15 / 41
本当の家族。
少し縮まる距離。
しおりを挟む
「おはようございます、トオルさんって奥ですか?」
直哉お兄ちゃんはお店に入ってすぐにいた人に聞いた。
「あら、直哉くん。今日は練習じゃないの?」
「違いますよ、今日は予約入れてるんです。」
「珍しいわねー。・・・トオルさんなら奥で作業してると思うわ。」
「ありがとうございます。」
お兄ちゃんは受付のお姉さんと話したあと、店の中をずんずんと歩き始めた。
その後ろをついて行く。
「お兄ちゃん、ここって・・・美容院ですか?」
お店の中は髪の毛をキレイにしてもらってる人がたくさんいた。
シャンプーしてもらってたり、切ってもらってたり・・・中にはなにかわからない機械に頭を入れてる人もいる。
「そう。俺が毎日通ってるとこ。」
「?・・・通う?」
意味が分からずに聞き返したとき、私たちはお店の一番奥にあるドアの前に来た。
お兄ちゃんはそのドアをノックする。
コンコンっ・・・
「二階堂です。」
そう言うとドアの向こうから声が聞こえて来た。
「入ってーっ!」
「失礼します。」
お兄ちゃんはドアノブに手をかけ、ドアを開けた。
中は細長い通路になっていて、両端にものすごい数のドレスがかかっていた。
淡い色や、濃い色、柄がたくさんあるものや、シンプルなもの。
二着として同じ服はない。
「すごい・・・。」
そう言葉をこぼしながら服を見てると、お兄ちゃんは私の手を掴んで歩き進んだ。
奥に奥にと。
「すごくきれいー・・・。」
私はまわりにある服に見惚れながら歩いた。
絵本の中に出て来るようなドレスが目の前に現実として存在してる。
触れてみたい気持ちを押さえながら、右に左に顔を動かしてると、お兄ちゃんは歩いてた足を止めた。
その拍子にお兄ちゃんの背中にぶつかってしまう。
ドンっ・・!
「ふぎゃ・・!」
「あ、悪い。ほら亜子。」
「?」
お兄ちゃんの背中から前を見ると、豪華なドレスが目に入った。
真っ赤な生地に、薄いピンクの刺繍。
その刺繍を・・・膝をついた状態で縫ってる男の人がいる。
「トオルさん、おはようございます。」
お兄ちゃんが声をかけると、その男の人は立ち上がった。
「あら、なおちゃんじゃないの。どうしたの?」
(!?・・・なおちゃん!?)
手に持っていた針を机の上の針がたくさん刺さったところに刺し、ドレスから一歩下がって全体を見ている。
「どうしたのじゃないですよ、今日、予約入れてますよ。」
そう言ったお兄ちゃんを見ていた『トオルさん』は視線を私に移した。
「あらっ!!この子が妹さん?」
「はい、亜子です。・・・亜子、こちらは『トオルさん』。俺の・・・先生みたいな存在の人。」
「先生・・・?」
トオルさんは少し身を屈め、私を視線の高さを合わせた。
「初めまして、『トオル』よ。あなたのことは昨日、なおちゃんから聞いてるわ。」
「は・・初めまして、二階堂・・亜子です・・。」
喋り方が独特なトオルさんに、私は身を構えた。
「大丈夫よぉっ、別に取って食っちゃったりしないわっ。・・・今日は髪の毛、見せて欲しいの。いいかしら?」
「へ・・?髪の毛・・?」
そう聞くと同時に、トオルさんは私の髪の毛を触り始めた。
生え際や、毛先を指の腹で質感を確かめるように真剣な表情で触ってる。
「これは何回か通ってもらわないと難しいわねぇ・・・。」
「家でできることは俺がします。亜子にも教えますし・・・。」
二人は私を置いていろいろ話始めた。
どうやら私のこの髪の毛は万全の状態じゃないらしく、それを元の状態に戻そうという話らしいのだ。
「わ・・わたしっ、このままで大丈夫ですっ・・・。」
『してもらったことがない』ことをたくさんされてる私は、怖くなってきていた。
ご飯を朝、昼、夜と食べさせてもらい、服をたくさん買ってもらい、学校に行く準備までしてもらってる。
部屋ももらって・・・施設とは比べ物にならない生活に変わった。
これ以上は・・・どうしていいかわからない。
「『このままで大丈夫』って・・ダメよ!」
「え・・?」
「髪の毛はお手入れすればキレイになるのよ?こんなきれいなブロンド・・もったいないじゃない!!」
「へ?」
トオルさんは私の手をぎゅっと掴み、少し奥にある椅子に座らせた。
その椅子は背もたれが倒れるようになっていて・・・私の身体は一気に傾いた。
「ふぁ!?」
「いい子だから・・・キレイにさせて!」
そう言ってトオルさんは私の髪の毛を濡らし始めた。
「!?」
「じっとしててよー?」
バシャバシャと温かいお湯が頭にかかる。
どうも寝たまま洗えるようで、私は一昨日にお兄ちゃんに洗ってもらったことを思い出した。
お風呂場で、仰向けになって寝るような形で洗ってもらったことを。
(気持ちいい・・。)
ゆっくりと頭を撫でられながら温かいお湯がかかるのが気持ち良くて、私は目を閉じた。
シャンプーされてるのか、泡の音がぱちぱちと耳を刺激する。
(楽しい音・・。)
身を守るため以外に耳を傾けたのは初めてのことだった。
前までは人の足音で怒ってるのか怒ってないのかを聞きわけることが多かった。
怒ってたら更に怒らせるようなことはしないようにしないと、後で大変なことになる。
だから私にとって足音の聞き分けは、施設でかなり重要なことだった。
(よく聞けば・・いろんな音がある・・。)
施設を出てからは目で受け止める情報が多かったことに気がついた。
ゆっくり耳を澄ませると、誰かの足音や、機械の音、それに話声がたくさん聞こえて来た。
この部屋じゃないどこかの部屋だ。
「あら、気持ちいいのかしら?思ったより素直ねー。」
トオルさんの声に、私は目を開けた。
「気持ちいいです・・ありがとうございます・・。」
そう言うと、トオルさんはにこっと笑った。
「お礼を言うのはまだ早いと思うわよ?」
「?」
トオルさんの言葉の意味が分からなかった。
でも、それからのトオルさんの動きはものすごく早かった。
ささっと私の髪の毛を洗ったあと、ドライヤーで乾かしてくれ、なにか液体を髪の毛に塗っていく。
それがものすごくいいものなのか、私の髪の毛は一気にサラサラのツヤツヤになった。
一昨日にお兄ちゃんにしてもらったのとは比べ物にならない。
「すごい・・・。」
「でしょ?これからうちの美容室に通ってね?もっときれいになるから。」
「通う・・・?」
施設の中しか知らない私でも、お店にいけばお金がかかることくらいは知っていた。
そんなお金がかかること・・できるわけがない。
「あの・・・!」
トオルさんに『通えない』と伝えようとしたとき、お兄ちゃんが先に口を開いた。
「俺も勉強になるんでよろしくお願いします。」
ーーーーー
私はトオルさんに何も言えないまま、お兄ちゃんに連れられてお店の外に出た。
私の少し前を歩くお兄ちゃんについて行く形で歩く。
「あの・・・あれ、お金かかりますよね・・・?」
そう聞くとお兄ちゃんは歩く足を止めた。
「かかるけど、かからない。」
「?・・それってどういう・・・」
お兄ちゃんは振り返り、きれいになった私の髪の毛の先を触った。
「・・・俺さ、美容師になりたくてトオルさんの店で勉強させてもらってるんだよ。」
「勉強・・・?」
お兄ちゃんは小さいころから髪の毛を触るのが好きだったらしく、中学に入った時に初めてトオルさんのお店にいった。
そこでトオルさんの、魔法のような腕に恋をしたらしく、毎日のように通うようになったらしい。
中学生じゃバイトはできないから、無給で『お手伝い』という形で勉強させてもらってるのだそうだ。
「完全無給はトオルさん的にはあまり好きじゃないらしくて、オイルとか機器を格安で買わせてもらってる。」
「そうなんですか・・。あ、でもそれと私の頭が関係あるんですか?」
「関係あるよ。亜子の髪の毛の修復はちょっと時間がかかると思うんだけど、トオルさんなら早くできる。金はかかるけど、バイト代でまかなえる。」
「え・・今、無給って言ってなかったですか?」
「最低限の時給を記録してあって、そこから引かれる。もらうことはできないものだから・・・それで勉強させてくれたら助かる。あと・・・」
お兄ちゃんはそのあとも『トオルさんのすごさ』や『自分に足りない物』などを語ってくれた。
マネできないこと、どれだけ勉強しても足りないことも。
「そ・・そうなんですか・・・。」
好きなものがあって、それだけ語れることが羨ましいと思いながら、私は自分の髪の毛を手で触った。
サラサラのツヤツヤになってはいるけど、家でシャンプーすると少しがさっとしてしまう。
これが家でもキープできるなら・・・お願いしたかった。
「でも私、家に来たばかりで・・・」
『そんなことお願いできない。』と言おうとしたらお兄ちゃんは私の頬を両手できゅっとつねった。
「ふぇ!?」
「お前は俺の妹。遠慮はナシ、敬語もナシ。・・・まぁ、すぐには無理かもしれないけど・・・ナシな。わかった?」
「で・・でも・・・」
「『わかった』。言ってみ?」
「う・・・」
「ほら。」
強引なお兄ちゃんに負けた私は目をぎゅっと瞑って、半ば叫ぶようにして言った。
「わ・・わかった・・!」
「よし。じゃあ・・・中学校に行くか。」
「へ!?」
「来週には制服来るだろ?来たら通うんだから先に見に行こう。」
「え!?ちょ・・・!」
お兄ちゃんは私の手を引き、そのまま歩き出してしまった。
直哉お兄ちゃんはお店に入ってすぐにいた人に聞いた。
「あら、直哉くん。今日は練習じゃないの?」
「違いますよ、今日は予約入れてるんです。」
「珍しいわねー。・・・トオルさんなら奥で作業してると思うわ。」
「ありがとうございます。」
お兄ちゃんは受付のお姉さんと話したあと、店の中をずんずんと歩き始めた。
その後ろをついて行く。
「お兄ちゃん、ここって・・・美容院ですか?」
お店の中は髪の毛をキレイにしてもらってる人がたくさんいた。
シャンプーしてもらってたり、切ってもらってたり・・・中にはなにかわからない機械に頭を入れてる人もいる。
「そう。俺が毎日通ってるとこ。」
「?・・・通う?」
意味が分からずに聞き返したとき、私たちはお店の一番奥にあるドアの前に来た。
お兄ちゃんはそのドアをノックする。
コンコンっ・・・
「二階堂です。」
そう言うとドアの向こうから声が聞こえて来た。
「入ってーっ!」
「失礼します。」
お兄ちゃんはドアノブに手をかけ、ドアを開けた。
中は細長い通路になっていて、両端にものすごい数のドレスがかかっていた。
淡い色や、濃い色、柄がたくさんあるものや、シンプルなもの。
二着として同じ服はない。
「すごい・・・。」
そう言葉をこぼしながら服を見てると、お兄ちゃんは私の手を掴んで歩き進んだ。
奥に奥にと。
「すごくきれいー・・・。」
私はまわりにある服に見惚れながら歩いた。
絵本の中に出て来るようなドレスが目の前に現実として存在してる。
触れてみたい気持ちを押さえながら、右に左に顔を動かしてると、お兄ちゃんは歩いてた足を止めた。
その拍子にお兄ちゃんの背中にぶつかってしまう。
ドンっ・・!
「ふぎゃ・・!」
「あ、悪い。ほら亜子。」
「?」
お兄ちゃんの背中から前を見ると、豪華なドレスが目に入った。
真っ赤な生地に、薄いピンクの刺繍。
その刺繍を・・・膝をついた状態で縫ってる男の人がいる。
「トオルさん、おはようございます。」
お兄ちゃんが声をかけると、その男の人は立ち上がった。
「あら、なおちゃんじゃないの。どうしたの?」
(!?・・・なおちゃん!?)
手に持っていた針を机の上の針がたくさん刺さったところに刺し、ドレスから一歩下がって全体を見ている。
「どうしたのじゃないですよ、今日、予約入れてますよ。」
そう言ったお兄ちゃんを見ていた『トオルさん』は視線を私に移した。
「あらっ!!この子が妹さん?」
「はい、亜子です。・・・亜子、こちらは『トオルさん』。俺の・・・先生みたいな存在の人。」
「先生・・・?」
トオルさんは少し身を屈め、私を視線の高さを合わせた。
「初めまして、『トオル』よ。あなたのことは昨日、なおちゃんから聞いてるわ。」
「は・・初めまして、二階堂・・亜子です・・。」
喋り方が独特なトオルさんに、私は身を構えた。
「大丈夫よぉっ、別に取って食っちゃったりしないわっ。・・・今日は髪の毛、見せて欲しいの。いいかしら?」
「へ・・?髪の毛・・?」
そう聞くと同時に、トオルさんは私の髪の毛を触り始めた。
生え際や、毛先を指の腹で質感を確かめるように真剣な表情で触ってる。
「これは何回か通ってもらわないと難しいわねぇ・・・。」
「家でできることは俺がします。亜子にも教えますし・・・。」
二人は私を置いていろいろ話始めた。
どうやら私のこの髪の毛は万全の状態じゃないらしく、それを元の状態に戻そうという話らしいのだ。
「わ・・わたしっ、このままで大丈夫ですっ・・・。」
『してもらったことがない』ことをたくさんされてる私は、怖くなってきていた。
ご飯を朝、昼、夜と食べさせてもらい、服をたくさん買ってもらい、学校に行く準備までしてもらってる。
部屋ももらって・・・施設とは比べ物にならない生活に変わった。
これ以上は・・・どうしていいかわからない。
「『このままで大丈夫』って・・ダメよ!」
「え・・?」
「髪の毛はお手入れすればキレイになるのよ?こんなきれいなブロンド・・もったいないじゃない!!」
「へ?」
トオルさんは私の手をぎゅっと掴み、少し奥にある椅子に座らせた。
その椅子は背もたれが倒れるようになっていて・・・私の身体は一気に傾いた。
「ふぁ!?」
「いい子だから・・・キレイにさせて!」
そう言ってトオルさんは私の髪の毛を濡らし始めた。
「!?」
「じっとしててよー?」
バシャバシャと温かいお湯が頭にかかる。
どうも寝たまま洗えるようで、私は一昨日にお兄ちゃんに洗ってもらったことを思い出した。
お風呂場で、仰向けになって寝るような形で洗ってもらったことを。
(気持ちいい・・。)
ゆっくりと頭を撫でられながら温かいお湯がかかるのが気持ち良くて、私は目を閉じた。
シャンプーされてるのか、泡の音がぱちぱちと耳を刺激する。
(楽しい音・・。)
身を守るため以外に耳を傾けたのは初めてのことだった。
前までは人の足音で怒ってるのか怒ってないのかを聞きわけることが多かった。
怒ってたら更に怒らせるようなことはしないようにしないと、後で大変なことになる。
だから私にとって足音の聞き分けは、施設でかなり重要なことだった。
(よく聞けば・・いろんな音がある・・。)
施設を出てからは目で受け止める情報が多かったことに気がついた。
ゆっくり耳を澄ませると、誰かの足音や、機械の音、それに話声がたくさん聞こえて来た。
この部屋じゃないどこかの部屋だ。
「あら、気持ちいいのかしら?思ったより素直ねー。」
トオルさんの声に、私は目を開けた。
「気持ちいいです・・ありがとうございます・・。」
そう言うと、トオルさんはにこっと笑った。
「お礼を言うのはまだ早いと思うわよ?」
「?」
トオルさんの言葉の意味が分からなかった。
でも、それからのトオルさんの動きはものすごく早かった。
ささっと私の髪の毛を洗ったあと、ドライヤーで乾かしてくれ、なにか液体を髪の毛に塗っていく。
それがものすごくいいものなのか、私の髪の毛は一気にサラサラのツヤツヤになった。
一昨日にお兄ちゃんにしてもらったのとは比べ物にならない。
「すごい・・・。」
「でしょ?これからうちの美容室に通ってね?もっときれいになるから。」
「通う・・・?」
施設の中しか知らない私でも、お店にいけばお金がかかることくらいは知っていた。
そんなお金がかかること・・できるわけがない。
「あの・・・!」
トオルさんに『通えない』と伝えようとしたとき、お兄ちゃんが先に口を開いた。
「俺も勉強になるんでよろしくお願いします。」
ーーーーー
私はトオルさんに何も言えないまま、お兄ちゃんに連れられてお店の外に出た。
私の少し前を歩くお兄ちゃんについて行く形で歩く。
「あの・・・あれ、お金かかりますよね・・・?」
そう聞くとお兄ちゃんは歩く足を止めた。
「かかるけど、かからない。」
「?・・それってどういう・・・」
お兄ちゃんは振り返り、きれいになった私の髪の毛の先を触った。
「・・・俺さ、美容師になりたくてトオルさんの店で勉強させてもらってるんだよ。」
「勉強・・・?」
お兄ちゃんは小さいころから髪の毛を触るのが好きだったらしく、中学に入った時に初めてトオルさんのお店にいった。
そこでトオルさんの、魔法のような腕に恋をしたらしく、毎日のように通うようになったらしい。
中学生じゃバイトはできないから、無給で『お手伝い』という形で勉強させてもらってるのだそうだ。
「完全無給はトオルさん的にはあまり好きじゃないらしくて、オイルとか機器を格安で買わせてもらってる。」
「そうなんですか・・。あ、でもそれと私の頭が関係あるんですか?」
「関係あるよ。亜子の髪の毛の修復はちょっと時間がかかると思うんだけど、トオルさんなら早くできる。金はかかるけど、バイト代でまかなえる。」
「え・・今、無給って言ってなかったですか?」
「最低限の時給を記録してあって、そこから引かれる。もらうことはできないものだから・・・それで勉強させてくれたら助かる。あと・・・」
お兄ちゃんはそのあとも『トオルさんのすごさ』や『自分に足りない物』などを語ってくれた。
マネできないこと、どれだけ勉強しても足りないことも。
「そ・・そうなんですか・・・。」
好きなものがあって、それだけ語れることが羨ましいと思いながら、私は自分の髪の毛を手で触った。
サラサラのツヤツヤになってはいるけど、家でシャンプーすると少しがさっとしてしまう。
これが家でもキープできるなら・・・お願いしたかった。
「でも私、家に来たばかりで・・・」
『そんなことお願いできない。』と言おうとしたらお兄ちゃんは私の頬を両手できゅっとつねった。
「ふぇ!?」
「お前は俺の妹。遠慮はナシ、敬語もナシ。・・・まぁ、すぐには無理かもしれないけど・・・ナシな。わかった?」
「で・・でも・・・」
「『わかった』。言ってみ?」
「う・・・」
「ほら。」
強引なお兄ちゃんに負けた私は目をぎゅっと瞑って、半ば叫ぶようにして言った。
「わ・・わかった・・!」
「よし。じゃあ・・・中学校に行くか。」
「へ!?」
「来週には制服来るだろ?来たら通うんだから先に見に行こう。」
「え!?ちょ・・・!」
お兄ちゃんは私の手を引き、そのまま歩き出してしまった。
2
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる