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本当の家族。

新しいクラス。

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キーンコーンカーンコーン・・・


約半年ぶりに学校に来た私は、職員室で自分の教室のことを教えてもらった。

二年生に進級していた私はB組になったらしく、教室の場所も聞いた。

そして今、教室の扉の前で立っている。


(授業中・・・だよね。)


誰もいない廊下にある時計を見ると、10時半を指していた。

みんなと同じ時間に行きにくかった私は、時間をずらして学校に来たのだ。

そして、『今』教室に入るかどうか悩んでいた。


(今入ると・・・注目浴びるよねぇ・・。)


授業中の教室に入るのは一手に視線を集めてしまう。

特に気にはしないつもりだけど、気まずくなることは必至だ。


(まぁ、それはいつ入っても一緒かな。)


覚悟を決めて教室に入ろうと、扉に手をかけた。

その瞬間、学校中にチャイムが鳴り響いた。


キーンコーンカーンコーン・・・


(ファーラーソードー・・・)


聞こえたチャイムを頭の中で音階にしたとき、手をかけていた扉が急に開いた。


ガラッ・・・!


「ひゃっ・・!?」


開いた扉の向こうには、男子がいた。

向こうも私に驚いたのか、動きを止めた。


「うぉ!!・・びっくりしたー・・・って、二階堂?」

「え・・・?そうだけど・・・。」


突然名前を当てられ戸惑う私を他所に、男子は後ろを振り返って叫んだ。


「おーい!二階堂が来たぞー!」

「へ!?」


その声はクラス全体に聞こえたようで、中から『来た!?』って声がたくさん聞こえて来た。


「ほら、早く入れよ。3時間目、すぐに始まるぞ?」


そう言って、男子は私が通れるように道をあけてくれた。

その動きに、私は自然と教室に足を踏み入れた。


「お・・おはよう・・・。」


教室に入ってすぐのところでそう言うと、クラスのみんなが私を見ていた。

初めて学校に来た時の、私に向けられた視線が蘇りそうになり、私は俯きかけた。

その時・・・


「おはよー、二階堂さんー。」

「席、こっちだよー。」


なんとクラスの女子たちが呼んでくれたのだ。


「え・・え・・・?」

「ほらほら、ここー。」


私の席であろう机を、隣の席の女子がバンバンと叩いていた。


「あ・・うん・・。」


呼ばれた私は教えてもらった席に行き、鞄を置いた。

椅子を引いて座ると、4,5人の男子と女子が私を囲んだ。


「へ・・?」




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