きとられ、私はベッドから体を起こした。
先生はパソコンに何かを打ち込んでる。
産科医「今・・・30週だから7週間後に手術しましょうか。」
千冬「7週間後・・・。」
産科医「ちょっと早くに出すから小さいかもしれないけど・・・順調そうだし、大丈夫でしょう。」
千冬「楽しみー・・・。」
検診を終え、私は自分の病室に向かって歩き始めた。
千冬「名前・・・・。」
自分のマンションで引きこもり生活をしてた時に少しだけ考えてた。
私や、秋也さん、お姉さんの名前には『季節』が入ってる。
だから『夏』って漢字を入れたいなー・・・って思ったけど・・・
千冬「今・・・『冬』なんだよね・・・。」
ほぼ『春』に近いけど、まだまだ寒そうな外。
外来の患者さんたちがコートを持ってる姿をよく見かける。
千冬「7週間後は・・・『夏』にはならないし・・・。」
悩みながら私は病室に帰った。
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秋也side・・・
仕事を終わらせて、俺は千冬の病室に向かって歩いていた。
秋也(さっき産科の検診行ったって看護師が言ってたな。順調だといいけど・・・。)
そう思いながら千冬の病室のドアをノックする。
コンコン・・・ガラガラガラ・・・
秋也「千冬ー?検診どうだった?」
千冬「・・・zzz。」
名付けの本を手に持ったまま寝てる千冬がいた。
秋也「あーあー・・・」
本を取り上げ、千冬に布団をかける。
秋也「体力・・・落ちてるな。」
動ける範囲は限られてる。
それでいてあまり運動させれない。
秋也「手術・・・大丈夫かな・・・。」
心配しながら取り上げた本をテーブルに置いたとき、メモが挟まれてるのが見えた。
秋也「ん?なんだこれ。」
引っ張り出してメモを読む。
秋也「橙・・・夏・・・・・・?」
裏を見るとひらがなでこう書かれていた。
『ささくら とうか』
秋也「!!・・・女の子か・・・!」
俺もいくつか考えていた名がある。
でも『橙夏』って名前が・・・いいって思った。
秋也「橙夏・・・橙夏・・・か。」
一人ニヤつく口元を手で押さえ、俺は椅子に座った。
すぅすぅ眠る千冬。
大きくなってるお腹。
二人を愛しく見てるとちょうど窓の外が夕焼けに染まっているのが目に入った。
秋也「・・・ははっ。橙色の空か。ぴったりじゃないか。」
千冬の頭を撫でると、千冬が目を覚ました。
千冬「んぁ・・・?」
秋也「悪い、起こした?」
千冬「ううん・・・大丈夫・・・。」
秋也「橙夏は元気に育ってた?」
そう聞くと千冬の目が一気に覚めたようで、手をついて上半身を起こした。
千冬「え!?」
秋也「いい名前。決まりだな。」
メモをヒラヒラさせながら見せた。
千冬「いいの?私が決めちゃって・・・。」
秋也「いいもなにも・・・この名前気に入ったよ。性別、女の子ってわかったんだろ?」
千冬「うん・・・でも確実じゃないって言ってたよ?」
秋也「産まれてから男の子だったらまた考えればいい。ちょうど空も橙色だから・・・『橙』って漢字は入れたいな。」
一人浮かれながら話してると、千冬が少し俯き加減に聞いてきた。
千冬「でも・・・前に秋也さん・・・『女の子はちょっと・・・』って言ってたよね・・?男の子がよかった?」
秋也「え?・・・いつ?」
千冬「ほら・・・大きい公園で散歩した時・・・。」
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